多様で異なる意見にふれ 自身の可能性を広げよう

2020年08月21日 17時47分

教員インタビュー!第3弾・Lim 先生に聞いてみました!

    持続可能な経営や
    世界の諸課題を学ぶ


     私は経営学部で、「サスティナブル経営」「世界的な課題と経営や政策のあり方とは」、というテーマで授業をしているほか、新入生セミナーなども担当しています。ゼミでは英語と日本語で、ときにグループでディスカッションしたり、お互いにスピーチをしたりと、さまざまな方法で学びを深めています。今年(2020年)はオンラインゼミナールとして、オンライン上で学生にグループをつくってもらったりしながら新しいスタイルを取り入れて講義をしています。

     私のゼミには15〜30人の学生が所属していますが、トルコやエチオピア、アマゾンの少数民族出身者もいて、出身国はなんと15カ国にもなります。まるで「小さな国連」です。出身国が違えば立場も異なり、出てくる意見はとてもユニークです。新聞やテレビのようなメディアではまず目にすることはできないような意見が多く、ディスカッションも熱を帯びます。

      ディスカッションでは、学生の意見が一致することもあれば、まったく対立することもあります。環境問題においては、意見が一致しないのはよくあること。大切なのは「相手の意見を聞くこと」です。また、どんな意見でも話してみることが大事です。自分と異なる意見を耳にすることで、気づきや発見があり、歩みよりが可能になります。

     
    多民族共生には
    理解と尊重が欠かせない


     私はシンガポール出身で、国立シンガポール大学で学び、米国のコーネル大学を経て、創価大学で教えることになりました。母国であるシンガポールはアジアの中央に位置し、中国系やマレー系、インド系のさまざまな民族が暮らす「多文化主義・マルチカルチュラリズム」の国です。

     シンガポールの人口は約564万人(2019年1月)ですが、さまざまな人種・宗教・民族の人たちが入り組んでいるのが特徴です。ひと口に中国系といっても、広東、福建、海南にルーツをもつ人たちがいて、言語も習慣もまったく異なります。同様にインド人といっても、南方系と北方系ではまったく異なります。
     シンガポールで話される言葉も、マレー語だけでなく、中国語、英語、各民族の言葉と幅広く使われています。インド系の人たちは出身地方によって食べるカレーも違うんですよ(笑)。


     私自身は中国系シンガポール人になりますが、小さなころからほかの民族の人々と触れ合ってきたため、異なる習慣や価値観の人たちと共生するにはどうしたらいいのか、自然と考えるようになりました。
     私が大切だと考えているのは、お互いのことを理解しあう「相互理解」です。相手に対して一方的に反発したり、否定をしたりするのではなく、お互いの文化や宗教、習慣を知り、尊重することが、共生社会では欠かせないと思っています。

     
    マリーナ・ベイ・サンズにも
    多国籍企業が携わっている


     現代のシンガポールのシンボルである「マリーナ・ベイ・サンズ」。みなさんも一度は写真などで見たことがあるかもしれません。私が小さいころは海だったのですが、海を埋め立てて立派なビルが誕生し、今は観光スポットとなっています。

     実はこの「マリーナ・ベイ・サンズ」の周囲は、ダムでもあるのです。シンガポールは水が貴重な資源であるため、川が海にそそぐ出口をふさぐ人工の池を開発し、周囲にビルを建設したのです。

     マリーナ・ベイ・サンズの建設を担当したのは韓国の企業ですが、屋上のプールの設置には日本の技術が使われています。さらにビル内のホテルなどはアメリカ企業が運営しています。このように企業活動は年々、グローバルになっています。同じ企業で働いていても、出身国も宗教も民族もばらばらということが増えることでしょう。

     
     日本は、方言があるといっても、言語や民族、習慣はほぼ同じです。ですから、自然と理解しあえる環境にあると言えます。一方、みなさんが将来、社会に出て働くころには、日本の企業もさらに多国籍化、グローバル化していることでしょう。多様な人種や民族とともに働いたり、協調したりするにはどうしたらよいのか、今から学んでいくことが、将来の力になるはずです。


    発展を続ける東アジア経済。
    日本はどんな位置にいるの?


     私は東アジアの経済圏を研究していますが、東アジアの経済はこの20年間で大きく変わり、成長しました。国際社会のなかでも、もっとも大きく経済が変化した地域と言ってもいいでしょう。近年、中国や韓国、台湾が大きく発展したため、日本の経済や企業経営について悲観的な見方をする人もいますが、それは正しいとは思えません。

     まず、日本は京都議定書に代表される通り、環境問題で存在感を示していますし、日本の環境技術は東アジアの模範でもあります。日本の技術がひとつの基準となっているからこそ、韓国や台湾、中国の企業も研究開発ができているのです。

     また、東アジアの諸国はどの国も将来、高齢人口が増えることがわかっています。日本はどの国よりも先に高齢社会を迎え、さらに人口減少もはじまっています。今後、こうした問題を解決し、持続可能な社会を維持していくにはどうしたらいいのか。日本が高齢社会の諸課題を克服することができれば、アジアの国々にも参考になるでしょうし、大きく貢献できると思っています。

     
    コロナ危機を乗り越え
    人は成長していける


     2020年、新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるっています。多くの人にとって、一生に1度の特別な状況といえるかもしれません。高校生のみなさんにとっても大変な日々だったと思います。学校にも行けず、友だちにも会えず、来る日も来る日も自宅で過ごすのは大きなストレスだったことでしょう。よく自律して、我慢をしたと思います。この時期を過ごしたというだけで、精神的に大きく成長できたのではないでしょうか。

     漢字の「危機」とはよくできた熟語で、「危」はあやうい・おそれるという意味ですが、「機」はチャンス、きざしという意味です。困難な状況を乗り越えた人には、きっとチャンスが訪れます。
     みなさんはこのコロナ禍の危機を乗り越えたことで成長し、今後はチャンスが待っていることでしょう。大きく成長したみなさんと、本学でともに学べる日を楽しみにしています。



    <経歴>
    1993 – 1997年 LLB (Honours), University of London,
    1995 – 1999年 BA (First class Honours), National University of Singapore,
    2000 – 2001年 MA, National University of Singapore,
    2002 – 2007年 PhD and MA, Cornell University,
    ページ公開日:2020年08月21日 17時47分
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