Vol.15

日中の学生が沖縄伝統芸能のエイサーを舞った!「訪中で出逢った人は、皆兄弟!」-イチャリバが見た中国とは

学生クラブ団体 イチャリバチョーデーズ

この夏、駐日中国大使館の招聘により、本学中国研究会を中心とした学生24名と教職員の代表が8月25日から7日間、中国を訪問しました。訪中団の中に、沖縄の伝統芸能であるエイサーを踊る学生クラブ団体のイチャリバチョーデーズの学生5名がいました。彼らは、中国滞在中に4度も学生交流会などの場で、日本の文化を代表して踊りました。そして、演目の最後は、決まってカチャーシー。日中の学生も教職員も、国籍や立場を超えて舞いました。皆が笑顔になったといいます。「イチャリバチョーデー」とは、沖縄の方言で「行き逢えば皆兄弟」という意味です。
中国に最も近い日本である沖縄の文化を学ぶ彼ら、彼女らが訪中を通して、何を見て、何を感じたのか。イチャリバチョーデーズの田中廣一郎さん(経済学部2年)、西山良美さん(経営学部2年)、渡辺智慧さん(経営学部2年)、堀菜月さん(文学部2年)、藤井正志さん(理工学部2年)の5名に語ってもらいました。

訪中、お疲れさまでした!訪中団に参加して感じた中国や日本について教えてください。

北京大学構内で案内してもらった学生達と
北京大学構内で案内してもらった学生達と

田中さん:最初に広州に行き、その次に北京に行きました。広州と北京では発展に差があるなと感じました。広州に行ったときは、日本よりまだまだ発展してない部分が多いなと感じたのですが、北京に移ると東京より都市開発が進んでいて圧倒されました。どちらの都市も見ることができたので、中国が、今現在、成長しているんだということを肌で実感できました。また、中国の学生と話すと、日本の文化が好きという人が多くて驚きました。日本のアニメを見て、日本語を勉強している人もたくさんいて、特にドラゴンボールやワンピースが人気でした。

西山さん:様々な場所を観光して、中国人が自国の文化をとても大事にされているなと感じました。日本でも京都や浅草など、日本の文化を感じられるところはあると思うんですけど、中国はどこの都市に行っても、中国の文化を感じることができました。また、日本は中国の文化を多く受入れているところがあるので、日本文化のルーツに触れる場所もあり、良かったと思いました。沖縄のシーサーのようなものが中国にもあって、文化を受け継いでいるのを実感しました。中国の学生は、初対面はシャイな感じでしたが、実際に交流してみると親切で、話すととてもフレンドリーでした。大学で日本語学科に所属する学生とは日本語で話しました。皆、日本語がとても上手です。
渡辺さん:広州と北京では料理も全く違い、日本にいる間は、中国という国をひとくくりで見ていましたが、地域によって醸成されている文化が違うので、行ってみないとわからないなと思うことが多かったです。また、中国人と話すと、歴史観をしっかりと持っていて驚きました。日本人の私たちも、見習ってもっと自分の国について勉強しなければいけないなと思いました。
堀さん:食事会の際に、日本であれば、目上の人に飲み物をついだりすると思うのですが、中国では、立場や年齢が上の人が「どう?美味しい?」と聞いてまわって、招待した方をもてなすんです。そこは違うなと思いました。また、創立者が中国との友好関係を築いてくださったので、私たちが中国に来ることができたんだなと改めて感じました。日中の友好は大切にしていかないといけないなと感じました。日中友好協会の方々も、創価大学訪中団を熱烈歓迎してくださいました。
藤井さん:驚いたのは、交通量が多さです。そのため車道にはバス専用レーン(Bus Rapid Transit)がありました。通勤時間の朝7時くらいは、バスだけが通れるレーンがあって、スイスイ進みました。自動車のレンタルの仕組みなども、日本より進んでいるなと感じました。私は、中国人民抗日戦争記念館の展示が一番衝撃的でした。平和についての捉え方が違うと感じました。中国側から見れば、日本に攻められ、それに対して反撃した歴史です。戦争での勝利が平和への一歩だったと考えています。私は、中国では反日感情の人が多いと思っていたのですが、余り感じなかったです。しっかりと歴史を学んで、未来を見据えた交流が大事という人も多いようで、記念館での展示でもそのように訴えていました。

ホテル内の卓球場で宿泊客と卓球交流
ホテル内の卓球場で宿泊客と卓球交流

中国で舞ったエイサーには、どのような思いを込めましたか?

北京大学の百周年記念講堂で演技
北京大学の百周年記念講堂で演技

田中さん:合計で4回踊らせていただきました。最初の3回は、教室のような場所で、見てくださる人の近くで踊りました。演目の最後にカチャーシーを皆で踊るのですが、会場に居る人たちと一緒に踊れたときはとても感動しました。中国語しか話せない方とは、通訳を介してしか会話ができないのですが、エイサーは言葉を必要としません。なんとも言えない一体感が場内を包みました。
最終日には、北京大学にある約2,000人が収容できる百周年記念講堂で踊りました。はじめは5人しか舞台で踊らないので、とても心細かったのですが、最後にカチャーシーを踊ったときには、一緒に行った訪中団の皆さんが会場中を歩いて踊ってくれました。実は、バスの中で、皆で一生懸命練習しました。その踊りを見て中国の方も一緒にカチャーシーを舞ってくれました。文化を通して交流すれば人と人がより近くなれる。エイサーをやっていて、良かったなと心の底から思いました。

滞在中、多くの学生と交流したようですね!青年交流で何を感じましか?

藤井さん:最初は少し構えていました。以前、フィリピンに行ったことがあり、フィリピンの人は「ウェルカム!」という感じなのですが、中国人は、雰囲気が日本人と似ているなと感じました。日本のニュース番組で観る中国人のイメージとは違いました。私たちが出会った中国の学生たちの多くは日本語を勉強しているので、日本にとても興味を持っていて、すごく接しやすかったです。日本に来たことがあるという人も多かったですし、これから日本に留学するという人もいました。日本に来たときには東京を紹介したいなと思っています。連絡先も交換しました。

北京大学で行われた中日大学生千人交流大会の様子
北京大学で行われた中日大学生千人交流大会の様子
中山大学南方学院での交流会
中山大学南方学院での交流会

堀さん:私自身は中国に行くのが2回目で、前回も感じたのですが、中国の学生は意欲的ですごい向学心があるんです。本当にすごいなと思います。留学していないのに、日本語がぺらぺらなんです。私は留学することによって、話せるようになるというイメージだったのですが、中国の学生は、一年しか勉強していないのに、とても上手に日本語を話します。それを見て驚きとともに、自分にも不可能ではないんだなと思いました。また、国が違っても同じ年代の話題は共通でした。アイドルグループの「嵐」が好きな学生もいました。恋愛観についても話題になりました。互いの悩みを話しあったりもしました。中国の女の子は、仲良くなったら腕を組んでくれるんです。距離が近いなと思ったのですがイヤじゃなく、かえってすぐに親しくなれると感じました。学生交流会はとても楽しかったです。皆、優しかったですし、私たちのことを受入れてくれました。日本に帰ってから中国語を勉強しようと思いました。
渡辺さん:交流した中国の学生は、皆さん優秀だなと思いました。日本語も、英語もできる学生が多かったです。日本語があまりできない学生とは英語で交流しました。北京大学では経済学部の学生と交流したので、英語で話しました。同じ学生同士、共感できるものがあるなと感じました。学園祭の話題になり、中国の学生が日本のブースを作って、「桜のジュース」を売ったという話をしてくれました。私たちも大学祭に向けて準備をしている時期でもあったので、そういう話で盛り上がっていました。やっぱり学生だなと思うところがたくさんあり、すんなり仲良くなれました。
西山さん:どうやって日本語を勉強しているのかと聞いてみたところ、日本のアニメやドラマを通じて、日本が好きになって、勉強を始めたと話してくれました。日本の文化を好きになって日本語を勉強する人は皆熱心で、自分も見習わないといけないなと思いました。私たちより日本の文化や経済についても知っている学生もいました。その学生とは、今度、日本に来たら創価大学を案内することを約束しました。
田中くん:中国で訪問した全ての大学が、創価大学よりもはるかに広大な敷地でびっくりしました。図書館が中央教育棟くらいあって、スケールが全然ちがうんです。本の数もすごく多くて、皆が勉強する環境があるんだなって感じました。また、学生交流会で仲良くなった中国の学生とは「WeChat(ウィーチャット):微信」のアカウントを交換して、今も繋がっています。中国で初めて会った方ですが、そのまま継続して連絡を取り合っています。日中交流の事業に携わる皆さんが、「一人一人の信頼が国と国の友好に通じる」と言われていて、友情の大切さを感じています。その場限りの人間関係でなくて、学生交流で築いた縁を大切にして、継続して交流していけば、その友人が日本に来たときだけでなく、自分が再び中国を訪問した際に、また会えます。

今後の日本と中国の交流で大事なことは何だと思いますか?

田中くん:北京大学で開催された「日中平和友好条約締結40周年記念・中日大学生千人交流大会」でもそのような話があり、これから先、絶対に交流を広げていかないといけないと多くの方が言われていていました。青年が交流することに意味があり、私たちも大学を卒業して、社会に出て10年、20年経ったときに、日中の友好がもっと深まっていないと、アジアの発展も無いし、世界の平和も無いと感じました。中国の中にも「日本が好き」という人がたくさんいます。大学同士の交流も大切ですし、地域の交流も大切だなと思っています。

現地の学生と共に天安門を見学
現地の学生と共に天安門を見学
広東外語外貿大学で学生交流
広東外語外貿大学で学生交流

西山さん:政治的な交流だけでは、日中の友好というのは築けないなと思っています。民間交流が大切で、創立者が一市民として、国交正常化提言をされ、日中友好に尽力されたことはとてもすごいことだと思います。自分たちも、日中の交流を他人事だと思わないように、自分自身にも出来るんだと思うことが、非常に大事だなと感じています。今回、踊らせてもらって、文化交流の重要さを感じました。よくスポーツは国を超えると言われていますが、舞踊などの文化交流もそうだなと実感しました。カチャーシーは、中国人と日本人全員で踊りました。自信を持って一体となれたなと思います。
渡辺さん:自分自身は、もっと中国のことや連絡先を交換した人のことを知りたいと思いました。現地に行かないとわからないことも多く、お互いのことを知ろうとする努力は今後もしたいなと思っています。中国についても経済や政治など、日本とどういう問題があるか、正直、これまであまり関心が持てていませんでした。「桜花縁」を何回も歌わせてもらったのですが、1番に「時は去り 時は巡り現(うつ)し世に 移ろいあれど」という歌詞があります。「現(うつ)し世に、移ろい」があっても、やはり変わらない、また、変わってはいけない友好があるという思いが込められているなと感じました。自分にできる友好は、お互いのことを知ることが一番かなと思いました。
堀さん:私が思ったのは、中国と日本という国と国の関係と見るよりも、中国に住んでいる人との、「人と人の交流」が大事だなと思いました。同じ世代に生まれた者同士だし、友情を大事にしたいと思いました。今回築いた関係を大事して、私は中国に留学したいと思っているので、中国に行ったときには、繋がった友人たちに、絶対に会いに行きたいと思っています。
藤井さん:9月8日に行われた創価大学で行われた日中新時代フォーラムで強調されていたことは、「中国と日本は隣国で、運命共同体だ」ということでした。仲良くなるしか方向性はないとのことでした。そのためには、同年代の交流が大事だと思います。田代理事長と程永華駐日大使のような学生時代の寮の先輩・後輩という間柄は、まさに理想的だと思います。私も今回の出会いを大切にしていきたいと感じました。

最後に今回の訪中団で学んだことをどのように周囲に伝えていくか教えてください!

藤井さん:部活の中では、報告会を行いました。学生交流会や抗日戦争記念館のこと、今の中国の状況、エイサーを披露したときの様子を報告しました。私が訪中団で一番感じたのは、歴史を知ることが大切だということでした。抗日戦争記念館が衝撃的で、私は日本が中国にしてきたことをほとんど知らなかったので、理解するのが大切だなと感じました。勉強しながら、今後もこの経験を生かして、エイサーなどの文化の力を通じて交流を広げていきたいと思います。
堀さん:私は、身近な人から経験したことを伝えたいと思います。日本では、中国に対して様々なイメージをもっている人がいます。中国の良いところを経験していないと伝えることはできないと思うので、私は今回の訪中団で、中国の素晴らしい部分をしっかりと伝えたいなと思っています。また、歴史の捉え方は国によって違うということを初めて経験しました。日本だけの見方ではいけないと思いました。中国からはどのように見られているのか、それを知ることも大事だと思いました。相手がどう思っているのかということを理解しないと、異文化理解ができないなと感じました。
渡辺さん:部活では、部員一人ひとりと話す機会があります。また、私は部活だけではなくて、何気ない会話の中で、自分が中国で感じてきたことを話したいな思っています。現地に行ってみないとわからないことがあると思います。中国に行った部員は5人しかいないので、どんどん発信していきたいと思います。中国には、思っていたよりも共感できるものがたくさんありました。

世界遺産・万里の長城で
世界遺産・万里の長城で
最終日に現地の学生と食事会
最終日に現地の学生と食事会

西山さん:私は中国から帰ってきてからアジアに強い興味を持つようになりました。部活でも、中国で学んだことを含めながら、平和について深めていきたいなと思いました。また、将来、途上国に貢献したいという思いが中国に行ったことがきっかけで、固まってきました。日本と違う文化に触れて、精神面が変ったのを感じています。中国に行って、日中友好からアジアの発展があると聞きました。先日の日中新時代フォーラムで程大使が、「アジアから世界の平和へ繋がる」と言われていました。私の中で、アジアに貢献したいとの思いが少しずつ芽生えてきたなと思っています。
田中さん:私は訪中団の一員になるまでは、中国に興味があまりありませんでした。第2言語もスペイン語を履修しています。以前は、中国にはあまり良いイメージを持っていませんでした。しかし、今春、マレーシアに行った際、マレーシアには中国やインドの文化が多く入っていている他民族国家ですが、交流した学生のほとんどの人が中国語を話していました。また、マレーシア料理といっても中国料理に似ていて、そのときから中国の見方が少しずつ変っていきました。そして、今回中国に行かせてもらって、自分の持っていたイメージとは真逆でした。中国で出会った人は、皆とても温かかったです。また、私たちも中国に行ったといっても、広い国のなかで広州と北京の2つの都市しか行っていません。もっと多くの都市を訪ねたいです。
今回の訪中では、何度も「桜花縁」を歌わせてもらいました。私たちは、この曲を踊ることもあります。今回の訪中を通して、戦争で悲惨な体験をした沖縄から、日本、中国、アジア、そして、世界の平和へつなげていくことが私たちイチャリバチョーデーズの使命だと感じました。

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