企業経営の事例とともに リーダーシップを実践的に学ぶ

2020年10月28日 18時07分

教員インタビュー!第7弾・ 安田先生に聞いてみました!

    売れる仕組みを生み出し、
    それを磨き続ける企業努力とは


     私が担当するのは、「経営学原理」「多国籍企業論」です。「経営学原理」では、身近な企業の取り組みを紹介しつつ、経営学のさまざまな理論、具体的には、リーダーシップややる気の引き出し方、組織の管理の仕方、市場競争に勝つための考え方などを幅広く講義しています。

     例えば、皆さんもよく知っているファストファッションの代表的なブランドの一つである「ユニクロ」。ユニクロは「安い、早い、うまい」のファストフードになぞらえた社名をもつファーストリテイリングという会社が運営しています。かつてアパレルメーカーの多くは、デザイナーがおしゃれだと考える服を販売していました。ところが、ユニクロは「消費者が求めている服を素早く作って売ればいいのではないか」という発想の下、「高品質なベーシックアイテムを低価格でタイムリーに販売する」仕組みを作り上げ、企業として大成功しました。

     ただ、この仕組みを実現することは容易ではありません。ユニクロは消費者の期待を超える「高品質を実現する」ために、東レ株式会社という化学繊維企業と提携して、糸の開発も行っています。また、「安く作る」ために、委託契約した工場に大量の発注をすると同時に、自社スタッフを派遣して品質管理に努めています。さらに、「消費者の声を素早くキャッチし、タイムリーに商品に反映させる」ために自社店舗で販売しています。これにより商品の販売動向がすぐに分かり、売れている商品はどんどん増産し、売れないものはすぐに生産を中止する、といった対応が可能になります。この一連の仕組みはビジネスモデルと呼ばれます。そしてこのビジネスモデルを常に改良し続けているところがユニクロの成功の秘密だといえます。

     2020年は、新型コロナウイルスの流行の影響で多くのアパレル企業が苦戦する中、ユニクロは大健闘しています。これは常に彼らが自らのビジネスモデルを改良し続けている努力の賜物だといえます。

     一方で、世界をけん引してきた「ZARA」「H&M」といったファストファッションのブランドにも新たな兆しが出ています。彼らもユニクロとは異なるビジネスモデルを追求し、大成功を収めてきました。ところが、近年、若者の間で環境や労働者問題に対する意識が高まっており、とくに欧米の10代の若者が、大量生産・大量消費を前提とする、これらファストファッションの販売戦略に強い違和感や嫌悪感を抱いている、と言われています。また、若い世代ほどネット通販で衣類を買うのが当たり前となり、店舗の利用機会が減っています。これに新型コロナウイルスの影響が加わり、最近、店舗を大量閉店しています。今後、彼らはどう変化していけばいいのでしょうか。私の講義では、時代に合わせて変化していく企業の取り組みなどを紹介しながら、経営学に関する学びを深めてもらうことを意識しています。



    経営は人や社会を豊かにする学問
    そのひと言が進路の決め手に


     私が経営学と出会ったのは、創価高校2年生の時です。大学進学にあたり、学部選択で悩んでいた頃、当時、経営学部から高校に学部紹介にいらした教授が「経営学とは人や社会を豊かに、幸せにする学問である。経営者にならなくとも、人の動かし方や組織の動かし方など、すべての人が学んでおくべきものだ」と熱弁をふるってくださったんです。それが大変印象に残り、「よし、経営学部に進もう」と決めました。

     ところが、大学進学後に講義を受け始めると、「会社とは…、所有と支配とは…」などの概念的な講義が多く、想像していたものとはだいぶ違いました(笑)。当初は戸惑いましたが、粘り強く学び続けると、断片的だった知識が少しずつ繋がってくる。すると、同じものを見ても、従来とは全く違う捉え方ができるようになり、このことにビックリしました。高校までは問いに対して一つの答えを見つけることが重視されますが、大学では根拠さえあれば、オリジナリティのある答えをいくつも思いつけることが評価されます。そのために知識量を増やすことと、その知識を使うために頭を柔らかくすることの大切さを大いに学んだと感じています。

     学部生時代は、前述の学部紹介をしてくれた教授のゼミに3年次から所属し、経営学の知識だけでなく、政治経済、国際情勢など、世の中の動向についても幅広く学びました。また、企業訪問時のビジネスマナーや志を貫くことの大切さ、人としての生き方など、学問以外のさまざまなことを教えていただきました。今、振り返ってみると、学生として、また一人の人間としてたくさんのことを学ぶことができた、本当に貴重な時間だった、と感じています。
    新規性、事業性、社会性の3基軸で
    ビジネスコンテストに挑む


     現在、私のゼミでは「社会課題を解決・改善するビジネスプランを考案する」ことを目指し、活動しています。また「徹して学ぶ」をモットーに、毎年、3年生を中心にビジネスプランコンテストに挑戦しています。さまざまな大会で、優勝や入賞を果たした実績もあります。

     例年、どのような社会課題を取り上げるかは学生たちに任せていますが、これまでに「過疎地域への観光創客」「母子家庭の就業」「独居老人と学生の同居」「独居老人の絆作り」「LGBT」「中小の酒蔵の海外マーケティング」「宅配便の再配達問題」「認知症予防」「児童の心肺蘇生教育」「ADHD学生の就業」などを取り上げてきました。どれもここ最近、注目されているものばかりです。メディアなどで取り上げられる前に着目したテーマも多く、毎年、学生の感性の鋭さには驚かされます。

     ビジネスプランを検討するにあたり、単に「社会的に意義がある」だけではなく、以下の3要素を満たすことが条件だと考えています。
    (1)新規性 …今まで扱われていない、新しい内容・分野である
    (2)事業性 …事業として継続していくための収益性がある
    (3)社会性 …社会的な価値、意義がある

     コンテストに挑戦するからには、やはり結果にこだわらないといけません。学生たちはチーム全員でさまざまな情報を集め、企業や行政、困っている当事者などに直接ヒアリングを繰り返しながら、知恵を出し合い、ビジネスプランを練り上げます。学生たちは部活やインターン、アルバイトもあるので、ゼミ活動に使う時間は限られています。それゆえ、チームがうまく機能するにはそれぞれが主体的に動くと同時に、チームメンバーを思いやる心配りが必要不可欠になります。また、頑張ったからといってうまく成果が得られるとは限りません。時に大きな挫折を味わうこともあります。ただ、さまざまな困難に直面しながらも、皆で支え合い、切磋琢磨し合いながら、それをブレイクスルーする学生の様子を見ていると、人は(私自身も)、こうした体験を通して成長するのだな、と実感します。
    社会が大きく変わる今、
    次世代のリーダーの条件とは


     昨年、現役高校生がある企業のCFO(Chief Future Officer)に就任したことが話題になりました。このことを知った時、私は、未来を見通すことが難しい現代だからこそ、固定観念にとらわれず、あるべき未来について語り、創造しようとする意欲にあふれる10代の若者の可能性に着目した企業の英断に強く感動しました。

     現代は、「VUCA」時代といわれます。これは「Volatility(激動)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉で、一言で言えば、先を見通すことが困難な時代、という意味です。そんな
    現代を走破し抜くには、正解を「見つける」のではなく、「創り出す」ために状況分析力や創造的思考力を高めなくてはなりません。また、一人ひとりの力を結集し、高い成果を生み出すために共感力や巻き込み力を磨く必要もあります。

     アメリカでマネジメント研究などを牽引しているロバート・グリーンリーフ博士が提唱した「サーバント・リーダーシップ」という考え方があります。それは、「まず相手に奉仕し、その後、相手を導く」というものです。これは本学の「人に尽くすリーダーを育成する」という理念に非常に近いものでもあります。

     これからは、今までのように指示をするだけでは、人は動きません。また、予期せぬ出来事が多発し、計画通りにいかないことも多くなるでしょう。そんな状況にあっても、高い目標を掲げ、その達成にこだわりながらも、仲間に尽くし、寄り添い、目標の実現に向けて先頭を走る。そんな姿が次世代のリーダーといえるのではないでしょうか。若い皆さんが本学で学び、「人に尽くすリーダー」として逞しく成長してくれることを、大いに支援していきたいと思っています。
    <ご経歴>
    安田 賢憲准教授 プロフィール
    創価大学経営学部、創価大学大学院経済学研究科修了(経済学修士)
    2002年 東京富士大学短期大学部専任講師
    2005年 東京富士大学短期大学部准教授
    2006年 立命館大学社会システム研究所客員研究員(2009年3月末まで)
    2011年 創価大学経営学部准教授
    ページ公開日:2020年10月28日 18時07分
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