Vol.18

“後輩のために!”―先輩が姿で示した学生主体の伝統の心を受け継ぎ、創大生の進路を支えるCSS・RSS

CSS責任者:平塚 勇太(経済学部経済学科4年)、加藤 優香(国際教養学部国際教養学科4年)
RSS責任者:矢澤 悠希(経営学部経営学科4年)、小林 良美(法学部法律学科4年)

創価大学には、学生の進路・就職支援を行うグループがあります。それが、キャリアサポートスタッフ(以下CSS)、リクルートサポートスタッフ(以下RSS)です。CSS・RSSには、卒業後の進路が決まった4年生・大学院生が所属し、後輩たちが進路を拓けるようにと、キャリア科目の授業運営補助や履修生との進路相談を行っています。本学の進路・就職サポートにおいては履修生にとって一番身近な存在であり、頼れる先輩たちです。そのCSS・RSSは、本年で結成15年を迎えました。今回は、後輩のためにと活動するCSS・RSSの取り組みとその熱い思いについて、CSS責任者の平塚さん、加藤さん、RSS責任者の矢澤さん、小林さんの4名に話を伺いました。

CSS・RSSはどのようにして誕生したのでしょうか?

矢澤さん:2004年9月、キャリアセンターの開設とともに誕生しました。その当時、まだ縁故採用も存在していましたが、グローバル化が日本において徐々に進み、学生に対して質を重視する「厳選採用」の時代へ変化している時でした。教育界では、キャリア支援に関する取り組みが進展し、創価大学においても学生のためにキャリアの開発や教育の充実に力を入れていこうという状況にありました。その中で、4年生の有志から後輩のために進路・就職の分野で大学建設に関わりたいという声があがり、キャリアセンターの中にCSS・RSSが誕生しました。
平塚さん:結成当時は、数名でイベントを開催するという内容でした。そこから毎年Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)のPDCAを繰り返し、今では多くのキャリア科目が開講されています。また、キャリアイベントや就職サポートも実施され、質・量ともに充実した内容になっています。これも教員・職員の皆さん、そしてCSS・RSSの1期から14期までの1,640名を数える先輩方が作りあげた努力の結晶であり、CSS・RSSの15期はそうした先輩の思いを胸に、総勢105名で活動しています。

CSS・RSSは、どのような活動をしているのですか?まずはCSSの取り組みを教えてください!

加藤さん:CSSの主な活動は、1年生を対象にした「キャリアデザイン基礎」という授業運営の補助と、「ダイヤモンドプロジェクト」という部門活動です。「キャリアデザイン基礎」は、「社会」、「自分」、「仕事」の3者のつながりについて学び、自身の進路を考える授業であり、月~木曜日の2・3・4限に開講しています。CSSは曜日ごとに担当を決めて毎週の授業に参加し、授業内での様々なワークのサポートを行っています。さらに、授業時間外に行うキャリアデザインミーティング(通称:CDM)という個別の進路相談に力を入れて取り組んでいます。この進路相談では、今までのワークを振り返りながら、受講生が「なりたい自分」をイメージし、これからの大学生活で何をするべきかを考え、計画を立てられるように一緒に考えています。今期の授業では、700名を越える学生が履修し、CSSは一人当たり約20名の受講生を担当として受け持ち、2回のCDMを実施します。進路相談前には、質問内容をまとめたプランニングシートを作成し、皆が面談前から受講生のことを考え、面談に臨んでいます。

受講生を励ます加藤さん
受講生を励ます加藤さん
キャリアを考える参考資料として 毎年CSS が作成しているキャリセンターナビ
キャリアを考える参考資料として 毎年CSS が作成しているキャリセンターナビ

平塚さん:この授業運営の補助の他に、ダイヤモンドプロジェクトでは、(1)寮やクラブなどの学内団体へのキャリアサポート、(2)1、2年生を対象にしたキャリアイベントの開催、(3)参加希望者がチームに分かれ、与えられたテーマに対する企画提案をする、学内ビジネスコンテスト「Shine(シャイン)」の運営、(4)キャリアサポートの広報という4つの部門に分かれて活動を行っています。「ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない」と言われますが、人も人との関わり合いの中で、磨かれていくと思います。このプロジェクトが、後輩自身のキャリアを考えるきっかけとなり、一緒に成長できるように、CSSで話し合いながら取り組んでいます。

続いて、RSSの取り組みを教えてください!

矢澤さん:RSSでは、3年次秋学期に開講される「キャリアビジョンⅠ」という授業を履修する学生との進路相談「リクルートビクトリーミーティング(通称:RVM)」を活動の柱に、就活フェスタや就職決起大会といった就職活動をサポートするイベントの企画運営をしています。RVMは、RSSの65名で約1,000名の受講生と3回の進路相談をしています。この進路相談では、就職活動に取り組む中で悩んでいることの相談や自己分析やエントリーシート(ES)作成のサポートをしています。
小林さん:また、ただ内定をとるためではなく、創価大学で学んだ私たちがどんな思いや決意を持って社会に出ていくのか等、就職活動の目的について話すことを大事にしています。この進路相談を通じて、自分が1番輝ける場所を見つける、そのお手伝いをさせてもらいたいと思っています。

RSS へ今後の取り組みを発表する小林さ ん・矢澤さん
RSS へ今後の取り組みを発表する小林さ ん・矢澤さん

どのような思いでCSS・RSS活動に取り組まれているのでしょうか?

受講生を励ます平塚さん
受講生を励ます平塚さん

■CSS
加藤さん
:CSSでは、1、2年生の身近な存在として、相手の可能性を引き出し、キャリアプランを考える機会を提供することを、「CSSスピリット」という共通目標として掲げています。進路に向けて何にでも挑戦できる1、2年生という時期に、一人ひとりの可能性を最大限に引き出していくことを心がけています。可能性に溢れたダイヤモンドの原石である1、2年生と共に成長する思いで、一人の頑張りや苦労に寄り添うことを大切にしていこうと、CSS同士でも励まし合いながら活動しています。
平塚さん:一人を大切にする具体的な行動として、授業や日常生活の中で受講生を名前で呼び、声をかけるようにしています。私自身、就職活動中、1回しか会ったことのない先輩に名前を呼んで声をかけてもらったことがありました。その時、名前を覚えてくれていたことに驚き、本当に自分のことを思ってくれているんだと、先輩の真心に感動したことを覚えています。先輩に大事にしてもらったように、名前で呼ぶことや一言の声かけを通して、一人を大切にして、見守っていること、応援していることを伝えていけたらと思っています。
加藤さん:目の前の一人を励ますことは、その先にいる何万もの人につながることだと思います。今いる後輩を励ますことが、さらに続く後輩を励ますことにつながり、これからの大学を作る人材の連帯につながる。そういう思いで、真剣に向き合っていきたいと日々決意しながら活動しています。

■RSS
小林さん
:RSSは、「後輩のため」「後輩を自分以上の人材に」との思いを大切に活動しています。社会に出れば「創価大学出身」という肩書きを背負います。自分たちの姿を通して創価大学という大学を見られていると思うと、創大生としての自覚を持って行動する事が大事だと思っています。創立者は、創価大学設立の思いを「世界の平和と人類の幸福に寄与すべき人材を育てたい」と教えてくださったことがありました。この言葉を実現していくことは難しいですが、創大で学んだ私たちが、どうすれば“世界の平和と人類の幸福に寄与できるか”を考え行動していくことがひとつの姿だと思うと、それを一緒に考えて就職活動に臨んでもらいたいと思っています。
矢澤さん:私も、大学生活を振り返ると、自分の成長のことを考えることが多かったのですが、就職活動を通して、先輩から“何かのために頑張る”ということの大切さを教えてもらいました。私が企業のインターンシップに合格したものの、参加するかどうかを悩んでいたことがありました。先輩に相談した際、「君の挑戦は、自分のためだけじゃないんだよ。創価大学の学生として、そんな気持ちでいいのか」と叱咤激励されました。厳しいことも面と向かって言ってくれる先輩の姿に、創大生として頑張るということはどういうことなのか、考えるようになりました。先輩が後輩のためにここまで尽くしてくれるのは、自分だけの成長のためではなく、創価大学そして後輩のために挑戦するという利他の心があるからこそできる行動なのだと実感しました。私たちが今“後輩のため”と思えるのも、全ては先輩のおかげです。この思いを姿で示してくれる先輩に出会って今の自分があると思えるからです。これは、学生主体の創価大学にあって、「後輩を自分以上の人材に」との創立者の思いを、これまでの先輩が姿で示し、受け継がれてきた歴史であり、それが伝統だと思います。だからこそ、私たちもRSSの活動を通し、この伝統を後輩に受け継ぐために、一人ひとりに本気で関わっていきたいと思っています。

RSS同士で思いを共有しあうミーティングの様子
RSS同士で思いを共有しあうミーティングの様子

なぜCSS・RSSを志願しようと思ったのですか?

平塚さん:私自身、就職活動に臨む中で、思い通りに進まない悔しさもありました。そんな時、RSSの先輩から「自分の無理だと思うこと、その自分の限界に挑戦しないと何も変わらないよ」と言われ、その言葉が就職活動だけでなく自分自身の今後の生き方を自問自答するきっかけになりました。これまでの自分を振り返ると、自分には無理だと諦めていることがあったように感じました。その苦闘の中で、がむしゃらに挑戦し希望した企業から内定をもらうことができ、自分の可能性を信じて挑戦することの大切さを感じました。悔しかった経験も含めて、私の人生の財産になったと感じています。だからこそ、自身の経験を後輩に伝えていきたい。後輩の可能性を一緒に拓きたいと思いました。

加藤さん:卒業まで残り半年、自分がお世話になった大学のために何ができるかを考えたときに、真っ先に浮かんだのがCSSでした。自身の就職活動で、先輩に励ましてもらった事が大きなきっかけだったと思います。私は教育業界を志望していましたが、第一志望の最終面接で落ちてしまいました。その時、就職活動中、何度もESの添削や面接練習でお世話になっていた先輩がすぐに励ましのメールを送ってくれ、励ましてくれたのです。一人の後輩にここまで寄り添い励ましてくれる先輩に、なんて熱い思いのある先輩なんだろうと感動しました。それとともに、どうすればそんな先輩に恩返しができるかを考えた時、それは、直接先輩に何かする事以上に、先輩が大事にしている“後輩のために”という思いを受け継ぎ、後輩に尽くしていくことだと気付きました。
小林さん:私も、ただただ恩返しの一言に尽きます。選考が迫っているのに本気になれていなかった時、RSSの先輩が自分の甘さを見抜いてアドバイスをしてくれ、ES添削を手伝ってくれたり、内定が出た時にはすぐに電話で祝福してくれたり、心から応援してくれました。一緒に悩んで、一緒に喜んでくれる、そんな先輩がいたから、今の私がいます。だからこそ、先輩の行動に学び、後輩のために自分ができることをしていきたいと思っています。また、卒業前にRSSとして活動することは、自分自身の成長のチャンスだと感じています。RSSの活動は、中途半端な思いではできないと実感するからこそ、本気で後輩のこと、大学のことを思える自分になっていきたいと日々挑戦しています。

実際に活動する中で苦労していることは何でしょうか。

■CSS
平塚さん・加藤さん
:CSSの取り組みを先程紹介しましたが、その年にどういう活動をするかは、先輩から受け継いだ冊子を基に、職員の方と相談しながら、自分たちで考えています。私たちも初めて関わる訳ですから、不安は尽きません。特に、「キャリアデザイン基礎」の授業は、12コマ開講されていますが、受講する学生によって、それぞれの授業の雰囲気も異なります。その中で、受講した学生が自身のキャリアを描いていけるように、それぞれの雰囲気に合わせた運営を考えていくことは、簡単ではありません。CSS同士で真剣に語り合いながら、知恵を出して工夫をしています。

面談に向けて、RSS同士で励ましあう小林さん
面談に向けて、RSS同士で励ましあう小林さん

■RSS
矢澤さん・小林さん
:就職という人生の転機に関わることは、とても大きな責任があり、本気で人のために何かをするというのは、言うのは簡単でも実際の行動はとても難しいことです。自分がRSSという立場になって、先輩が自分たちにしてくれたサポートがどれほど大変な苦労があったかを感じます。進路相談の中で、受講生から様々な相談を受けます。自分なりに、受講生の思いを引き出せるようにと一生懸命向き合い話をしていますが、振り返ると“後輩の話を聞けていたかな”“後輩の未来を拓こうと思えていたかな”と不安になることも多いです。だからこそ、「本気で後輩のためと思えているのか」を常に自問自答しながら限界に挑み、真心を込めたきめ細やかなサポートに努めています。

最後に、後輩たちにメッセージをお願いします!

平塚さん・加藤さん:1、2年生の時は、将来のことが漠然としていて「分からない」「イメージできない」ということに不安を覚えることもあると思います。また時に、自分の可能性を信じきれないこともあるのではないでしょうか。私たちも、1、2年生の時「自分にはできない」と卑屈になって、諦めそうになることもありました。しかし、皆さんの可能性は無限大です!「これからの大学生活で、キャリアの選択肢を大きく拓いていくことが出来る!」ということを、私たちは創価大学で学び、経験しました。万が一、皆さんが自分を信じられなくなっても、私たちCSSが信じています!皆さんが自分の無限の可能性を信じて、キャリアを自由に描き、わくわく出来る大学生活を送っていくことを心の底から願っています!そのために私たちは皆さんと共に悩み、考えていくので、いつでも声をかけてくださいね!
矢澤さん・小林さん:就職活動は今までの人生を改めて振り返り、自分の今後の生き方を定めていく貴重な機会です。そして、ただ企業から内定を得るためのものではなく、自分が創大生としての使命を果たしていこうと決意し戦っていける場所を自分で掴み取っていく挑戦です。私たちも、就職活動を通してたくさん悩み抜いたからこそ、納得のいく進路を勝ち取ることができたと思います。私たち創大生には、社会の中で創価大学の真価を証明していく使命があります。その使命を自覚した時、一人ひとりの無限の可能性が拓かれていくと確信しています。就職活動を通して様々な悩みに直面することもあるかと思いますが、そんな時は是非、私たちRSSに相談してください。皆さんと共に、使命の進路を勝ち取る挑戦をさせていただける感謝を胸に、全力でサポートさせていただきます。一人の創大生として、創価大学の未来を拓くため、共に使命の進路を拓いていきましょう!

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