Don't underestimate yourself!「他者のため」の活動が自分の可能性を広げた

大学は学問を深く学ぶ場であるだけでなく、さまざまな活動を通して多様な人と関わり、自分を成長させることができる場です。創大にも多くの学内組織やクラブ・サークルがあり、学生同士が学部の枠組みを超えて絆を深めています。今回の創大Daysでは、創春寮(国際学生寮)での後輩の生活をサポートするレジデンス・アシスタント(RA)や学生自治会などの活動、さらに国際教養学部での学びに積極的に取り組み、自らの研究を深化させるためインドへ留学する今関さんに、多様な活動で得られた学び、自身の成長、今後の目標などについて語っていただきました。
国際教養学部に進学されたのは、どんな理由からですか?

全員が1セメスターの海外留学を経験でき、英語で授業を受けられることに魅力を感じたからです。高校時代、海外研修や留学生との交流を通して生の英語に触れる機会が多かったのですが、そこで自分の語学力不足を痛感しました。大学では「英語を極めたい」という思いが強く、その目標を達成するのに最適な環境だと考えて進学しました。
また、高校時代に見た「世界の果ての通学路」というドキュメンタリー映画も、国際教養学部に進んだきっかけの一つです。映画の中では、野生動物がいるサバンナや危険な道を通って学校に通う子どもたちの様子が描かれています。その姿を通して、世界中で困難に直面する人の役に立ちたいという思いが芽生え、国際的な社会課題に対して学問からアプローチする国際教養学部での学びに魅力を感じました。
昨年度は創春寮でレジデンス・アシスタント(RA)を務めていますが、RAとはどのような役割を担っているのでしょうか。
RAの主な役割は、創春寮に住みながら、寮生の1年生や留学生を生活面と勉強面でサポートすることです。担当する1年生と生活をともにして、寮生活はもちろん、履修方法やレポートの書き方などの学業面、人間関係などさまざまな悩みの相談に乗り、自分も成長する機会をいただきました。
寮生と接する時はどんなことを心掛けていたのでしょうか?

寮生みんなが創春寮を「自分の居場所」だと感じ、帰ってきたいと思える場所にすることを目標にしていました。私は元々自宅通学生なので、RAを始めた3年生の時は私自身も寮生活の“1年生”。「何でも話せるちょっと経験豊富な友人」のように感じてもらえたら、と思い、キッチンで一緒に料理をしたり、日々何気ない会話を交わしたりして、少しずつ気持ちを通わせていきました。悩みを打ち明けてくれた寮生が、私の部屋のドアに「ありがとうございます!」というメッセージとお菓子を貼ってくれていた時は、うれしかったですね。また、寮生からの相談には、自分の体験だけを元に話すのではなく、私が励まされた創立者の言葉も引用しながら答えていました。それが自分の考えや哲学を深め、自分自身の成長にもつながったと思います。人間関係や進路の相談を受けたり、逆に私が後輩たちへの声の掛け方を相談したり、一緒に映画を見たり誕生日を祝ったり、たくさんの楽しい思い出を作ることができました。本当に宝物のような1年間でした。
学業や学内組織の活動もあり、苦労されたこともあったと思いますが、いかがですか?
そうですね。RAの活動と寮外での活動の両立は、本当に大変でした。疲れて体調を崩してしまうこともあったのですが、1年間やり遂げることができたのは、一緒にRAをしていた6人の仲間の温かい心遣いがあったからこそです。寮内の仕事のサポートだけでなく、寮外の活動も「今関さんが外でも頑張っている姿を見ているから、寮生も頑張れるんだよ」と応援してくれ、その言葉が心の拠り所になっていました。寮生やRA仲間とお互いに助けて助けられる、双方向の関係を紡ぐことができ、とても良い経験になりました。

国際教養学部の学生自治会にも参加していたそうですが、どのようなことに取り組まれたのですか?

自治会は3年生からメンバーになり、学生が参加するイベントの企画などを行っていました。主に携わっていたのは、他学部の自治会とも共同で行ったジェンダーワークショップ、ゼミ選択をサポートするセミナーコンサルテーション、学生が交流を深めるスポーツフェスティバルの開催です。自治会活動を通して、ほかの学生に尽くすという新しい経験ができ、みんなのために行動する精神を養えたことは、学生生活の大きな収穫です。また、つらいことがあっても顔や態度に出すことなく活動する自治会メンバーの人間性に触れ、その温かさに私も励まされることが多かったです。
さらに、学生による世界最大規模の起業アイデアコンテスト「ハルトプライズ」の学内大会の運営メンバーも務められたそうですね。どんな活動をされたのですか?
ハルトプライズは、ハルトプライズ財団が主催する世界的な学生コンテストです。毎年世界中から200万人以上の学生が参加し、社会問題を解決するビジネスアイデアを競っています。創大では、2019年度から学生の有志が「ハルトプライズSOKA」を組織し、学内予選を運営しています。私がハルトプライズSOKAに参加したのは、授業を一緒に受けていた留学生に誘われたのがきっかけです。授業内で私がSDGsや女性の権利について話している様子を見て、きっと興味があるだろう、と声を掛けてくれたのだと思います。
3月に行われた2022年度大会では、イベントコーディネーターとして学外からゲストスピーカーをお招きしてセミナーを企画し、大会当日のMCも担当しました。セミナーのゲストスピーカーは、国連などでのキャリアを持つ方に務めていただき、ハルトプライズの出場者や一般の創大生と一緒にビジネスとSDGsに関する知識を学ぶことができました。また、大会で審査員の先生方から出場者に投げかけられる質問は、とても専門性が高く、それまで自分が知らなかった知識、思いも寄らなかった考え方を学ぶ貴重な機会になりました。そこで得た学びは、ハルトプライズの枠組みを超え、国際教養学部の授業の中でも新しい気付きや引き出しを増やすことにつながっています。

国際教養学部の学びで特に興味を持っているのは、どのような分野ですか?
発展途上国の経済発展の在り方を考える開発経済学です。入学前から世界の貧困問題に興味を持っていたこともあり、開発経済学のゼミにも所属して学びを深めています。経済学のロジックに従って物事を考えていくこと、さらに、人間の性質や心にもフォーカスを当てて問題解決を図る現実的な学問であるという点が、学んでいて面白いですね。
SDGsに象徴されるように、近年、世界ではあらゆる分野で持続可能性が求められています。現在援助を受けている国々が、持続可能な形で経済発展できれば、世界全体の持続可能性を高めることにつながるはずです。そうした点からも、開発経済学は現代の国際社会の軸になる学問だと考えています。
7月からは、交換留学制度を利用してインドの創価池田女子大学に留学されるそうですね。留学先はどんなことを学ばれる予定なのでしょうか?
インドは、女性や女児がさまざまな場所や形で虐げられている国の一つです。以前からなぜそうしたことが起きているのかに興味を持ち、ゼミでインドの女児の権利について経済学的に分析する研究を続けてきました。しかし、データだけに基づいた研究では、数字の裏にある一人一人の生き方、生命が見えてきません。インドの女性に寄り添うには、同じ土地で暮らし、コミュニケーションを取らなければならないと感じて、留学を決意しました。インドでは、弱い立場で苦しむ人々とともに生活してつながりを持ち、その人たちが何を思い、何が生命を脅かしているのか、自分の五感で感じたいと思っています。
大学卒業後は、海外の大学院でリプロダクティブ・ヘルスや母子の健康について専門的に研究することが今の目標です。日本で暮らしていても、女性としての生きづらさを感じることは多々あるのですが、インドの女性が抱える困難を想像すると、本当に胸が苦しくなります。全ての女性と子どもがより自分らしく生きられる世界のため、留学で得た知識を生かして研究を深めていきたいと考えています。ジェンダー平等や女性と女児のエンパワーメントは、SDGsの17の目標にもうたわれている重要な課題ですが、日々の報道などを見ていても、まだまだ進んでいないと感じています。私の研究が、そうした世界を少しでも変える力になってほしいと願っています。
創大生、創大をめざす後輩のみなさんへのメッセージをお願いします。

みなさんに伝えたいのは「Don't underestimate yourself!(自分を過小評価しないで!)」という言葉に尽きます。といっても、私が心からそう言えるようになったのは最近のこと。私自身、大学3年生までは自分を過小評価していて、海外の大学院への進学も、国際機関で働きたいという夢も、「自分には無理だよね」と思い込んでいました。そんな私が変わるきっかけをくださったのは、ゼミの指導教員である内海友子先生です。内海先生は、勝手な思い込みで夢を諦めていた私を「若菜ちゃんならできるよ!」と励ましてくださいました。その言葉で、「自分で自分の可能性に蓋をしていただけなんだ」と目が覚め、そこから授業や学生生活に対するモチベーションが大きく変わりました。私より私の能力を信じてくれる人がいる。そのことが支えになり、難しいと思い込んでいた授業や高い成績にもチャレンジし、必死に努力して目標をクリアすることができたんです。その時あらためて、「Don't underestimate yourself!」という言葉の大切さを理解することができたように思います。
みなさん一人一人には、想像もできないような大きな潜在能力があります。その能力を引き出せるのは自分だけです。そして、一日一日進歩を続けることでしか能力を開花させることはできません。ぜひ創大で自分を信じて、それぞれの目標に向かって一歩ずつ頑張ってほしいと思っています。それはきっと一番楽しい時間になるはずです!

[好きな言葉]
Don’t underestimate yourself.
[性格]
関わる全ての人に思いを寄せて、尽くせる人(信頼する友人より)
[趣味]映画鑑賞、勉強すること
[最近読んだ本]
どうしても生きる/朝井リョウ