初年次セミナー「課題別探究クラス」での学びの紹介 part3

ディスカッションの様子

#07 障害はいつから障害になるのか?(島尚平・上山伸幸クラス)

 「障害って、そもそも何だろう?」——このクラスでは、この問いを出発点に、大学1年生を対象とした全3回の課題別探究の授業を行いました。

 最初に投げかけたのは、「この人は障害者だと思いますか?」という問いです。「補聴器をつければ普通に話せる人」「医学的診断はないけれど読み書きが極端に苦手な人」「外国にルーツがあって日本語で困っている人」など、10人の事例を提示し、グループで「障害か・そうでないか」を分類してもらいました。すると、グループによって判断が大きく異なり、「これって障害なの?」「これってどちらに振り分けるべき?」と頭を抱える事例が続出。「障害の線引きは、思ったよりずっとあいまいだ」という新鮮な気づきが学生たちの中に生まれました。

 次に、その「線」を誰がどう引いているのかを考えるために、3つのモデルを学びました。

医学モデルは「障害は個人の身体の問題」と捉え、治療や訓練で解決しようとします。

社会モデルは「障害は社会の設計(環境の不備)が生み出す」と捉え、環境側を変えることを目指します。

人権モデルは「移動や参加は権利であり、それが守られていない状態が問題だ」と捉えます。

「車椅子の人が、エレベーターがないために駅で電車に乗れない」という場面を例に、同じ状況をどのモデルを通して考えるかによってまったく違って見えることを、大学生たちは体感しました。

全3回の授業を通じて、学生たちが至ったのは、「障害かどうかは一つの正解として決まるものではなく、何を基準にするかで変わる」という気付きです。そして、医学的診断がなくても現に困っている人がいることや、環境が変われば「困難」が消えることもあると学びました。

 

学生からは、次のような感想が寄せられました。

●「長時間考えたうえで今ある基準を知ったからこそ、本当にその基準でよいのだろうかともやもやする気持ちが生まれましたが、最初から提示されたらおそらく疑問にも抱いていないと思うので、当たり前を思考することの大切さと難しさを実感しました。」

●「言葉の曖昧さを考えさせられた。自分なりの解釈で考えてしまっているのが現実で、もっと知識を深める必要があると気付いた。」

ディスカッションの様子

#08 心理学的探究 ― 子どもの自己肯定感について考える(富岡比呂子クラス)

このクラスでは、「子どもの自己肯定感」をテーマに、心理学の理論と実践を結びつけながら学びを深めました。

授業では、自己肯定感とは何かについて心理学的な視点から学んだうえで、「絵がうまく描けず自信を失っている子ども」や「うまく野球ができずにやる気をなくしている子ども」など、学校現場で実際に起こりうる場面を取り上げ、どのような言葉掛けや支援が望ましいかをグループで考え、ロールプレイを行いました。

また、自分の短所を別の見方で長所としてとらえ直す「リフレーミング」のワークや、自分も相手も大切にしながら気持ちを伝える「アサーション・トレーニング」などの体験的な活動にも取り組みました。さらに、「自己肯定感尺度」や「20答法」といった心理尺度を用いたワークを通して、自分自身の特徴や価値観を見つめ直し、他者との違いや共通点について理解を深めました。

学生たちは、心理学の知識を学ぶだけでなく、実際に体験しながら考えることで、子どもへの支援の在り方や、自分自身との向き合い方について理解を深めることができました。

 

学生からは、次のような感想が寄せられました。

●「子どもにとって適切な言葉がけとは何なのか、普段の生活の中で他人を傷つけてはいないか、また、自分の短所もリフレーミングをして長所にもなり得るということを知り、短所の部分も大切にしていこうと思った。グループディスカッションは、最初は緊張したが、3回を通してグループメンバーと段々深い話ができるようになった。授業の中で、自分の気持ちを整理していくと、嫌いだった自分の一部が実は大事な要素であり、その一部があるからこそ他人の弱みに寄り添うことができるのだと感じることができた。」

●「特に、自己肯定感について興味関心があったため、とても面白い授業だった。グループワークでの話し合いや意見の交流の時間がたくさんあって物事を多角的に考えることが出来るとても有意義な時間だった。最後の授業でのロールプレイは、初めての経験だったこともありとても緊張してしまったが将来幼稚園教諭を目指しているため、声のかけ方や相手の立場を考えることが出来てこれからの学びにつなげていきたいと思った。」

●「グループのメンバーの考えをきくことで、自分にはない発想を得ることができた。特に、第3回目の授業で行ったロールプレイが印象に残っている。1つのシチュエーションから3つのアサーションを考えるという活動だったのだが、どのグループも面白い発想をしており、このような声掛けをしたら良いのだという気づきを得られた。」

ディスカッションの様子
ロールプレイの様子
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