Vol.78

トイレの悪臭問題に真っ向から取り組み、学術大会で最優秀賞を受賞

経営学部経営学科 安田賢憲ゼミ チームチーム「耀(かがやき)」
苅田諒平さん(経営学部経営学科3年)、前田秀俊さん(経営学部経営学科4年)、寺井桃香さん(経営学部経営学科3年)、幸城貴之さん(経営学部経営学科3年)、矢合和人さん(経営学部経営学科3年)

日本学生経済ゼミナール関東部会が主催する「第63回日本学生経済ゼミナール関東部会インナー大会2023」において、経営学部の安田ゼミから参加したチーム「耀」が最優秀賞を獲得しました。テーマとなった建設現場の仮設トイレの悪臭問題にどう向き合ったのか、リーダーの苅田諒平さんを中心とする5人のメンバーに話を聞きました。

日本学生経済ゼミナール関東部会インナー大会は、どのような大会なのでしょうか。

苅田さん:大学で経済・経営・商学を専攻する学生のゼミやサークルなどの研究活動の発展や活性化を目的とした学術大会です。安田ゼミは過去にも大会に参加していて、5年前にも最優秀賞を受賞しています。基本的にはこれまで、ゼミに所属した人たち全員が大会に参加してきたのではないかと思います。ただ先生からの強制ではなく、あくまでも学生自身が主体的に参加を決めていて、私たちはチームのプロジェクト活動の目的として「学外の大会での結果にこだわるからこそ、一人ひとりの能力がより底上げができる」「結果を残すことができれば、それが創価大学を宣揚することにつながる」という目標を掲げ、挑戦しました。

なぜ仮設トイレの悪臭問題に取り組んだのですか。

前田さん:社会課題の当事者を救うことを、本気で徹底してやるというのが安田ゼミの根幹であり、それができる人材を輩出することがゼミの目的でもあります。創価大学で12年くらいの歴史がある安田ゼミですが、これまでは学生の力だけでプロジェクトを進めてきました。しかし本気で社会課題の解決に向けたソリューションを実装させるためには、企業の力を借りることも必要だということで、ゼミとして「企業連携」という新たな取り組みに着手することになりました。その最初の試みに快く手を挙げてくださったのが、今回ご協力いただいた株式会社エクセルシアです。「安全な水とトイレを世界中に」という理念で、災害トイレや携帯トイレをはじめとする商品を製造するメーカーで、代表は創価大学の卒業生の方です。


苅田さん:もちろん、今回のプロジェクトを自分たちの力だけで進めるという選択肢もありました。ただ本気の課題解決という点からすれば、企業のアセットを用いて解決可能な社会課題を探すべきだと考えました。またチーム「耀」のメンバーのお兄さんが建設業に従事していて、ヒアリングをしたところ、建設現場の仮設トイレの現状を知って、今回のテーマにたどり着きました。

企業との連携はうまくいきましたか?

インナー大会に向けての準備
インナー大会に向けての準備

寺井さん:今までにないことだったので、学生の内輪だけで進めるのと企業の人を交えるのとでは緊張感が違って、最初は難しいと感じることも多くありました。ですが、大学の卒業生ということと、私たちの活動に共感してくれたこともあり、最終的には上手に連携を取らせていただけるようになって、私も良い経験をすることができたと感じています。
 

前田さん:プロジェクトを進めるにあたって惜しみなくさまざまな協力をしてくださいました。ですから僕たちとしても、大会で良い成績をとってそのご恩に報いたいと強く感じていました。それくらい大きなご協力をいただいたと感じています。

建設現場の仮設トイレの課題をどのように把握していったのでしょうか。またプロジェクトの過程で大変だったことを教えてください。

苅田さん:建設会社や市役所などに電話をして仮設トイレの使用感などの調査を行い、最終的にはヒアリング864件とアンケート234件の回答を集めました。1人1日20件を目標に電話をかけましたが、相手からは「忙しい」「担当者が不在」と断られることも非常に多くて大変でした。それでもメンバー全員が協力して粘り強く電話をかけてくれましたし、時には建設現場に直接足を運んだり、コンビニで休憩している職人さんに突撃取材をしたりして、リアルな声を集めることができたと思います。


矢合さん:仕事で忙しい企業に電話をかけ、顔が見えない相手と話をするのは気後れすることが多く、ヒアリングの電話をかけるのに恐怖すら覚えた時もありました。みんなの中で一番頑張れず、めげそうになる自分をリーダーの苅田さんが助けてくれて、電話で話す言葉を一緒に考えてくれたりしたおかげでここまで来ることができ、感謝しています。


幸城さん:ヒアリングして、仮設トイレの悪臭を抱える業者の中から、我々の考える対処法に協力をいただく企業にたどりつくまでが非常に難しかったです。協力してくれる会社をやっと見つけてそこの仮設トイレに出向き、対処法を試しても、なかなか効果が現れなかった時には、ただただ悪臭を嗅ぎに行ったようで、ガックリすることもありました。でも、最終的に最優秀賞という結果を出せたので、それも報われたと感じています。

気持ちが後ろ向きになることもあったと思いますが、それをどうやって乗り切ったのですか?

前田さん:矢合さんも言っていましたが、苅田さんが人柄で周りを引っ張ってくれたことは大きかったです。創価大学には「人間主義経営」という理念がありますが、まさにそれを体現してくれるようなリーダーでした。
 

寺井さん:インナー大会までに4つのビジネスコンテストがありましたが、書類選考で落とされることもあり、また検証が思うように進まなかったことなども重なって「この課題の設定でいいのか」と不安が大きくなったこともありました。ただ、自分が後ろ向きになった時には、他のメンバーが行動で引っ張ってくれたので、それが自分の原動力につながったなと感じています。


幸城さん:大会に勝つことがすべてではないと思っていましたが、うまく回らなかった時期には、焦ったこともあります。ただ「ここまでやったんだから」と思えるくらいの努力はしましたし、またここまで協力してくださった方々がたくさんいたので「中途半端に終わらせることはできない」という思いもあり、最後のインナー大会に全力を出そうと思いました。

インナー大会で最優秀賞を獲得し、どのように感じていますか。

苅田さん:インナー大会に出るまで、週に3回ミーティングを行っていたのですが、そこで確認できたのが、仮設トイレを利用する人たちの課題解決をしたいと皆が本気で思ったこと、また協力してくださった方々に何かを還元したいという思い、その2点は確実に全員の心にあったと思います。このプロジェクトを終えて、課題を完全に解決するまでにはもう少し時間がかかる結果となりましたが、協力してくださった方には、検証結果をまとめて報告することができました。またインナー大会で最優秀賞を受賞できたことで、恩に少し報いることもできたのではないかと、ほっとしています。

インナー大会の写真
インナー大会の写真

今回のプロジェクトを経て、どんな気づきを得られましたか。後輩のみなさんに伝えたいことを教えてください。

安田ゼミのメンバーと
安田ゼミのメンバーと

苅田さん:自分たちが掲げた大きな目標を成し遂げるために、諦めずに行動し続けることの大切さをこのプロジェクトを通じて学ぶことができました。何かに挑戦する時には、数えきれないほどの失敗や挫折を経験することもあると思います。それでも挑戦することを最後まで諦めなければ、たとえ成功しても失敗しても、挑戦した者にしか得られない財産となって、必ず次の挑戦に生きると思います。後輩のみなさんもぜひ、たくさんのことに挑戦してください。


前田さん:プロジェクト期間は、自分の弱さを直面する機会に数多く直面しました。でもだからこそ、「もっとこれが必要だ」「これが足りないから頑張ろう」と負けじ魂を燃やす機会も数多く得ることができ、自分自身、大きく成長することができたと思っています。来年度はゼミのメンター長を務めます。安田ゼミという挑戦の場所、自分が変われる大切な場所を後輩につなげて、さらに発展させていきたいと思います。


幸城さん:プロジェクトで苦労したり、プレゼンの練習で卒業生のみなさんから教わった技術だったり、今回得られたノウハウを後輩にちゃんと伝えて、バトンをしっかり渡したいと思っています。


寺井さん:この1年間のプロジェクトでチームのみんなと行動することで、たくさんのことを学びました。私はこれから大学を休学して約1年間、韓国に留学しますが、プロジェクトで見つけた自分の弱いところ、補強したいところを成長させたいと思っています。そして留学から帰ってきた時には安田ゼミのメンターとして、このプロジェクトや留学で得られたことを後輩のみんなに還元できたらうれしいです。


矢合さん:このチームの中で一番頑張ることができず、自分の弱いところを目の当たりにして自信やプライドを無くしたこともありました。それでもリーダーをはじめ、メンバーが僕をちゃんと受け入れてくれて、最後までみんなと一緒にいることができたのは、心に残る大切な経験となりました。来年、もし自分のような立場の後輩がいた場合は、それを支えられる人材になってゼミに貢献したいと思います。

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