Vol.41

目標の箱根駅伝3位へ!“先を考えて行動する”創大駅伝部マネージャーの挑戦

写真、中央が豊福さん
豊福 妙香 駅伝部主務・教育学部教育学科4年

 1月2日、3日の「第97回東京箱根間往復大学駅伝競走」(以下、箱根駅伝)まで、いよいよ1ヶ月をきりました。本年の第96回大会では沿道からの声援を力に、選手たちが持てる力を存分に発揮し、本学駅伝部は総合9位(往路7位、復路9位)の結果で初のシード権を獲得。また、1区区間賞、10区区間新記録と創大駅伝部の新たな歴史を築きました。
 この勢いのまま、鈴木渓太主将を中心に新チームがスタート。しかし、その矢先、新型コロナウイルス感染症の拡大により公式戦が中止になるなど、これまで経験したことのない状況でのチーム作りがスタートしました。
 「もう一花咲か創価」とのチームスローガンを掲げ、箱根駅伝総合3位を目標に掲げる駅伝部。チームを陰で支えるマネージャーにとっても新しい挑戦の日々が開始しました。今回の創大Daysでは駅伝部初の女性主務である豊福妙香さん(教育学部4年)に、今年のチームの特徴、マネージャーの役割や仕事、本大会に向けた抱負等を語っていただきました。

シード校として迎える初めての箱根駅伝ですね。チームの雰囲気はどうでしょうか。

選手のタイムを計測する様子
選手のタイムを計測する様子

 本大会が迫るにつれ、選手・スタッフを含め、緊張感が日に日に高まっています。シード校だから迎え撃つという雰囲気ではなく、予選会を勝ち抜いて出場してきた時と同じように、チャレンジャーとして強豪校に立ち向かっていく気持ちのほうが強いですね。
 10月下旬の予選会に出ていた前回大会までは、予選会にピークを設定し、さらに本大会へギアをあげていく必要がありました。今回は箱根駅伝一本に絞ってのチーム強化となりましたので、そういった面では本大会に照準を定めたトレーニングができており、気を緩めることなく当日を迎えられるのではないかと思います。
 選手たちが箱根路で持てる力を出し切れるよう、できるサポートは全てやり切ろうとマネージャー間で声をかけあい、雰囲気づくりに力を入れています。

今年のチームの特徴を教えてください!

 1点目は「チーム全体が明るい」ことです。特に最高学年の4年生が明るく、真面目なメンバーが多いです。昨年に引き続き、4年生のもと各学年を混ぜた「縦割り班」を活用しながら練習やミーティングを行いました。そうした成果が2年目になって顕著にあらわれ、4年生の明るい雰囲気が下級生に伝わり、良きライバルでもあり良き仲間として、チームの一体感がより強まった印象です。
 2点目は「怪我が少ない」ことです。夏合宿が終わった時点で怪我をしている選手が、これまでと比べて断然少ないです。怪我人が減ったことで、チーム内でハイレベルな競争ができ、チームの安定感に繋がっていると感じます。昨年に榎木監督が就任し、栄養管理に力を入れてきました。栄養士のサポートを受け、BMIの目標値の設定による食事管理など、選手一人ひとりが高い意識で取り組んできた成果が出ていると思います。

チームを引っ張ってきた4年生のメンバーと
チームを引っ張ってきた4年生のメンバーと

 3点目は「チーム内の競争意識が高い」ことです。また、昨年はムイル選手や米満怜選手などエース格となる選手がおり、その勢いに引っ張ってもらう部分もありましたが、今年のチームは全員が主役になるチャンスがあります。榎木監督が一人ひとりの現状にあわせて目標を設定し、逆算してメニューを組んでいます。監督を信じて練習を行うことで、秋の記録会や大会等では多くの選手が自己ベストを更新しており、選手たちも成長の手応えを感じています。
 選手全員が強い覚悟を持ち、切磋琢磨しながら日々の練習に取り組んでいます。本大会まで1ヵ月を切りましたが、マネージャーから見ても誰がエントリーメンバーに選ばれるか予想がつかないほど競い合っています。

主務としてどのようなことを心掛けていますか。

 私個人としては、チームや選手にとって何が必要なのか先を読んで考えることを心がけています。記録会などが決まれば、その日に向けてどういったことが必要かを考え、監督の視点、選手の視点から当日にむけた準備に取り組んでいます。また、気持ちの余裕をもって対応できるよう、どのような仕事でも早めに取り組むように心掛けています。
 主務としては、マネージャー間での「報告・連絡・相談」をどのチームよりも意識してやっていこうと常に伝えています。小さな情報だとしてもお互いに共有し、何でも話し合える関係づくりに努めてきました。選手は仲間でありライバルですが、マネージャーは仲間でしかないので、支え合い、協力することが大事だと思っています。
 これまでは駅伝部の主務(マネージャーの責任者)は男子でしたが、私が初めての女性主務となりました。寮で一緒に生活できない分、選手と共有する時間は短いですが、良い意味で今までと変わらず業務に取り組んでいます。また、来年だけではなく5年後10年後の駅伝部を見据え、チームに何かを残したいとの一心でこれまで取り組んできました。その中で、自分一人で仕事をするのではなく、マネージャー全員が主務の気持ちで主体的にチームを支えられるよう、適材適所を意識した業務の割り振りや協力体制などを意識しています。主務だからすべての業務を行うのではなく、マネージャー一人ひとりにも光が当るよう常に意識しています。

マネージャーの体制と役割分担などを教えてもらえますか。

駅伝部を支える8人のマネージャー
駅伝部を支える8人のマネージャー

 今年のマネージャーは2人が男子で、6人が女子です。女子マネージャーが多いのが特徴でもあります。男子マネージャーは寮生活や朝練習でのサポートを、女子マネージャーは週2.3回の練習やHPやTwitterなどの広報活動を中心に行っています。私が主務になってからは、マネージャーの業務を通して自身の成長に繋げてもらいたいという願いから一人ひとり何かしらの業務責任者に任命しました。マネージャーの仕事をこなすのではなく、責任者としての自覚、責任者の難しさを学びつつ今後のリーダー育成も兼ねてこの体制を作りました。ここでマネージャーメンバーを紹介したいと思います。

 まずは男子マネージャーです。4年の土田勝太郎さん(副務)は、聞き上手として選手からも慕われており、コミュニケーション能力に長けています。また、選手が身につける服やサングラスの選定、サイズ確認などもコーチと一緒に担当しているほか、大会や記録会のエントリー責任者です。1年生の吉田正城さんは、コロナウイルス感染対策のため、誰よりも朝早く起き、朝練前の選手の検温記録を担当しています。また、朝練の給水準備、選手の体重管理の面など、誰も見えないところでも選手に寄り添ってサポートしてくれています。
 続いて女子マネージャーです。4年の大矢涼音さん(女子責任者)とは1年生のときからずっと二人三脚で頑張ってきました。彼女が業務に携わる時の安心感はマネージャーNo.1です。駅伝部ホームページ担当や、選手のモチベーションをあげるための設営物、選手へのサプライズ企画のほか、女子責任者としてまとめ役です。2年生の石川由香さんは、駅伝部公式Twitterを担当しています。チーム一番のアイデアマンで、情報通でもあります。陸上が大好きなので、他大学の選手情報を把握するときにとても助かっています。2年生の高木真弓さんは、差し入れなど、駅伝部を応援してくださる皆さんに対し御礼の手紙や色紙を担当しています。また、大矢さんと一緒に駅伝部ホームページを担当してくれています。1年生の梶原優利さん、清川咲さんは入部したてですが、先輩から一つでも多く吸収しようと積極的に学んでくれています。
 誰一人欠けても今の駅伝部マネージャーの結束はないと言えるほど、強い信頼関係で結ばれています。駅伝部ホームページもリニューアルし、公式ツイッターでのカウントダウンカレンダーも開始しました。応援してくれる皆さんに喜んでいただけるよう、駅伝部のリアルを発信していきたいと思います!

コロナ禍で大変だったことや工夫したことはありますか。

 1年生の女子マネージャーをいつチームに合流させるか判断することが最も大変でした。女子マネージャーの梶原さん、清川さんは対面授業の再開に伴い、後期の10月からチームに合流してもらいました。8人という新体制になってからは、1年生に多くのことを学び、吸収してもらうために的確な後輩指導に努めています。仕事の応用力や対応力は基礎が無ければ発揮できないものです。基礎を教える際には業務内容だけではなく「何のために行うのか」を徹底的に話し後輩育成を行っています。この意識付けは今後のマネージャー育成においても継承して欲しいです。今後の後輩たちの成長にも大いに期待しています。
 また、4月に緊急事態宣言が発令された際には、寮に残るメンバーと自宅に帰省するメンバーと分かれての練習になりました。自宅に戻った選手が練習に取り組めているか、常にマネージャーも確認し、練習結果が可視化できるようシートにまとめる作業も新しく行いました。
 選手全員が寮に戻り、チームとして再出発をきったときも、各自が監督から提示されたメニューをもとに自分で考えて走り込んだ成果があらわれ、勝負の夏合宿に入っていくことができたと思います。

最後に箱根駅伝本大会への抱負をおねがいします。

 今回の第97回大会は沿道での応援がないことは残念ですが、テレビの前から熱い声援を送っていただきたいと思っています。そして、創価大学の襷をかけて疾走する選手の姿を見て、明日からも頑張ろうと思ってもらえると嬉しいです。選手は箱根駅伝を目指して、月間900キロを走るなど厳しい練習を乗り越えてきました。創価大学の代表として箱根駅伝を走る選手、悔しい思いを胸に声援を送るサポート選手、決して表舞台に立つことのないマネージャー、様々な人の想いの詰まった箱根駅伝をぜひ楽しんでいただきたいです。私としても集大成になりますので、選手が自信を持ってスタートラインに立ち、持てる力を発揮できるよう全力で支えていきたいと思います。

榎木監督からマネージャーへのメッセージ

 選手たちが活躍する裏ではマネージャー陣のサポートが欠かせません。男子マネージャーは共に寮生活を送りながら選手に寄り添ったサポート、時には悩み事の相談に乗り心の拠りどころとなる存在です。女子マネージャーの学生は、駅伝部の一員となり選手たちに献身的なサポートをしてくれています。練習前後の準備であったり、タイム計測、給水、大会の記録データ収集など数多くの業務を学業と両立しながら一生懸命動いてくれます。
 今年は豊福さんにチーム初の女性主務を担ってもらいましたが、女性らしい気配りで選手は元より、監督として欲しい情報が事前に準備されており、指導やチーム運営がスムーズに進められました。スタッフとマネージャーの情報交換が多くなり風通しの良いチーム運営が出来ているのは彼女たちのおかげです。心から感謝したいですね。
 全力でサポートするマネージャー陣に感謝の想いを込めて選手たちも全力で箱根路を駆け抜けてくれると思います。

とよふく たえか Toyofuku Taeka
[好きな言葉]
邁進一筋
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真面目で明るい

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好きなアーティストの動画を見ること
[最近読んだ本]
・「言葉一つで、人は変わる」野村克也
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