「ザ・イノウエ・ブラザーズ」共同創設者・井上聡氏が講演 ―ビジネスを通じた社会貢献とサステナブルな未来を語る―

2025年7月9日、経営学部「初年次セミナー」の授業において、ソーシャルデザイン企業「ザ・イノウエ・ブラザーズ」共同創設者の井上聡氏をお招きし、特別講義が行われました。
講義では、同社設立の経緯や、ボリビアやペルー産のアルパカニット商品の企画・販売を通じた、生産者への適正な報酬の保証、伝統技術の保護、労働環境の改善への取り組みが紹介され、これまでファッションビジネスを通じて社会課題の解決に取り組んできたものの、近年深刻化するファッション業界の環境負荷を見過ごせなくなったことについてお話しいただきました。
また、今年5月に訪れたアフリカ・ガーナのカンタマントマーケットでの体験にも触れ、1日に約200万着もの古着や靴が世界中からガーナに送られ、そのうち40%以上が廃棄されており、その廃棄物が街中やビーチを埋め尽くしている現状に大きな衝撃を受けたことが述べられ、自身のビジネスの在り方を深く考え直す契機になったことが伝えられました。
井上氏は、地球環境への負荷を軽減するために、リサイクル可能な製品をつくり、物を長く使う文化を育むことの重要性を強調。「消費者の行動が変われば、企業もビジネスモデルを変えざるを得ない」と述べ、個人にできる具体的なアクションとして、古着を購入することや、物を買う頻度を減らすことを提案しました。
質疑応答では、「やりたいことがあっても資金がない場合はどうすればいいか」という学生の質問に対し、「お金はもちろん必要だが、情熱があれば必ず道は開ける。資金がないからこそ、ビジネスという形で挑戦することもできる」と力強くアドバイス。また、「物から得られる喜びは一瞬だが、自分がやりたいことに取り組む喜びは一生続く。若い皆さんにぜひチャレンジしてほしい」と、学生たちへ熱いエールが送られました。

