未来の社会を描く「公共政策」の人材を養成!

土井美徳 法学部法律学科 教授(公共・行政コース長)

法学部教授とうかがって、六法全書を座右の銘にして研究に没頭されているのではと勝手に想像してお会いすると、そのイメージは見事に裏切られました。現代社会の表層と深層を的確にとらえ、論理的かつソフトな口調の中に実感のこもった話の数々。「まちの未来を描く作業が『公共政策』の醍醐味で、学生が飛躍的に能力が高まるのも『いま』だと思います」と、自身及び学生の未来図も描いてくださいました。
<div style="text-align: right;"><span style="color:#808080;"><span style="font-size:14px;">※掲載内容は取材当時のものです。</span></span></div>

現在、「公共政策・行政コース」を担当されていますね。

 実は、もともとはヨーロッパや日本の政治哲学、政治史が専門でした。近年は、現代の政治理論の最前線で注目されている「社会的排除/包摂論」に関心を持ち、研究を進めていたのですが、本学に在職して以降、その”出店”にしていた公共政策がメインになったという次第です(笑い)

その「公共政策・行政コース」について詳しく教えてください。

「人に尽くす」「社会に貢献する」「未来をつくる」公共政策のキャリアを形成

 私たちが生きている日本の現代社会は、世界に類を見ない少子高齢化の急速が進行しており、人口減少社会に突入しました。また、経済のグローバル化にともない、雇用も不安定化してきました。とくに、若年者と女性は深刻です。「格差」の激しい社会になりました。長期的な視点に立って、今後、どういう制度設計をするのかが問われており、その意味で公共政策の分野はいま注目されています。
 具体的な例をひとつ挙げると、日本ではいま「子どもの貧困」率が高く、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで、「ひとり親家庭」の相対的貧困率はワーストの状態です。ひとり親家庭の大半はシングルマザーの家庭です。その85%が非正規雇用で、平均所得は125万程度です。子どもが複数いたとすれば、生活保護の受給水準以下です。本来、貧困から脱却するための労働が、貧困状態を生み出しているのです。「ワーキング・プア」と呼ばれる現象です。ひとり親家庭の子どもは、2人に1人が相対的貧困に陥っています。そのため、偏った食生活から肥満になったり、経済的理由から学力と進学意欲の低下、結果的に非正規労働にいたってしまい、世代を超えた「貧困の連鎖」が起きています。
 経済的に厳しい母子家庭が自助努力だけで脱却できるかというと難しいでしょう。その時に行政としてどう向き合うのか。手を差し伸べずに格差を放置すれば、貧困家庭は社会からも地域からも孤立してしまうことになります。

子どもの居場所づくりの動きが全国的に広がっています。

 行政でもなくビジネスとしてでもなく、ボランティア空間としての「地域ネットワーク」のなかで母親と子どもを支え、「子どもの居場所」をつくり、食事も提供し、勉強も教えるという動きがいま全国各地で進められています。「子ども食堂」という名称で呼ばれています。「地域のつながり」が重要になっています。
 ニート(若年無業者)や若年者の非正規雇用問題、高齢者の介護問題も深刻です。特に今後、高齢化率(総人口に占める65歳以上の人の割合)が40%に達することが予想されます。いわゆる団塊の世代の巨大な塊が75歳以上の後期高齢者になる2025年(平成37年)ごろには、介護の人材や施設、病院が不足し、医療・介護という社会インフラはもたないだろうと予測されています。

 平均寿命はまだ延び続けていますが、健康寿命(介護を必要とせず元気でいる状態)は延びておらず、その差は広がるばかりです。この広がった部分がそのまま介護の対象になってしまう。一方で、働き手の現役世代の人口は減少しています。
 こうした様々な課題が山積している現代は未来の姿を描きづらくなっています。私たちの社会の未来をどういう仕組みのなかでデザインするか。「公共政策・行政コース」では、とくにこの点について研究し、学んでいます。

随分、幅広い分野を学んでいるのですね。

大学院方式のワークショップを導入

 公共政策ゼミでは、グループプロジェクト型の形式で、多岐にわたる政策課題をそれぞれのグループが担当し、総合的に考察を進めています。ひとつのグループでの1回のプレゼンテーションは、だいたいA4サイズ用紙で20枚ぐらいになるでしょう(笑い)。あと「公共政策ワークショップ」という大学院方式の授業も導入していて、国際機関や国家公務員のスタッフを招へいし最先端の学びを提供しています。
 「公共政策・行政コース」のひとつの特徴は、たとえば子育ての問題は高齢者介護の問題とも危機管理ともつながりますし、あるいはIターン、Uターンなどの移住促進策は、地域経済をどういうふうに活性化していくか、という問題とも関係します。このように、さまざまな課題を発見し、それらを総合的に連関させながら、解決策を考えていくという点を重視しています。

 さらに、理論的な学びだけだと、問題のリアリティがつかめませんから、このコースです、八王子市と連携協定を結び、「まちづくり八王子フィールドワーク」というプログラムも実施していて、市の担当者やNPO、町内会の方と連携しながら、政策課題の実情について認識を深めるようにしています。 
 それを受けて、次のステップとして、グループプロジェクト型の「公共政策ワークショップ」で、それぞれの政策分野のスペシャリストを招聘して政策研究を進めていきます。

その公共政策ワークショップとは?

八王子市と地域連携型のフィールドワークを実施

 法学部には4つコースがあります。全てのコースにワークショップを設けています。「公共政策ワークショップ」のほか、「人間の安全保障ワークショップ」、「ビジネス・アンド・ロー・ワークショップ」があります。それぞれ社会の最前線で活躍しているスタッフを招聘して、事例報告をしてもらい、事前にグループワークで研究した学生たちが実務家と討議をします。
 「公共政策ワークショップ」の場合には、厚生労働省の官僚を招聘して、「地域包括ケアシステム」という介護支援の仕組みや、女性のワークライフバランスの推進、子ども貧困対策などの取り組みを報告してもらったり、東京都の職員からは、首都東京の「官民連携」についてレポートしてもらっています。学生の満足度も高く授業になっており、高いレベルの実力が養えています。

全国の自治体のなかには、先駆的な取り組みを行っている地域も見受けられますね。

 はい。現在、「地方創生」が話題になっていますが、どこの地方の自治体も生き残り戦略をどう描くか、必死になって取り組んでいます。ワークショップでも、たとえば上越市とか福井市など、中核市レベルの自治体から講師を招聘して、どのような「まちづくり」戦略をしているのかを報告してもらっています。学生たちは、全国の自治体の先駆的な取り組みをひも解き、導きの糸にしながら学生なりの視点で解決の方向性を提案し、行政の現場で働いているスタッフにぶつけていきます。

「ピース&ヒューマンライツ」について教えてください。 

 本学は文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援」に採択されていて、日本の国際化を先導する教育に力を入れています。しかし、スーパーグローバル大学に採択されたその強みを発揮するには、次の打ち手として、「キャリア教育」の強さが必要になります。
 法学部の現在のカリキュラムは、「グローバル」&「キャリア」を軸としています。具体的には、「リーガル・プロフェッション・コース」、「ビジネス法務コース」、「公共政策・行政コース」、「国際平和・外交コース」という4つのコースからなる「キャリア・コース制」を敷いています。
そして、すべてのコースに共通する国際プログラムとして、「ピース&ヒューマンライツ」(PHR)が置かれています。
 法学部のグローバル教育のコンセプトは、専門性は母語である日本語で学び、英語コミュニケーション能力を鍛えながら、英語で専門を学ぶという点にあります。その専門性とは、「平和」、「人権」、「環境」です。人間の思考は言語能力の制約を受けます。ですから、高い専門性の複雑な理解は、まずは母語で理解し、そのうえでそれを英語で使えるように変換していくわけです。専門のバックグラウンドを持って、英語で専門を学べるようにする、というのが法学部のグローバル教育の狙いです。

英語力を鍛えるために、どんなプログラムがありますか?

 バッキンガム大学とのダブル・ディグリー、1年間の長期留学、カリフォルニア大学での短期研修と、めざす進路に応じた多彩な留学プログラムが準備されており、ホームの通常授業でも、Peace Studies(平和学)、Global Issues(地球的問題群)、International Human Right Law(国際人権法)、International Environment Law(国際環境法)など、All Englishの科目群でイングリッシュ・トラックが用意されています。
 「ピース&ヒューマンライツ」の特徴は、英語で何を学ぶか、という点にあります。また、自身がめざすキャリアに応じて必要とされる英語力やアウェィ体験の程度が異なってきますので、めざす進路に応じて最適なプログラムを選択することができるように設計されています。

「公共政策・行政コース」で学ぶ面白さ、魅力は何でしょうか?

 「公共政策・行政コース」のめざす人材目標は、「人に尽くせる」、「社会に貢献できる」、そして「未来をつくれる」という点にあります。
 もとより、ビジネスの場合にも、誰かに尽くし、誰かの幸福・満足の上に立たなければ、そもそもお金はもらえません。そのなかで、行政としてできること、行政でなければできないことは何か、この点に焦点を当てて、学びを深めさせています。とりわけ現代は、転換期にあってなかなか未来を描けない、先行きが不透明な時代です。そのなかで、未来を描けない社会的弱者、不利を抱えた人びとが増えています。様々な人たちが増えている現実を見据えていることです。

 私のように高度経済成長期に育ちバブル期を経験した世代は、ある意味で物事がルーティン(習慣)化して回っていた時代だともいえます。将来に対して、楽観的な見通しを持つことができました。しかし、現在はまったく違います。自分たちがいまどこにいて、どこへ向かおうとしているのか、先行きを見通すことが困難です。旧来の仕組みが限界に来ているなか、新しい社会の枠組みはいまだ明確な姿となって現れていません。
 学生たちも、公共政策研究を進めていくなかで、現行の制度的な限界を感じる一方で、新しい仕組み、展望がなかなか見えてこない、解決の道筋が容易に描けない、そう感じているようです。しかしこういう時代だからこそ、「未来を描く力」、「未来を考える知的作業」が重要であり、公共政策の魅力もまさにこの点にあります。さまざまな難題を、自分の頭で徹して考え抜くなかで、学生の能力も飛躍的に高まります。未来が描けない時代にこそ、人びとの幸福を支える社会的条件と方向づけを「デザインできる力」を持つというのは、本学が掲げる「人間教育」の一つのコア(中核)になり得ると感じています。

公共政策を学んだ学生の進路はどうなっていますか。

様々な分野で卒業生が活躍

 「公共政策・行政コース」は、実は公務員だけ輩出しているわけではありません。私の公共政策ゼミでも、国家公務員や都道府県庁、政令指定市などの地方公務員と同時に、国際協力機構(JICA)で働く人や、外資系の戦略コンサルティングや投資銀行、国内のメガバングや地域金融(地銀・信金)で活躍している人も多くいます。公務員と民間企業はほぼ半々です。公共政策の研究は、グループワークを通して、「現状分析―課題設定―問題解決策の提案」という一連のプロセスを組み立てます。論理的思考が磨かれると同時に、アイデア力・発想力も養われます。そうして培った力を、公務員としての社会貢献につなげていく人もいれば、民間企業でビジネスを通じて社会問題の解決につなげていく人もいます。グローバルな舞台で活躍する人もいれば、地方にUターンして「まちづくり」に貢献する人もいます。人材の「多様性」こそが公共政策の魅力でもあります。

各地で住民参加型の「まちづくり」が模索され展開されています。

 同じ九州でも福岡市と北九州市では地域性などが違います。同じ政令指定都市でも札幌市と名古屋市では産業も人口も異なります。どこまで行っても、そこに生きる人たちがその地域の未来を自分たちの力で「まちづくり」をしていくことが大事です。
 とくに、近年は、地域ネットワークを生かしたまちづくりが重要になってきています。NPOやボランティア団体だけではなくて、町内会や地域サロン、マンション管理組合なども含めた「新たな地域ネットワークの構築」が重要になってきています。高齢者の生きがいの創出も、子育て支援も、子どもの貧困の対策、ニートの就労支援も、こうした地域ネットワークからなるボランタリー・セクターをベースにして、ローカルな場における「社会的つながり」のなかで解決していく必要があります。いま行政に求められているのは、地域の特性を生かした住民協働型の多様な「まちづくり」です。戦後の日本の国家の仕組み、すなわち中央集権型の行政のあり方は、ベクトルを180度変えた壮大なデザインによって、新たな福祉国家のモデルを構築しようとしているといえるのではないでしょうか。

災害発生時などにも、地域のつながりを生かした防災が注目されることが多くなりました。

 まさしくおっしゃる通りです。危機管理もまた「地域防災」がテーマになっていて、「減災」のために地域ネットワークによる自助と互助が柱になっています。
 熊本地震の直後に、いわゆる「互助」によって、かなり初期の段階で多くの被災者が救助されました。また、行政の手が入らないなかでも、地域の互助で生活物資を共有することで、震災直後の危機を乗り越えていました。この事実は、益城町のように「地域のつながり」が密になっていたからこそ可能であったと考えられます。これが、都会の新興住宅地のように地域のつながりが希薄化したしたなかで震災が起きた時に、同じようなことが果たしてできるでしょうか。
 危機管理が生じた時に、都会で心配なのは、単身高齢者や大学生、外国人定住者など、地域のつながりから漏れている人たちです。特に都市部では単身の高齢者が増えています。地域のつながりから漏れている人は、災害が発生した時、特に初期の「互助による減災」が効かなくなってしまう危険性があります。

公共政策・行政コースのめざすこれからの行政のあり方について教えてください。

 「公共政策・行政コース」では、「3つの協働」を重視しています。すなわち、「国と地方の協働」「官と民の協働」「市民協働」です。
官民協働と言った場合の「民」は、企業との協働を意味します。これまで行政が担ってきた公共の課題や社会問題を、ビジネスを通して解決できれば、行政需要のスリム化につながり、新たなビジネスチャンスも生まれます。
 市民協働とは、同じ「民」でもボランタリー・セクターとの協働です。NPOやボランティア団体との協働はすでに進んでいますが、しかしNPOは、専門性が強みである一方、広範囲の人を巻き込むという包括性の点で弱点があります。そこで注目されているのか、先にも述べたように、専門性は欠くものの、地域全体を包括できる地域ネットワークというボランティア空間との協働が重要になるわけです。こうした動きは、ヨーロッパの先進国における「新たな貧困」問題を解決するうえでも、また発展途上国の貧困問題を解決するうえでも、重要になってきています。そこには、冒頭で述べた「社会排除/包摂論」という新たな理論の影響があります。

 たとえば、公的介護保険制度でいえば、第1次ベビーブーム世代が75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる「2015年問題」に向けて、現在、「地域包括ケアシステム」が導入されています。その柱となるのは、医療と介護の連携による「介護予防」と、住み慣れた場所での「在宅介護」です。平成27年度の改正介護保険法からは、特別養護老人ホームへの新規の入所は、「要介護3」以上の重度の要介護者を優先し、「要支援1,2」と「要介護1,2」の人は、在宅介護になります。しかし、在宅介護の場合には、介護する人の負担が大きくなります。さらに、都市部では単身高齢者が増えていますし、夫婦二人の場合でも老老介護となってしまいます。
公的介護保険制度を導入することで、介護サービスには、民間の介護事業者がビジネスとして参入する仕組みをつくりました。しかし、高齢者が急速に増え続けるなかで、介護保険制度にも限界があります。
 そこで、改正介護保険法では、「生活支援」は、それぞれの地域ネットワークによる互助の仕組みで包摂しようと考えられています。そのなかで、退職した「元気な高齢者」が地域貢献に尽力するなかで生きがいを創出するとともに、健康寿命の延伸にもつながります。
 他方で、単身高齢者の「見守り」には、地域のつながりだけでなく、新聞や電気・ガス、宅配便などのさまざな業者と協定を結ぶことで、民間企業による見守りネットワークの構築も、多くの自治体で進められるようになってきました。
 このように今日の公共政策の最前線は、市民やボランティア団体、民間企業などとの地域に根ざした社会的ネットワークの構築をどうつくり上げていくか、という点にあります。本学法学部の公共政策・行政コースが「協働のまちづくり」をテーマにしているゆえんです。

学生と受験生にエールをお願いします。

 学生時代は、「トライ・アンド・エラー」の精神が大事です。若いころの苦労や打ちのめされた挫折経験こそ宝です。その経験こそが自身の未来の開く力になります。
 また、さまざまな社会問題に対する問題意識を旺盛にしてください。自身の挫折や苦労の体験を180度ひっくり返したときに、未来を生きる力になります。そしてその作業が、社会の誰かの幸福につながり、さらには社会の大きな転換点と切り結ばれた時に、それは大きな力となり、生きがいとなります。自身の挫折やコンプレックスが、未来を生きる自身の力になるだけではなく、周囲の人びとの、もっと言えば社会全体の幸福につながる、そういう生き方ができたら、「ハッピー」だと、日ごろから学生に伝えています。ですので、若いときの苦労と失敗、コンプレックスは、最大のエネルギーになります。

どい よしのり Yoshinori Doi

[好きな言葉]
「日に日に新たに、日々新たなり」
[性格]
困難な局面になればなるほど、燃えてくる。
[趣味]
旅行、温泉、子どもと遊ぶこと(含むゼミ生)。
[最近読んだ本]
テス・リッジ『子どもの貧困と社会的排除』渡辺雅男監訳、桜井書店、2010年。
[主な著書等]
  • 創価大学法学部法律学科卒業、早稲田大学大学院政治学研究科政治学専攻修士課程、博士後期課程修了。政治学博士。
[経歴]
  • 『イギリス立憲政治の源流』(単著)、木鐸社、2006年。
  • 『岩波講座 政治哲学2 啓蒙・改革・革命』(共著)、岩波書店、2014年。
  • 『 「ヨーロッパ」の歴史的再検討』(共著)、早稲田大学出版部、2000年。
  • 『クロムウェルとイギリス革命』(共著)、聖学院大学出版会、1999年。
  • 『政治学の世界』(共著)、八千代出版、1997年。
  • シャンタル・ムフ『政治的なるものの再興』(共訳)、日本経済評論社、1998年。
    Chantal Mouffe, Return of the Political, London, 1993.
  • ユルゲン・コッカ『社会史とは何か ―その方法と軌跡』(共訳)、日本経済評論社、2000年。
    Jürgen Kocka, Sozialgeschichte: Begriff – Entwicklung – Problem, Göttingen, 1986.
  • デイヴィド・ヘルド『デモクラシーと世界秩序 ―地球市民の政治学―』(共訳)、NTT出版、2002年。
    David Held, Democracy and the Global Order: From the Modern State to Cosmopolitan Governance, Cambridge, 1995.
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