プラスチックフリーの大学を目指して、学内のカフェでストロー75%削減を実現!
金沢 希(かなざわ のぞみ)、谷口 伸太郎(たにぐち しんたろう)
松下 知彦(まつした ともひこ)、光畑 華菜(みつはた はるな)
プラスチックごみ問題に注目し、キャンパス内のプラスチック使用量の削減にチャレンジをしていたのが、経済学部高木ゼミの皆さん。日本では、2020年7月からレジ袋が有料義務化されますが、アフリカでは30ヵ国以上でレジ袋の使用が禁止。世界ではすでに120ヵ国以上で使用や配布についてなんらかの規制がされています。
高木ゼミでは、中央教育棟4Fのグランカフェでコールドドリンク全てにストローが提供されていることに気づき、運営会社のフィールドストーンと協働。希望制を提案し、変更してもらいました。今回は、経済学部ゼミ対抗研究発表大会に出場した4名に、プロジェクトへの思いや試行錯誤の様子を聞きました。
プロジェクトの概要について教えてください!
金沢さん:私たちのプロジェクトは、Sustainable SOKA university for SDGsと言って、それぞれの頭文字をとって、3Sプロジェクトと呼んでいます。SDGsに貢献する持続可能な大学を目指して、学内のプラスチック削減に取り組むという活動です。日本は、特に食べ物や飲み物の包装が過剰と言われています。その包装の多くがプラスチック製です。スーパーグローバル大学として採択も受けている創価大学で、学生が主体者となってSDGsに取り組んでいきたいと思っていました。プラスチックは環境負荷が高く、リサイクル、リユース、リデュースの3Rの中で、リデュースが重要であることをゼミで学びました。プラスチック削減のために、「プラスチックを使わない機会」を提供していこうと考え、学内の余分なプラスチック探しを開始しました。
なぜ3Sプロジェクトを実施することになったのでしょうか?
光畑さん:まず、プラスチック事情についてリサーチしました。世界では、プラスチック問題に様々な形で取り組んでいます。レジ袋の規制では、厳しいところは製造禁止です。アメリカでも禁止されている州もあり、イタリアでは全面禁止です。日本では来年から有料義務化されることが決まりました。
また、学生を対象としたアンケート調査を実施し、他大学のプラスチック削減の取り組みも調べました。それらを参考に、創価大学でも同様の取り組みができないだろうかと検討を開始しました。
私たちは東京農工大学をロールモデルにして、自動販売機のペットボトルをすべて缶に出来ないかと考え、まずは、何もわからなかったので、「コカ・コーラ」本社に電話したんです。「ペットボトルを取り扱わない、缶のみの自動販売機に変更することはできますか?」と訪ねたところ、担当者から「それは大学との契約で決めているので、大学の担当者に確認してください」と言われました。そして、創学サービスのお話しを聞きにいきました。大学には寮を含むと約200台の自動販売機を契約しており、それぞれの自動販売機ごとの契約が違うことを教えてもらいました。それらを変えていくには、かなりの時間がかかると言われました。今回は、ゼミ対抗に間に合わせなければいけなかったので見送りました。そのまま、学生ホールのレジ袋の廃止ができないかと聞いたところ、「来年度から廃止する予定」との回答がありました。
光畑華菜さん

谷口さん:次に学内のローソンへ交渉しましたが、本社との調整が必要となり、時間の関係でこの場所もあきらめ、そこで、中央教育棟の4階のグランカフェに行きました。グランカフェの運営会社の代表の方を訪ねて、私たちの提案のことを話すと「実験的にやってみましょう」と言ってくれたんです。とても嬉しかったです。その方もプラスチック削減に興味をもっていらっしゃったようです。グランカフェではフタやマドラーをドリンク購入した方が自由に取れるようにテーブルにおいていましたが、それらを希望制にしたんです。あわせてグランカフェのスタッフの方に、フタやマドラーの希望者数の記録をつけてもらいました。
松下さん:並行して私たちはアンケート調査を行い、創大生192人に協力してもらいました。そのアンケートでは、学生生活におけるペットボトルやレジ袋の消費量、使用する理由なども聞きました。その結果をみても、「フタやマドラーの削減ならできる」と希望が持てました。アンケートから「容器」について需要はあまりないことがわかり、過剰な包装は不要だと解りました。アンケートを通じて仮説を立て、そして、実際に減らすことができました。
プロジェクトを進める中で苦労したこと、その乗り越え方やその成果を教えていただけますでしょうか?
金沢さん:学内のどこに行っても「難しい」「実現できない」といったことばかりで、実施できる場所を見つけるのが一番大変でした。まだまだ、プラスチックを使用するのが当たり前な社会だということを、文字通り体感しました。とにかくフットワーク軽くいろんなところにあたってみようという気持ちでした。
グランカフェでは、これまでコールドドリンクを提供する際に、すべての商品にストローをつけていました。実証実験として6週間、ストローを希望制にしてもらいました。その結果、75%のストローを削減することができました。このことから、希望制の本格導入が決まりました。いきなりなくなったことについて驚いたという声はありましたが、不平や不満といった声はなかったようです。

このプロジェクトを進める中で得たこと
光畑さん:このプロジェクトを進めて「学生でも実現できるんだな」ということを実感しました。私はもともと環境問題に興味を持っていたので、このプロジェクトに対するやりがいを感じています。過去の経験から意識変革をしていくことが大切だということは分かっていました。しかし、意識変革の先の行動変革までには、さらにいくつか段階があります。そのためにも、意識変革よりもプラスチックを使わない機会を提供しようと思っていました。実際にゼミを通して自分の考えを実行できたこと、また、学生として学内で、環境問題に貢献できるプロジェクトができたことはとても大きな経験です。プラスチック問題はSDGsの中で、12.13.14.15のどの項目にも影響があります。私たちは、プラスチックを使わない機会を提供し、意識を変えていき、「別にプラスチックのフタやストローは、要らないな」と思ってもらえれば、コンビニなどで買い物をする際も、レジ袋は要らないという行動につながると思うんです。他の場所グランカフェでドリンクを購入する際にも「フタ、必要ないな」となれば、そういった行動が広がってくんじゃないかと思います。会社のオペレーションで削減できないのなら、消費する私たちが自ら断ればいいんですから。
金沢さん:私は昨年、韓国に留学していたのですが、カフェやレストランでは紙ストローを使用していました。日本では見たことがなかったので驚きました。韓国人の友人に聞くと「紙ストローなんてずっと前からだよ」って言われました。レジ袋だって有料です。みんなスーパーでは仕入れで使用した後のダンボールをリユースします。環境問題への対策をちゃんとしているんだなと感じました。韓国では当たり前の行動になっているんです。帰国して、高木ゼミでSDGsについて学び、今は日本国内でも企業でも取り組みが広がっています。プラスチック問題を学ぶ過程で、ウミガメの鼻の穴にストローが刺さってしまっている動画を見たときに、人間のポイ捨てなどの行動が他の生物をいじめているんだなと心が痛くなりました。この活動を通して、少しでも貢献できたのかなと思っています。
谷口さん:3Sプロジェクトを通じて、プラスチックが環境に影響を与えている実情を知ることができて良かったです。私は、知ることが一番大事だと思っています。知らなければ何も始まらないので、知るという行為が意識を変えるきっかけになると感じています。また、プラスチック問題を知らない人には、なかなか伝わりにくいのですが、興味がある友人とは「そのプロジェクト、すごいな。俺も気をつけているよ」と言ってくれ、熱い会話が広がったときはすごく嬉しかったですね。このプロジェクトは意識改革できると思うので、多くの人に参加してもらいたいです。プラスチックを使わないのが行動の基本になると嬉しいです。
松下さん:このプロジェクトは、自分たちの行動で社会課題を解決できる一歩だと感じました。プラスチックを減らす意識啓発として、ポスター展示や映像を作ったりも出来たのですが、私の考えだとそういったことに興味のない人の目には入らないと思うんです。実際に行動してもらう方がいいのかなと。そういう機会を提供することで、「あれ、なんでストローが付いてこなくなったんだろう?」と疑問を持ってもらい、その背景を通してプラスチックが問題になっていることを一人でも多くの創大生に知ってもらえたらと思います。学内のプラスチックが、海洋へ与える影響はすごく小さいと思うのですが、可能性は0ではないと思うんです。創価大学がこういう取り組みをしていることが他大学や企業などにも広がり、プラスチック問題に取り組む人が増えていけばいいなと願っています。
このプロジェクトの今後の流れ
光畑さん:プロジェクトの目標はSDGsに貢献していくことです。創大生のみんなはレジ袋をもらわないのが当たり前という学生になっていくきっかけだと思うんです。未来の創大生には、持続可能な行動が当たり前であって欲しいです。プラスチック問題だけでなく、例えば、大学の授業でペーパーレス化ができないかなとか考えたりしています。教職員と学生が協力して、持続可能な大学を目指していきたいと思っています。
創価大学や経済学部の魅力を教えてください!

金沢さん:創価大学に入る前のイメージは、グローバルな大学でした。入学してみると留学生も多くて、たくさん関われる機会があります。私は韓国に興味があって、韓国からの留学生の友達もたくさんできました。創大祭の留学生喫茶など は貴重な経験でした。いろんな外国人の友達と仲良くなる中でグローバルな視野を持ったり、実際に慶南大学に留学をしてみて環境問題の現場に触れることができました。韓国で日韓の水産交流会の通訳のバイトをしたことがあります。その場でもプラスチック問題があがっていました。そこで現状を知った後、このプラスチック問題を学べたことで、学びと経験をつなぐことができました。私の好きな言葉でもある「その気になればなんでもできる」を改めて実感する事ができました。創価大学は自分がやりたいと思ったことを実現できる大学だと思います。
光畑さん:創価大学は地球規模で視野を広げ、そして、行動できるようになる大学だと思います。私は経済学部に入って英語の勉強をし、国際協力についても勉強しました。そして、大学のキャリアセンターが提供しているグローバル・リーダー・カレッジで、意識の高い仲間と切磋琢磨しながら、知見を深めました。留学も自分が興味のあった貧困の現場を見るためにフィリピンのデ・ラサール大学に行きました。地球規模で取り上げられている社会問題に対して、学生として行動を起こせたことは本当に良かったです。創価大学は、視野を広げて、自分のやりたいことを存分にできる大学です。就職のためだけの大学では全くないですね。
高校時代は、大学に入ったら国際協力を思いっきり学びたいと思っていました。そのため、ゼミも開発経済学にしました。国際協力は、絵にかいた餅のようになりやすく、今いる場所でどう行動するかが難しいのですが、創価大学では一緒に考える仲間もいるし、仲間がいるから行動できるんです。
谷口さん:経済学部は、いい意味で意識が高い人が多いと思っています。僕は、周りよりも意識は低かったんですよ。大学に入って勉強に打ち込むというイメージはあまりなかったんです。だからこそ、そのギャップで、日常がとても刺激的になりました。たくさんのことを学びました。そして、行動できるようになりました。周りもその実現のために協力してくれます。
また、創価大学がいいなと思うことは「自分について知れること」だと思います。目的意識の高い仲間の中にいると、自分は何をしてきたのか、自分は何をしたいのかということを、自然と見つめます。社会に出て何がしたいのかということを考えさせられるんです。自分を知れば何がしたいか、明確になってくると思うんです。そういった面で非常に良い大学だと思います。SDGsについて学んで、自分はどの項目に貢献しようかなといったことも考えられると思います。周りと比較して自身を卑下する必要は全くありませんが、友人からたくさんいい影響を受けます。
松下さん:私には経済学部に入った理由の言葉があります。経済という言葉は「経世済民」を略したもので、「世を經さめ、民を濟ふ」という意味です。高校時代に、おさめて人々を苦しみから救うというこの言葉に触れて、「経済を学べば社会で困っている人を助けられるんだ」と思いました。経済を学ぶ根本の思想だと思い、その言葉通り、実際に大学では直接社会問題にアプローチできます。そこが経済学部の一番いいところだと思います。私は高校生の頃、将来やりたいことや目標はありませんでした。そういったものがなくても創価大学に入れば見つかるチャンスがたくさんあります。自分は国際学生寮という留学生と一緒に住む寮に入り、そこで初めてできた留学生の友人が中国人でした。そのことから中国に興味を持ち、入学前までは、少し苦手意識があったのですが、その友人と触れていく中で、意識がどんどん変わっていき、昨年、中国の南開大学へ交換留学に行きました。その出会いがなければ、今の創大生活はなかったです。

[好きな言葉]
마음만 먹으면 다 할수있다!(その気になればなんでもできる)。
[性格]
社交的
[趣味]
旅行、映画鑑賞、バスケットボール、コナン
[最近読んだ本]
「100%好かれる1%の習慣」松澤萬紀
みつはた はるな Haruna Mitsuhata
[好きな言葉]
be the change
[性格]
サバサバ
[趣味]
YouTubeを観ること、石鹸集め
[最近読んだ本]
「地頭力を鍛える」細谷功
たにぐち しんたろう Shintaro Taniguchi
[好きな言葉]
為せば成る
[性格]
明るい
[趣味]
映画鑑賞、カラオケ、ダーツ、野球
[最近読んだ本]
「晏子」宮城谷昌光
まつした ともひこ Tomohiko Matsushita
[好きな言葉]
自分らしく
[性格]
几帳面
[趣味]
漫画、映画鑑賞、野球観戦
[最近読んだ本]
「三体」劉慈欣