メディアと学術の両方を視野に入れた研究・学生指導で、大学に新風を吹き込む

山田 隆司 准教授 法学部
(広報誌「SUN」2017年7月号:「学問探訪」に掲載記事より)
 

新聞記者から学問の世界へ転身。憲法とメディア法のスペシャリスト

山田准教授の現在の専門は憲法とメディア法、そし て前職は新聞記者です。メディアは表現の自由のもと で成り立っていますが、その一方で、報道される側の名 誉にも配慮が必要なことがあります。どちらを重視する のか、あるいはどのようにバランスをとるのか、記者時 代は常に難しい判断を求められていたそうです。そこ で、記者の仕事をしながら大阪大学大学院に入学し、 表現の自由についての研究を深めました。  
博士の学位を取得後は、憲法やメディア法のスペ シャリストとして単行本の執筆、月刊誌『法学セミナー』 の連載、さらに大学の非常勤講師など、活動の場が広 がりました。そして、2012年に憲法担当の専任教員とし て創価大学法学部へ。自らのスタンスをこう語ります。  
「研究一筋の先生方とは異なる経歴ですから、それ を生かして、メディアの現場と学術の世界の両方を視 野に入れた研究・教育をすることを心がけています」

アクティブ・ラーニングを取り入れ、学生の考える力を引き出す授業を実施

法学部の授業では、1年生の「憲法総論・統治機構 論」を担当。分かりやすい授業をしたいと考えた山田 准教授はアクティブ・ラーニングの手法を取り入れ、ほ ぼ毎回、「LTD(話し合い学習法)」、あるいは「グループ 学習」を実施しています。こうした授業は法学部では珍 しい試みでした。果たして学生の反応は? 山田准教授 によると、「予習が大変だけど、自分で考えることができ るようになった」「議論を通じて自分とは異なる考えを 知ることができる」などの感想が寄せられ、手応えを感 じる日々だそうです。  
憲法判例を学ぶための教科書として使われている のは、著書の『戦後史で読む憲法判例』です。
「憲法判例に現れた最高裁の考え方は、いわば公理と いったものではありません。そうした考え方が生み出された時代背景があるのです。判例を理解 するには時代背景をよく検討してほしいと 思い、筆を執りました」  そもそも憲法とは? 私たちはどのように 憲法と向き合ったらよいのでしょうか。「憲法とは、国家権力を制限し、国民の 権利・自由を守るもの、という立憲主義の 考え方を理解することだと思います」

1万字前後のレポートを書いてプレゼンし、 活発に議論する中で鍛えられるゼミ生たち

もっと憲法を学びたい!という学生たち が集っているのが山田ゼミです。ゼミの研究テーマは「憲法判例研究」。憲法判例中 でも、とりわけ人権論の重要判例を研究し ています。セメスターごとに、まず、各自が関 心のある判例、メディア事件を選び、その 歴史的・社会的・政治的背景をふまえ、 8000字から1万5000字のレポートを書く。 次にそれをゼミで報告(プレゼン)する。最後に報告者の問題提起をもとに、見解の分かれる問題について議論するという流れです。「学生には、自分の見解を持つように指導しています。単に 知識・情報を覚え込むのではなく、自分はどう考えるのか、その根拠・理由は何か。自説とは反対の見解にも目配りし、最終的には、反対説の人から『賛成はしないが理解はできる』 と言われる説得力を磨いてほしいと願っています」

※掲載内容は取材当時のものです。

山田 隆司 Ryuji Yamada
大阪府出身。1985年創価大学法学部卒業。読売新聞大阪 本社に入社し、記者として活躍しながら、2008年大阪大学大学院法学研究科博士後期課程修了、博士(法学)。2012年 創価大学法学部准教授。2014年から創価大学ジャーナリズムセンター長。2016年カナダ・ブリティッシュコロンビア大学客 員研究員。専門は憲法、メディア法。主な研究分野は名誉毀損、憲法判例の形成過程。
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