Vol.101

経済学からSDGsにアプローチする3つの施策を学内で実施

活動①:ごみの見える化で分別促進!
滝川彩希(たきかわ さき)経済学部 経済学科4年

活動②:マイカトラリー持参で割引!
堀之内君裕(ほりのうち きみひろ)経済学部 経済学科3年
三江和佳奈(みえ わかな)経済学部 経済学科4年

活動③:AIを活用したフードロス削減施策
片岡伸二(かたおか しんじ)経済学部 経済学科3年

創価大学は、SDGsの達成に向けてサステナブルキャンパスの構築を目指す取り組みを推進しています。経済学部の蝶名林ゼミでは3つのグループが、環境負荷を減らす行動を促す施策を企画し、キャンパス内で実施しました。そのうち2つは学外の団体が主催する表彰制度で賞を与えられるなど、学内外で高い評価を受けています。各グループの代表者に、施策の内容や、そこから得た気づきなどについてお話を聞きました。

「活動①:ごみの見える化で分別促進!」をテーマに選んだ理由を教えてください。

滝川さん:きっかけは、学内の清掃員の方への聞き取り調査でした。燃えるごみにプラスチックごみが混入しており、それを手作業で分別していることを知って、学生が日常的に出しているごみの裏側で誰かが負担を負っている状況をどうにかしたいと感じました。
学生にアンケート調査を行ったところ、「汚れたプラスチックは燃えるごみに出さなければならない」と回答した学生が8割以上にのぼりましたが、学内の廃棄物は事業系廃棄物に分類されるため、汚れていてもプラスチックごみになります。この誤った“思い込み”による行動を変える仕組みが必要だと考え、「ごみの見える化」に挑戦しました。

具体的にはどのような取り組みを行ったのですか。

滝川さん:学内のローソン前にあるごみ箱を、自作した透明ごみ箱に置き換えて、正しい分別方法を示す啓発ポスターを掲示し、施策前・施策中・施策後のデータを取得して、学生の行動を統計的に分析しました。プラスチックは軽くてもかさばり、質量だけでは実態を把握できないため、学外業者と連携して計測機器やセンサーを活用しながらデータを収集し、施策を実施していないごみ箱と比較して、DID分析という手法で効果を検証しています。その結果、燃えるごみのかさ量が1.7%減少し、誤った分別が是正されたことが確認できました。

<透明ごみ箱を製作している様子>
<自作した透明ごみ箱>

活動の中で苦労したことはありますか。

滝川さん:センサーがごみ箱内に落下して異常値が出たことや、ごみ箱の近くに置いていたサーバー機器を不審物と勘違いされ撤去されてしまったなど、想定外のトラブルもありましたが、そのたびにゼミ生が協力しあって問題を解決しました。
また、留学などのために企画・実行・分析・発表のフェーズで担当が変わることが予め分かっていたので、情報や議事録の共有を工夫したり、細かな引き継ぎをしたりすることで、メンバーの熱量が冷めないようにプロジェクトをつないでいきました。

今回のプロジェクトで得た学びは何でしょうか。

滝川さん:行動変容を一時的なものに終わらせないためには、制度設計や景観、コストなど、より広い視点が必要だということを学びました。施策の実施期間には一定の成果を上げることができましたが、透明ごみ箱とポスターの撤去後は、効果が持続せず、当初の問題意識であった「清掃員の方々の負担軽減」や「誤った分別の認識」の本質的な改善には課題が残ります。透明ごみ箱やポスターの恒常的な導入も考えられますが、これまで導入されてこなかったのは、景観への配慮などの理由もあり得ると思います。

「活動②:マイカトラリー持参で割引!」をテーマに選んだ理由を教えてください。

三江さん:学内では、使い捨ての割り箸が日常的に使われています。しかし日本で流通している割り箸の約9割は輸入品で、森林を伐採して生産されているという事実を知り、廃棄物の削減の問題に加え、その背後にある環境負荷にも目を向けたいと考えました。
学生を対象に行った事前アンケートでは、72%もの学生がマイカトラリーを継続的に持参していないことが分かりました。環境のために良いと分かっていても、行動に移せない。その壁を越える仕組みとして割引という“インセンティブ”を取り入れました。

具体的にはどのような取り組みを行ったのですか。

三江さん:昼食の時間帯にマイカトラリーを持参した学生に対して昼食代の割引を行う施策を実施しました。春学期と秋学期の2回に分けて、割引施策が本当に効果を持つのか、施策前・実施中・実施後で比較し、データで検証しました。

堀之内さん:実際にやってみると、前期に導入した53円の割引では期待したほどの効果が出ませんでした。その後、学生に再度アンケートを実施して適切な額を調査し、予算を最大限に活用することにして、後期には割引額を100円にしたところ、行動変容が確認できました。

三江さん:この結果から、マイカトラリーを持参する行動を持続的に促すには、割引のような正のインセンティブよりも、レジ袋有料化のように損失を回避するための負のインセンティブを用いた施策の方が効果的ではないかと思っています。

<割引の告知ポスター>
<キャンペーン期間の様子>
<データを集めている様子>

活動の中で苦労したことがあれば教えてください。

堀之内さん:効果を測定するにあたっては、プログラム言語である「R言語」を用いて分析し、結果の考察を行いました。集めたデータを読み込み、ノイズを除去して本当に見たい結果だけを抽出しなければならず、この施策のためにプログラム言語を学ぶ必要もあって苦労しましたが、こうした自主的な学びは、自分たちの成長を肌で感じることができるので、大変だったと同時にやる気にもつながったように思います。

「活動③:AIを活用したフードロス削減施策」をテーマに選んだ理由を教えてください。

片岡さん:フードロスは日本でも年間464万トン(2023年度)も発生しています。そこで、「自分たちの身近な場所から何かできないか」と考えたことがきっかけです。大学食堂に聞き取りに行ったところ、日々一定量の食べ残しが出ていることを知り、それを減らす施策を考え始めました。食べ残しをしないという義務感だけでは行動が長続きしないと思い、注目したのがAIです。学生はAIに関心が高いので、「AIを使った面白い仕組み」としてフードロス削減を設計すれば、ポジティブな動機で行動変容を促せるのではないかと考えました。

<食堂での食べ残し>

どのような仕組みを作ったのですか。

片岡さん:学生が食事を終えた後、皿を撮影すると、AIが「食べ残しゼロ」かどうかを判定するアプリを開発しました。具体的には、GoogleのTeachable Machineで画像認識モデルを作成し、「食べ残しがある皿」と「きれいに食べ終えた皿」の画像を学習させました。そのモデルをGoogle Apps Scriptと連携して、Webアプリとして実装しました。
利用者がスマートフォンで撮影すると、その場で判定結果が表示され、データは自動的に記録されます。「食べ残しゼロ」と判定されるとポイントが付与され、一定数に達すると小鉢一品や大盛り無料の特典が受けられます。単なる注意喚起ではなく、参加したくなる仕組みを目指しました。

<作成したアプリ画面>  
<利用者がスマートフォンで撮影する様子>

開発や運営で苦労したことはありますか。

片岡さん:アプリの開発が最も大変でした。生成AIも活用しましたが、エラー修正と再開発を200回以上繰り返し、判定精度を高めるために画像データも最終的には1,000枚以上学習させています。また、第三者の皿を撮影するなどの不正を防止するため、専用の撮影ブースを設けて、チェックする人員も配置しました。
約3週間の実施期間中、最初は物珍しさで利用者が多かったのですが、日が経つにつれて利用頻度が落ちる傾向が見られました。継続してもらうには、インセンティブ設計や声かけ、SNSでの発信など、運営面の工夫が不可欠だと思います。

一般社団法人サステイナブルキャンパス推進協議会(CAS-Net JAPAN)が主催するサステイナブルキャンパス賞2025の学生活動部門で、「ごみの見える化で分別促進!」「マイカトラリー持参で割引!」が、経営学部 野村ゼミの取り組みとともにニューカマー賞を受賞したことについて、感想を聞かせてください。

滝川さん:当初は野村ゼミとは別々に応募していましたが、主催者から「合同で受賞してはどうか」とご提案をいただき、創価大学の取り組みとして発信することで、より大きな価値を持つと感じ、合同で受賞させていただくことにしました。ニューカマー賞を受賞し、北海道大学での表彰式にも参加して、自分たちの取り組みを学外でも評価していただけたことがうれしかったです。創価大学の学生として、社会に提案できる研究ができたことを誇りに思いました。

三江さん:創価大学として初の受賞だったこともあり、表彰式に参加したときは誇らしい気持ちでした。一つの施策をやり遂げたという自分たちの努力が大学全体の成果として認められたことは、大きな自信になりました。また表彰式の前日には北海道大学でキャンパスツアーが行われ、他大学からの参加者や教授の方々とご飯を一緒に食べながら、本音で語り合うような時間も設けられ、とてもよい刺激になりました。

<北海道大学での授賞式の様子>

「マイカトラリー持参で割引!」の取り組みは、北京で開催されたアジア環境資源経済学会のポスターセッションで、Best Poster Awardも受賞されていますね。

堀之内さん:ポスターセッションは発表への質問を受ける時間が長いため、考えられるあらゆる質問を想定し、それに対しての回答を全て英語で返せるように準備しました。私にとっては初めて海外で研究成果を発表する機会でしたし、他の参加者は博士課程の学生などが多くハイレベルだったので、最初は気後れしていましたが、せっかくの機会を無駄にしたくないと思い、出場できるだけでありがたいと気持ちを切り替えました。終わった後は力尽きて何もできない状態で、受賞者の発表で名前を呼ばれた時には、正直信じられず固まってしまいました(笑)。この発表に関わってくれた同期や先輩方、先生がいなければ達成できなかったことなので、感謝の気持ちでいっぱいです。

<ポスターセッションの様子>
<表彰式>

蝶名林ゼミでの学びを通して、自分自身「成長した」と感じることを各々教えてください。

滝川さん:“優しさと成果を両立する力”です。以前は、チームで活動する際に、成果を優先すれば関係性が壊れ、優しさを優先すれば甘えが出ると思っていました。ですが、蝶名林ゼミでは、互いを尊重しながらも、自分の役割には徹底して向き合います。本音で議論しながら相手へのリスペクトを忘れない。そうした環境の中で、「いい優しさ」が身についたと感じています。

三江さん:私はもともと、人に頼るのが苦手で、自分で何でも抱え込んでしまうタイプでした。でも、この施策を実施する中で、周囲が進捗を聞きにきてくれたり自主的に手伝ってくれたりしたことをきっかけに、頼ることを恐れなくなりました。「人に頼ることは弱さではない」と実感し、今は仲間同士の強みを掛け合わせれば、想像以上の成果につなげることができるのだと思っています。

堀之内さん:私は、周囲と協力し合いながら物事を形にしていく真の主体性が養われたと思っています。蝶名林ゼミの最大の強みは、学生が自分たちのやりたいテーマで自由に学べることだと思います。しかし、自由だからこそ、研究の進め方から運営まで自分たちで判断しなければなりません。蝶名林先生はゼミ生の多種多様な取り組みを丁寧にサポートしてくださるので、学部生では経験できないような高いレベルの挑戦を続けることができました。

片岡さん:課題に対して「自分ごと」として向き合い、最後までやり切る力が身につきました。特に今回のプロジェクトでは思い通りにいかないことも多く、AIの判定精度の問題やスケジュール調整など、試行錯誤する場面の連続でしたが、その中で、問題が起きたときに妥協するのではなく、どう改善すればよいかを考え、メンバーと話し合いながら対応する力もついてきたと感じています。

<活動の様子>

これまでの大学生活や経済学部での学びを振り返って、創価大学を目指す後輩たちにメッセージをお願いします。

滝川さん:大学生活全般を通じて私は、面白そうだと感じたことにはできるだけ飛び込むようにしてきました。できないと決めつけずにやってみて、少しずつできることを増やしていく。ワクワクする気持ちがあれば、勢いでもいいので一歩踏み出してみる。その積み重ねが、自分でも想像していなかった成長や出会いにつながっていくはずです。 創価大学で、ぜひいろいろな物事に全力で体当たりし、悩み、苦しみ、そして思いきり面白がりながら楽しんでください。

堀之内さん:元々自分は勉強が嫌いでしたが、大学で勉強していくにつれて学ぶことが好きになりました。今では上級科目を履修したり、留学に行ったりと、自分でも驚くほど前向きに学びに取り組んでいます。それは、優秀でフレンドリーな先生方やスタッフの方々がたくさんいらっしゃることが大きく影響していると思います。将来の進路や日常の悩みなども親身に聞いてくれる人たちが周りにいるので、自分の可能性を信じて、さまざまなことにトライしてみてください。

三江さん:創価大学経済学部の良さは、互いに高め合える仲間がいることだと思います。そのおかげで自分にはハードルが高いと感じていた交換留学にも行くことができました。夢が明確に定まっていない人でも、経済学を基盤に社会に貢献することを実践的・多面的に学べる学部なので、迷っているのなら飛び込んでみましょう!卒業する時に振り返ると、思ってもみなかった経験を繰り返し、輝いている自分に出会えるはずです。

片岡さん:創価大学には、自分のやりたいことに本気で取り組める環境があります。失敗しても、先生や仲間と一緒に次善の策を考えることができますし、一歩踏み出せた分だけ成長できます。ぜひ、失敗を恐れず挑戦してください。ここには挑戦を応援してくれる人と環境があります。大学生活で「自分だけの学び」を見つけてほしいです。

<経済学部 経済学科4年>

滝川彩希

Saki Takikawa

[好きな言葉]
他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる
[性格]
好奇心旺盛
[趣味]
映画鑑賞
[最近読んだ本]
サヨナライツカ/辻成仁 

<経済学部 経済学科3年>

堀之内君裕

Kimihiro Horinouchi

【好きな言葉】
一生懸命
【性格】
ずっと笑っている明るい性格かなって思います!
【趣味】
映画鑑賞・旅行
【最近読んだ本】
行動経済学が最強の学問である/相良奈美香 

<経済学部 経済学科4年>

三江和佳奈

Wakana Mie

【好きな言葉】
connecting the dots/Steve Jobs
【性格】
チャンスには手段を選ばず飛び込みます!
【趣味】
旅行
【最近読んだ本】
1分で話せ/伊藤羊一 

<経済学部 経済学科3年>

片岡伸二

Shinji Kataoka

【好きな言葉】
never say never
【性格】
穏やか
【趣味】
スポーツ観戦
【最近読んだ本】
創立の精神を学ぶ/池田大作
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