創価芸術を通して希望の光を!―初のオンライン創芸展開催への挑戦

山城 英之 法学部法律学科3年
村本 将哉 文学部人間学科3年
バトラー 健人 経営学部経営学科3年
山崎 ちひろ 文学部人間学科4年
毎年、創大祭の開幕に合わせて開催される、創価一貫教育の総合芸術展である「創価芸術展(以下、創芸展)」。今年は新型コロナウイルスの影響で、通常開催が難しくなる中、10月14日から初めての試みとしてオンライン開催として開幕しました。
本年4月以降、緊急事態宣言による春学期授業の全面オンライン化、そして構内への立ち入り禁止と、創芸展に関わる美術部、書道部、写真部、華道部のメンバーは、これまで通りの作品制作ができない状況となりました。そんな中でも、1990年から続くこの創芸展を途切れさせてはいけないとの決意で、オンライン開催に挑んだ実行委員会のメンバー5名に、創芸展への思いや制作の苦労などを伺いました。
第31回創価芸術展の開催、おめでとうございます!まずは、創芸展について教えてください。
谷口さん:創価芸術展は、1990年6月に創立者・池田先生が、一貫教育校でもある関西創価小学校で児童の絵画を鑑賞された際に「創価一貫教育の芸術展を開催してはどうか」とご提案されたことをきっかけに、同年11月の創大祭で創価大学創立20周年の記念行事として開催されました。第1回は、創価女子短期大学の白鳥体育館で開催され、創大・短大の美術部、書道部、写真部、華道部の学生を中心に、東西・小中高の創価学園生や札幌創価幼稚園の園児の作品、計670点が出展されました。記念すべき第1回創芸展を鑑賞してくださった創立者から、「すばらしいね。巡回展をやろう。時代は絵画とか文化を目指している。上手だ、素質がある。世界に持っていこう。いいことをやりました。来年もやろう」とのご提案をいただき、その後、創価の学び舎がある関西、北海道をはじめ日本各地での巡回展を行うことになりました。1998年には韓国・国立済州大学、2000年には香港・香港創価幼稚園で開催するなど、回を重ねるごとに発展し続けてきました。
村本さん:第2回からは、池田記念講堂に場所を移し盛大に開催してきました。第5回には創立者が作品を鑑賞された後に「創価文化の建設に感謝」とご揮毫をしてくださり、以降の創芸展の原点となっています。「創価芸術」の名を冠して開催される創芸展は、関わる4つのクラブ団体にとって年に一度の一大イベントで、一番多くの人に見てもらえるイベントです。だからこそ、いつも以上に手の込んだ作品制作に取り組んでいて、“日頃の努力の成果を発表したい”、“自分の作品を通して何か感動を与えていきたい”という思いで活動しています。
山城さん:創価大学・創価学園の教職員の方々に協力していただきながら、学生主体で運営しているのがこの創芸展です。創価幼稚園から大学までの一貫教育の芸術分野における結晶であり、その誇りを持って携わっています。また、皆が普段の授業や勉学と両立して作品制作に励んでいます。そういった学生らしい努力が作品に感じられるとともに、さまざまな分野の芸術作品が一堂に会する総合芸術展であるからこそ、他の展覧会にはない魅力があると思います。
今回のテーマ「燈(ともしび)~創価芸術の底力~」にはどのような思いを込めていますか。
谷口さん:今回のテーマは、新型コロナウイルスの影響で世界中が困難に直面している今だからこそ、私たちが率先して立ち上がり、芸術の力で皆を照らし、希望の光を贈る存在になろうとの思いを込めています。メインテーマの「燈」は火の核となるものを指し、小さなものから大きなものへと成長し、何もないところに火を燈すように新たな挑戦をしていくことを、サブテーマの「創価芸術の底力」には、芸術の力によって周りを奮い立たせるという意味を込めました。そして、不安な情勢にある今だからこそ、私たちはここで歩みを止めるのではなく、逆境を糧に大きく成長し、前進していきたい、また、100年、200年先へと創価芸術展のバトンをつなぎ、皆を照らしていく希望の光のような存在になるために、私たちから周囲に連帯の輪を広げていきたいという決意でもあります。実際に初のオンライン開催となり、前例がなく手探りの中でしたが、このテーマを胸に実行委員会が団結して挑戦してきました。

看板部門の実行委員会メンバーが作成したモザイクアート。ゴッホの「ローヌ川の星月夜」をモチーフに今回のテーマを表現している。
オンラインでの開催には、どのような苦労がありましたか。
谷口さん:一番大変だったのは、先輩に聞いても、学生課の職員の方に聞いても、誰もが、オンライン開催を経験したことがなく、試行錯誤しながら手探りで進めなければならなかった点です。
実行委員会の発足に向けて話し合いをしていた3月頃から徐々に新型コロナウイルスの感染が拡大し、4月に実行委員会を立ち上げたものの、緊急事態宣言によって学内の立ち入りも禁止となり、どうするべきか本当に悩みました。作品が集まるかどうかわからない中で、開催しないという選択肢も考えられました。しかし、創立者のご提案から始まり、30回まで続いたこの創芸展を途切れさせたくない、また、私達の芸術で観てくださる方々を元気づけたいとの思いで、5月頃、開催の意思を固めました。それでも、通常開催できるかは授業の再開状況によるし、できたとしても感染予防対策をどうするのかという懸念もあり、やりたくても難しいのではないかと感じていました。かといって、オンライン開催もどういう形になるのか簡単には想像できず、「どうなるんだろう」「どうすればいいんだろう」と常にみんなで試行錯誤の連続でした。
7月になってオンラインでの開催が決まり、そこから夏休み中に詳細を決め、8月下旬にようやく公募を受け付けることができました。オンラインでの開催となると、池田記念講堂での開催と異なり、委員会活動の見直しや募集にあたっての規約を変更する必要があり、各分野の状況を考慮してこれらを決めていくことはとても大変でした。また、その打ち合わせもすべてオンラインや電話だったので、意思の疎通が難しく1つのことを決めるのにいつも以上に時間がかかりました。
各部門の作品制作もいつも以上に大変だったかと思います。まずは、書道部門から様子を教えてください。
山城さん:例年書道部は、7月頃から創芸展の出展にむけて、どういう作風に仕上げたいのか講師の先生と一人ずつ構想を練って、夏休み中に制作に取り掛かります。夏合宿も行い、そこで書き上げることがほとんどだったのですが、今年は合宿も開催できず、多くの部員が実家にいました。どの部門も同じ悩みがあったと思いますが、制作に必要な道具はすべて大学にあり、それらを個人で揃えることは難しい状況にありました。8月末にようやく大学に行けたのですが、部活を開いても活動 教室の人数が4名に制限されるなど集えるメンバーも少なく、実際はほとんどが実家や一人暮らしの自宅で制作に取り組んでいました。そうなると大きいサイズの作品制作は難しい人も多いので、今回は規約を制限するなど工夫しました。私も一度部室に道具を取りに行って、八王子の自宅で取り組みましたが、普段と異なる環境での制作は思ったよりも大変でした。年に一度の大きな展覧会で思い入れも強いため、これでいいのかなという試行錯誤を繰り返し、納得のいく作品を完成させることが、いつも以上に難しく感じました。
それでも、クラブの執行部が中心となって春学期中もZOOMを活用した練習会や品評会を行うなど、期間が短いなかでも出展を部員に呼びかけてくれ、最終的には書道部から約30名の作品と教職員、一般公募からも出展していただくことができました。
美術部門はいかがでしたか。
バトラーさん:僕自身は写真部員なのですが、実行委員として美術部門を担当し、美術部の皆さんと連絡をとりながら進めていました。連絡を取る中で、出展に臨むモチベーションの維持にとても苦労されていました。美術部門は、他の部門以上に特殊な道具の使用や工程が多く、大学に来ることができないというだけで制作自体が不可能になったり、道具があったとしても、自宅で制作に取り組めるスペースが確保できなかったりと制約が多く、今回の出展は見送るという方もいらっしゃったようです。実際に、例年は出展がある“陶芸”などは、大学に来られないと窯で焼くことができないなど、出展したい気持ちがあったとしてもどうすることもできず、残念ながら今年は立体作品(陶器、陶芸等)の出展はありませんでした。しかし、そんな中でも16作品の応募をいただきました。この状況下でも取り組めるコンテンツとして、初めてデジタル作品に挑戦されている方もいました。また、作者コメントを読むと、「これまでの日常が戻って欲しい」「社会が元気になってほしい」など、今の思いを率直に作品に込めて取り組まれていたんだなと思いました。
続いて、写真部門の様子を教えてください。
村本さん:写真部門は、例年、出展の規約として、前回の創芸展以降に撮影した写真での応募が決まりとなっています。創芸展が終わったらすぐに来年度に向けて撮影に取り掛かる人もいれば、創芸展前の夏休みに集中して撮影する人もいます。今回は、早くから撮影していた人は出展できる作品がありましたが、緊急事態宣言以降、外出を控える必要がある中で撮影が厳しくなり、出展できない人もいました。
写真部の中でも、個人でカメラを持っている人もいれば、持っていない人もいます。そういう人には、これまで部室のカメラを貸し出していましたが、それもできずスマートフォンを使って撮影するメンバーもいました。また、この状況下で例年実施している撮影会や夏合宿も中止となり、これまで合宿や撮影会での作品を出展する人もいたため、出展したくてもできなかったメンバーもいたように感じます。また、WEBページに掲載する上で作品とのバランスをとるため、今回は作者コメントの文字数を減らしたのですが、字数制限ぴったりで送ってくれる人もいたので、コメントをまとめるのも苦労したのかなと思います。こんな状況下でも出展してくださった作品のコメントには、「早くコロナが終息してほしい」、「暗い状況のなか写真を見て明るい気持ちになってほしい」といった声が多く見られました。これまではこのようなコメントの作品はあまりなく、今年ならではの思いのこもった作品になっていると思います。
華道部門はどのように取り組まれましたか。
山崎さん:いつも華道部は、先生が近くで指導し、サポートしてくださる中で制作していました。しかし、今回は大学で集まることもできず、それぞれが自宅での制作となりました。近くのお花屋さんに自分のイメージにあったお花があるかどうかはわからない。部室にはたくさんある花器も手元にない。そんな状況下で、皆があるものでできることをやろうという気持ちで取り組んでいたと思います。これまでは池田記念講堂に設置されるため、大きな花器を使って厳格な作品制作に取り組んでいましたが、今回は空き瓶やグラスなどをうまく活用するなど、今までとは違った身近な作品が多く出展されました。
LINEなどで先生に相談はしていたものの、実際の制作はすべて自分一人の力で行う必要があったため、うまくお花を止められなかったり、細い花器を何度も倒してしまったりと、いつも以上に時間がかかりました。絶対に完成させようという強い思いで粘り強く頑張り続けることが求められ、基本的な技術が大事なことを再確認する機会にもなったと思います。また、オンラインだったからこそ久しぶりに公募での出展もしていただくことができました。大変なことも多くありましたが、新しい挑戦だったからこそ成長できたことも多くありました。
皆さんの様子から、改めて創価芸術の底力を発揮された総合芸術展であることを感じました!最後にメッセージをお願いします。
谷口さん:制限が多い中で大変なことも多くありましたが、それでも今回の創芸展には合計489点もの作品が出展されました。すでに観ていただいた方から「初めて観たよ、すごいね」「開催してくれてありがとう」「地元から観られてうれしい」などのお声をいただき、このようにオンラインで開催できたことを心から嬉しく思っています。これも、出展してくださった方々をはじめ、教職員の方々や創価学園の関係者の方々など、支えてくださった皆様のお陰です。本当にありがとうございました。
今までの創芸展は、創大祭と同時期にスタートし、学内で鑑賞できるのは1週間のみで、観ていただける方が限られていました。しかし今回はオンライン開催となり、今まで観たことがない方や観たくても来られなかった方など、誰でもどこでも気軽に鑑賞していただけます。一人でも多くの方に観ていただき、私たちの作品を通して笑顔になっていただきたいです。ホームぺージ上でアンケートを実施しているので、ぜひ感想もお聞かせください!
山崎さん:コロナ禍でオンライン開催になったことは、私たちにとっても各クラブ団体や創芸展のことをより知っていただけるチャンスとなりました。これを機に創芸展に興味を持っていただけたら嬉しいです。
バトラーさん:12月24日(木)まで開催しています。じっくり時間をかけて何度でも鑑賞していただけるので、ぜひ作品に隠れた作者の思いや作品の意図を感じてほしいです。また、観る方によって受け取った印象や感想は異なると思います。ぜひ、それぞれの感性で楽しんでいただければと思います。

●第31回創価芸術展
【テーマ】燈~創価芸術の底力~
【展示期間】2020年10月14日(水)~12月24日(木)
【参加団体】
創価大学、創価女子短期大学、創価高等学校、関西創価高等学校、創価中学校、関西創価中学校、東京創価小学校、関西創価小学校、札幌創価幼稚園
[好きな言葉]
「青春の失敗とは失敗を恐れて挑戦しないこと」
[性格]
温和な性格
[趣味]
音楽を聴くこと、お菓子作り
[最近読んだ本]
『コロケーションの通時的研究―英語・日本語研究の新たな試み―』堀正広、浮網茂信、西村秀夫、小迫勝、前川喜久雄
[好きな言葉]
「追い詰められた場所にこそ大きな飛躍があるのだ」
[性格]
素直
[趣味]
食べること
[最近読んだ本]
『最強の教訓!世界史』神野正史
[好きな言葉]
「なるようにしかならない」
[性格]
マイペース、冷静、真面目
[趣味]
お笑いを見ること、写真を撮ること
[最近読んだ本]
『変動社会と子どもの発達』住田正樹、高島秀樹
[好きな言葉]
「十人十色」
[性格]
真面目で協調性がある
[趣味]
猫を見ること
[最近読んだ本]
『地図で楽しむ本当にすごい千葉県』都道府県研究会
[好きな言葉]
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く」
[性格]
好奇心旺盛、実は情熱的
[趣味]
料理、散歩
[最近読んだ本]
『アウトサイダーズ』ハワード S ベッカー