現代の企業経営に欠かせない経済学や統計学の奥深さを知る

2020年11月25日 17時47分

教員インタビュー!第13弾・天谷先生に聞いてみました!

    経済学の基礎知識があると
    経営学への理解が深まる


     私は、「経済学入門」「統計学」「ビジネス統計」という授業を担当しています。みなさんのなかには、「どうして経営学部なのに経済学を勉強するのだろう?」と思う人がいるかもしれません。
     経済学は、消費者の「消費行動」や企業の「生産行動」を考える「ミクロ経済学」と、一国の経済活動を大きな動きとして研究する「マクロ経済学」に大きくわけられます。私の「経済学入門」では、ミクロ経済学およびマクロ経済学の基礎を教えています。

     一般に経営学では個々の企業を研究対象とすることが多く、各企業の「顔」や「哲学」がはっきりと見えます。一方、「ミクロ経済学」は、多くの企業が集まった集合体である「産業」を研究の対象としています。たとえば自動車であれば、メーカー1社ではなく、関連企業も含め複数の企業が集まった「自動車産業」が研究対象になるのです。

     産業によっては少数の企業が市場を支配している「寡占(かせん)状態」もあれば、複数の企業の競争が激化していることもあるなど、状態はさまざまです。私の授業では、産業がどのような企業で構成されているのか、マーケットがどのように動くのかなど、企業をとりまく産業動向を多角的に学んでいきます。

     企業をとりまく環境について理解できると、企業の持つ強みや弱み、市場での立ち位置が理解できるようになります。また、ミクロ・マクロといった経済の基礎知識・用語を知ることで、経営戦略について語ることができるようになります。このように企業をとりまく周囲について学ぶのが経済学であり、経営を考えるうえで欠かせない学問です。


    物静かだった学生時代
    物理クラブでの学びが研究に生きる


     私自身の高校生時代を振り返ると、物静かで、あまり目立つタイプではなかったように思います。物理や数学が好きで、物理の先生に顧問になってもらい、5人の友人と「物理クラブ」をつくりました。部活動というよりも、いろいろな物理の研究発表や最新理論を学び、語らいあう場だったというのが近いでしょうか。当時は熱力学やエントロピーの法則に夢中になり、友人と朝から晩まで語らっていたのも良い思い出です。

     数学や物理に熱中していたものの、大学は文系に進んだので、4年次くらいまで「進路を間違えたのでは……」とずいぶん不安に思っていたものです。大学卒業後、経済や環境エネルギー問題について深く学ぼうと、環境問題研究が盛んな米国コロラド大学やハワイ大学に留学しました。エントロピーの法則は熱力学の第二法則で、地球環境・テクノロジー・経済についても論じられています。このことを思い出し、経済と環境問題とを結びつけた資源・エネルギー経済学、ビジネスエコノミクスといった自身の専門分野を見つけ、研究者としてキャリアを築くことができました。

     みなさんも大学に進学したあと、私のように「進路はこれでよかったのだろうか……」と悩むことがあるかもしれません。理想と現実のギャップに苦しむこともあるでしょう。ただ、一生懸命勉強していれば、むだになることはありません。日夜学んだことは必ず実となり、将来、なにかのきっかけで花開くことがあるものです。まずはできること、目の前の勉強にしっかりと取り組んでください。

     
    飛躍的に発展した統計学を
    実践的に学ぼう


     次に「統計学」についてもご紹介しましょう。授業では分布、平均、分散といった経営に欠かせない統計の基礎知識はもちろん、データをわかりやすく表現する「記述統計」、抽出集団から母集団を推定する「推測統計」などを学んでいきます。

     統計は近年、注目を集めるようになった学問だといえるでしょう。私が所属する日本統計学会では、2011年より統計検定を行っていますが、受験生はこの10年で10倍以上となり、関心の高さが伺えます。私が昔、統計を学んでいたころは、数式を覚え、計算をするばかりで、「変わり者の学問」「つまらない学問」といわれていたので、大変な変わりようですね(笑)。

     この背景にあるのが、パーソナルコンピュータの高性能化と低額化です。面倒な計算はエクセルというソフトが自動で行ってくれるので、統計そのものがぐっと身近になりましたし、収集したデータの分析結果をもとにアクションを起こす「データドリブン」も、ビジネスの世界では当たり前になりました。データが増え続ける今後も、この流れは変わらないのではないでしょうか。

     統計を学ぶ上で、数式を避けて通ることはできません。ただ、算数や数学の得意不得意と、統計の得意不得意はあまり関係がないので、安心してください。好き嫌いや先入観をもたずに、自身の情報処理能力をしっかりと磨いてください。統計学は情報を読み解く能力なので、しっかりと身につけておけば、将来、必ず役に立つことでしょう。

     
    八王子活性化策として
    高尾山でシェアサイクルを提案


     私のゼミでは、統計学のマーケティング分析に基づく実践的な提案をしています。たとえば、八王子を活性化させる案として、高尾山周辺にシェアサイクルを導入し、観光客に市内を周遊してもらうという提案を行いました。
     高尾山は海外の有名ガイド本に取り上げられ、一躍、都内有数の観光スポットとなりましたが、観光客は下山後にすぐに都心に移動してしまい、八王子市内に立ち寄らないことが課題となっていました。そこで、高尾山周辺にシェアサイクルを導入し、市内の各所をめぐってもらい、地域を活性化しようと提案したのです。あわせて、高尾山に来た人のアンケートから、「足湯があったらよいのでは」という提案をし、大学コンソーシアム八王子で高く評価されました。
     ゼミでは、学生たち自身がマーケティングをもとに実際に地域の課題を掘り起こし、さらにアンケートなどの取り方も学ぶなど、実地に近い体験をしながら成長できるのがいちばんの良さだと思っています。みな人間ですので、それぞれ得意不得意はあることでしょう。でも、不得意なことにも挑戦できるのが、大学での学びです。何かにチャレンジするのに遅すぎることはありません。どんな人でも、きっかけさえあれば、努力や挑戦ができるものだと思っています。

     また、個人では難しいことでも、ゼミのようにグループであればできることもあるでしょう。多くの学生を見てきましたが、どんな学生でも成長できるのだなと実感しています。これを読んでいる読者のみなさんと共に学べる日を、今から楽しみにしています。
    <ご経歴>
    天谷 永教授 プロフィール
    1989年5月 ハワイ大学大学院博士課程卒業(Ph.D.)
    1989年5月 ハワイ大学・東西センター(リサーチ・フェロー)
    1991年4月 創価大学経営学部専任講師
    1992年4月 創価大学経営学部助教授
    1994年4月 創価大学大学院経済学研究科担当
    1995年4月 中央大学経済研究所客員研究員
    1997年4月 ハワイ大学客員研究員
    2001年4月 創価大学経営学部教授
    ページ公開日:2020年11月25日 17時47分
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