Vol.17

「人を笑顔にするモノを作りたい」-ロボット研究で培った経験を糧に

写真、左上が久郷さん
久郷 紀之(くごう のりゆき) 工学研究科情報システム工学専攻 博士前期課程2年

本年10月17日(水)から21日(日)にわたって、東京ビッグサイトで「World Robot Summit2018」の国際ロボット競技会「World Robot Challenge(以下、WRC)」が開催されました。本学理工学部情報システム工学科・崔龍雲研究室のチーム「SOBITS」がサービスカテゴリーの「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」部門に出場。書類審査を通り、世界各国から出場した7チームのうち「第2位」に輝きました。チームリーダーを務めた久郷紀之さん(工学研究科情報システム工学専攻・博士前期課程2年)に、世界大会への挑戦を振り返っての感想、ロボット研究に興味を持ったきっかけ、研究室での学び、今後のキャリア等について語っていただきました。

世界第2位の快挙おめでとうございます!大会の概要を教えてください。

「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」部門で世界第2位に
「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」部門で世界第2位に

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催する国際ロボット競技会WRCは、世界の高度なロボット技術を集結させ、競争を通じて技術開発を加速させるとともに、ロボットの社会実装を促進することを目的とした競技会です。2020年の東京オリンピックの年に世界中のロボット研究者が日本に集い、ロボット技術を競います。今回の大会はそのプレイベントとして今年初めて開催され、ものづくり、サービス、インフラ・災害、ジュニアの4つのカテゴリで合計9つのロボット競技が実施されました。
チーム「SOBITS」が出場した、「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」は、人間とロボットが協働できる生活環境を実現することを目指し、ロボットが与えられたタスクを的確に達成できるかを競うものです。「汎用目的サービスロボット」、「インタラクティブ清掃」、「ヒューマンナビゲーション」の3分野での総合点で予選会を勝ち抜き、上位3チームで競われる最終デモンストレーションを行った結果、世界第2位の結果を出すことができました。

このような結果が出せた要因は何でしょうか?

この大会では大会期間中に提示された部屋でロボットを動かす必要があるため、限られた時間の中で課題に対応する柔軟性や対応力が求められます。チームの一人ひとりが自身の役割を認識し、課題に対して主体的に取り組めたことが今回の結果に繋がったと感じます。
5月の別の大会でも優勝していたので、今回も優勝して研究室の伝統を築こうと皆で思いを共有して臨みました。それぞれが研究活動や諸活動がある中での挑戦ですので難しいことも多かったですが、定例のミーティングで進捗を確認するとともに、皆が責任感を持って大会を迎えられるよう準備にあたりました。この結果は必死についてきてくれた、後輩たちが頑張った結果だと思います。また、どこまでも学生の可能性を信じてくれる崔先生の存在も大きかったです。どうすれば学生が主体的に物事に取り組めるかを考え、背中を押してくれます。

大会に出場した研究室のメンバー
大会に出場した研究室のメンバー

ロボット研究にはいつ頃から興味を持ったのですか?

興味を持ったのは学部2年後期の研究室選びの時です。
配属となる研究室を選ぶため様々な研究室を回りました。その中で一番興味を抱いたのがロボットだったので今の崔研究室を選びました。自分で書いたプログラムで初めてロボットが動いた時の感動を今でも覚えています。授業でただ習うだけのプログラミングや座学がここで生かせるのかと学ぶ目的が明確になったのはこの時だと思います。ロボットを縦横無尽に動かすことは今の最先端の技術を持っても難しいですが、その難しさに挑戦できる。そして今まで出来なかった事が“出来る”に変えれる喜びは計り知れないです。

ロボット研究や大会出場を通して学んだことを教えてください。

「技術力」、「リーダーシップ」、「チームワーク」この3つを研究や大会出場を通して学びました。ロボットは画像認識や音声認識、通信、モーターの制御など様々な総合技術で成り立っています。そのため一つの要素技術に関して詳しいだけではロボットを動かすことは出来ません。幅広い基礎技術、先端技術を知っているからこそ、この技術とこの技術を組み合わせればこの課題は解決できるはずだと全体的な視点で取り組めます。大会や研究を通して多くの技術を学べたと思います。
また、大会では「リーダーシップ」「チームワーク」も大切です。創価大学を1番にしたいと夢を描き、仲間を集め皆で取り組んできました。戦略を立ててチームに共有したりチーム内のコミュニケーション量が増えるよう積極的に話しかけたり、数多くの組織経験を学ばせて頂きました。この点では学部時代の寮役員の経験や部活での執行経験も生かせたと思います。

チーム一丸で掴んだ第2位の結果
チーム一丸で掴んだ第2位の結果

現在の久郷さんの研究テーマについて教えてください。

無人航空機ドローンを使って上空から船の位置を計測する研究をしています。画像計測を用いることでGPSなどより高精度な数ミリ単位での船の位置を知ることが出来ます。この技術を生かすことで将来的には船の操船支援や、操船の自動運転化といったことが期待されています。新たな計測手法を提案して修士論文をまとめる予定です。

今後のキャリアと大学生活を振り返ってのコメントをお願いします。

就職活動をするうえで大事にしていたことは、自分のやりたいことができる会社かどうか、そこで働く人が仕事に誇りを持っているかどうかで決めようと考えていました。これからAIやIoTなど情報化がますます進む社会において、ロボット研究に打ち込んできた経験をいかし、人の生活を豊かにし、笑顔あふれる社会にしたいとの思いで大手電機総合メーカーへの就職を決めました。
学部時代と大学院時代の6年間を振り返って、創価大学で本当に人生を変えてもらったと思います。高校までは人前に出るのも苦手で内向きな性格でしたが、世界大会出場や様々な挑戦を通して、人としても学業や技術の面でも想像以上に成長できたと思います。創価大学のステートメントに「Discover your potential」とありますが、まさにその言葉通りの経験ができた学生生活でした。創価大学では、自分のやりたいことを見つけ、そこに全力を注いで挑戦できる環境があることを後輩にも伝えたいと思います。

くごう のりゆき Noriyuki Kugo

[好きな言葉]
 「失敗は成功のもと」

[性格]
負けず嫌い、やると決めたらやる

[趣味]
写真撮影、旅行に行くこと

[最近読んだ本]
司馬 遼太郎「竜馬がゆく」、戸部 良一「失敗の本質」
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