留学日記(中国・北京語言大学 中国語DD11期 2018年9月1日①)

夏休みということで、中国国内を旅行してきました。今回行ったのは、甘粛省は嘉峪関、酒泉、敦煌です。一人旅行ということでいろいろ心配していましたが、それ以上にワクワクのほうが大きく出発前日の夜はずっと興奮していました。
7月15日~7月16日、いよいよ出発。北京から寝台列車で33時間かけて嘉峪関に向かいます。ベッドが揺れてよく眠れませんでした笑。3段ベッド式になっていたのですが、個人的には真ん中がオススメで今回も真ん中に寝ました。困ったのはトイレです。トイレはいつも混んでいて、さらに壊れて使えないトイレもあったため大変な騒ぎでした。ごはんを食べに食堂車に行きましたが、頼み方が分からず、聞いても聞き取れず早速途方に暮れました笑。どうにか食べたあとは外の景色を見ながら読書をしていました。これがまた最高でした。
夕方、窓際に座って読書をしていると、突然前に座っていた中国人から膝をつつかれました。彼女は私の本を指さし「日本語の勉強をしているのか」と聞きました。日本人だと言うと彼女は驚きました。私を中国人だと思いこんでいたようです笑。話を聞くと、彼女は大学生でこれから地元へ帰省するのだそう。彼女は王さんという名前で地元は酒泉という町で、目指している嘉峪関の隣町。ぜひ遊びにおいでと誘われましたが、私は酒泉に行く予定はなかったので、その誘いをスルーしました笑。しかし人の縁とは不思議なもので、後日、このできごとが私を救ってくれるとは夢にも思っていませんでした・・・。
7月17日、明け方目を覚ますと、外の景色は一変していました。何も無い・・・広大無辺の荒野が車窓越しに姿をさらしていました。地平線というものを久々に見ました。その遙か遠くにある地平線から昇る太陽が、普段見る太陽の何倍も大きく感じました。太陽の光を存分に浴びた列車はほどなくして嘉峪関に到着しました。無事に着き、次はホテルへ向かおうとタクシーに乗ったところ、タクシーのおじさんが優しく話しかけてきてくれました。話に花が咲き、私と意気投合したおじさんは、行きたいところに全て連れて行ってやると言ってくれました。それだけでなく、ごはんもおごってくれました。結局、嘉峪関に滞在した3日間すべてお世話になりました。優しくしてくれて本当にありがたかったです。
チェックインを済ませたあと、まず訪れたのは『嘉峪関関城』です。万里の長城の最西部に位置する関所で、その当時の面影が色濃く残っていました。城壁をなでてみるとすぐにボロボロとこぼれ、風化が激しいのがよく分かりました。楼閣の上に登ると、列車の中でも見たゴビ砂漠が茫洋と広がっており、地球の大きさを目の前にして言葉を失いました。難攻不落と言わしめた要塞は今もなお健在といった様子で堂々としていました。お土産として通行手形証を買う際、思いがけず中国語を褒められて嬉しくなりました。当時の戦闘の様子を伝える演目も多数行われており、迫力がありました。
午後からは、『懸壁長城』を登りました。蛇が山を這うようなうねりが特徴で、北京の八達嶺より登るのが辛かったです。かなり乾燥しており、すぐ喉が渇いてしまいました。炎天下の中30分ほどでようやく登り切りました。そこから見える景色はやはりゴビ砂漠。しかし私は全然飽きず、ずっと興奮していました。沙漠が好きになってしまった瞬間でした笑。そのあと『長城第1墩』に行きました。ここは万里の長城の最西端です。何の変哲もない岩のように見えますが、長城ファンの私にとっては非常に感慨深いものでした。ここから一直線に灼熱の大地を分断していく長城をいつまでもいつまでも見ていました。
7月18日
朝起きて今日はどこに行こうかと計画をたてましたが、嘉峪関の観光地はほとんど行きつくし、残り2日滞在するのにどうしよう・・・と困りました。とりあえず午前中は『魏晋壁画墓』に行きました。閑散とした風の気持ちよい所にその遺跡はありました。1600年以上前に描かれた壁画が現在もなお色鮮やかに残っていて悠久の歴史を感じました。古代中国の生活の様子が詳細に描かれており、嘉峪関名物の串焼きもありました。地下帝国の画廊という感じがして美しかったです。保存上の関係で写真が撮れなかったのが残念でした。
そのあとワイナリーに行ったり、公園でひたすらぼーっとしたりしましたが、どうもしっくりきません笑。このままだと明日本当に暇になるので必死に考えたところ、ふと寝台列車で出会った王さんの顔が思い浮かびました。そうだ、彼女の故郷である酒泉に行こう!と決心するのにそう長く時間はかかりませんでした。調べてみるとバスで1時間程度であることが判明。王さんに連絡し、明日の行き先が決まったことに一安心しました。夜は『大唐美食街』というレストラン街に行きました。昨日からお世話になっているタクシーのおじさんに『大唐美食街』に行きたいんだけど、と言ったら、「ああ、それなら俺も行く!」と言い、彼の仕事が終わった夜の9時半頃に繰り出しました。彼と彼の奥さんとの3人でごはんを食べました。名物の羊肉の串焼きに舌鼓を打ちました。今まで食べた羊肉の中で格段においしく、肉が口の中で弾みました。会話も弾み、時間を忘れていろんな話をしました。夜風が気持ちよい嘉峪関の夜でした。
7月19日
朝、いつものように?タクシーのおじさんが朝ごはんをおごってくれたあと、酒泉行きのバスに乗りました。バスはかなり揺れ、おしりもかなり痛かったです。王さんが指定したバス停に停まらず、変なところに着いてしまいました笑。しかし無事に合流し、酒泉を案内してもらいました。彼女は同い年の20歳。大連の大学で勉強しており英語教師になるのが夢だそう。終始和気あいあいとしたムードでした。酒泉はシルクロードの要所として昔から栄え、今でもその面影が残っていました。町のシンボルである鐘鼓楼を見たあと、『西漢酒泉勝跡』に行きました。そこは酒泉の名前の由来となった場所で、中に入ると透明度の高い水が張られた大きな囲いがありました。そこから酒が湧き出たという伝説があるそうなのですが、高級な雰囲気を醸し出す泉からその伝説が想起されました。のどかな風景が一面に広がり、私は癒やされました。
午後からは酒泉市博物館に行き、シルクロードの歴史を学んだあと、嘉峪関に帰ってきました。王さんはとても優しい方で、昼ごはんをおごってくれただけでなく、観光地を一生懸命案内してくれたり、悩みを聞いてくれたりしてくれたので旧友と過ごしている感じがしました。一期一会の出会いに感謝の気持ちで一杯になりました。
H.A.
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