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2023年08月25日 14時18分

文学部教員・文学部生より:この夏、学生の皆さんに読んでもらいたい、触れてもらいたいもの(2023) まとめ

「今だからこそ大学生に読んで欲しい、触れて欲しい作品」というテーマのもと、文学部教員・学生からおすすめの作品を紹介していただきました。4年連続の夏企画です!是非、作品に触れていただき、充実した夏休みをお過ごしください。



1.平林香織 教授 推薦:『細雪』上・中・下 谷崎潤一郎 (新潮文庫)

学生時代に読んだのですが、断片的にしか記憶しておらず、この春から夏にかけて、通勤途中の電車やバスのなかで再読しました。二十歳のころには理解できていなかった戦時下という時代背景や『源氏物語』の口語訳を完成させたあとであることなどを勘案しながら。改めて、日本人の美質も醜さも描き込まれた名作だと思いました。


2.平林香織 教授 推薦:『A.I.』 スティーブン・スピルバーグ (映画)
たまに、講義のあと、学生さんと文学や映画の話をすることがあります。この映画は、そんな雑談の折に、学生さんに勧められて観ました。SFですが、愛とは何か、人間とは何か、ということをしみじみと考えさせる映画です。見終わったあとには、いつまでも余韻が残り、清く正しく美しく生きていこう!と自分を鼓舞することになること請け合いです。


3.森下達 准教授 推薦:『あっかんべェ一休』 坂口尚 (1993-96年。1998年に上下巻で出版された講談社漫画文庫版が比較的アクセスしやすい)
手塚治虫の虫プロダクションでのアニメ製作にも関わっていた、坂口尚によるマンガ作品。将軍の権威が弱体化し、混沌を深めていく日本で、真実を求めてさ迷う一休宗純の姿を描きます。内容そのものもおもしろいのですが、ヴィジュアル表現であるマンガで哲学的な葛藤や問答をいかに表現しているのかという観点からも、たくさんの読みどころがあります。


 

4.森下達 准教授 推薦:『軍旗はためく下に』 深作欣二監督 (映画・1972年)
戦後、戦争未亡人であるサキエが、軍曹だった夫の死の真相を探っていくと、思わぬ真実が浮かび上がり――という、一筋縄ではいかない戦争映画です。極限状況での人間のあり方や、人びとの上に覆いかぶさる「国家」というものの是非まで、さまざまなことを考えさせるでしょう。物事を多層的に見る癖をつけるためにもオススメです。


5.伊藤貴雄 教授 推薦:『リヴァイアサン』上・下 ホッブズ 加藤節訳 (ちくま学芸文庫)
人間が戦争状態から抜けるにはどうしたらよいか? 血で血を洗うイギリスの内乱時代を生きたホッブズの回答とは? 政治哲学史上、屈指の古典の完全新訳。


 

6.伊藤貴雄 教授 推薦:『ツァラトゥストラはこういった』 ニーチェ 森一郎訳 (講談社学術文庫)
20世紀以降の哲学に絶大な影響を与え、いまなお愛読者を獲得しつづけているニーチェ。その主著が、「声に出して読める」訳文でみずみずしくよみがえる。


 

7.伊藤貴雄 教授 推薦:『アマデウス』(ピーター・シェーファー脚本) ミロス・フォアマン監督 (映画)
モーツァルトは殺されたのか!? 天才の謎の生涯を、ライバル作曲家サリエリの視点から描く。自分がいかに努力しても敵わない人間に出会ったとき、人はどうする?


 

8.伊藤貴雄 教授 推薦:『スペシャリスト』 エイアル・シヴァン監督 (映画)
ユダヤ人虐殺に関わったナチス軍人アイヒマンの裁判記録。上の命令に従っただけで自分に責任はない、と言い張るアイヒマンの弁明を、あなたはどう考えますか?


 

9.伊藤貴雄 教授 推薦:『12人の怒れる男』 シドニー・ルメット監督 (映画)
父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、12人の陪審員が議論する。当初は11対1で「有罪」が優勢だったが、残る1人が出した疑問から徐々に形成が逆転していく…。


 

10.伊藤貴雄 教授 推薦:『12人の優しい日本人』(三谷幸喜他脚本) 中原俊監督 (映画)
夫殺しの罪に問われた女性の裁判で、12人の陪審員が議論する。当初は11対1で「無罪」が優勢だったが…。(『12人の怒れる男』の鑑賞後に見ると、面白さが倍増します!)


 

11.中堀正洋 准教授推薦:『アファナーシエフ ロシア民話集(上・下)』 中村喜和編訳 (岩波文庫)
奇妙奇天烈摩訶不思議な世界が広がるロシアの昔話。体をバラバラに切り刻まれても、「死の水」で元通りにくっつき、「生の水」で生き返る主人公。大海に浮かぶブヤーンの島に生命が隠されている不死身のコシチェイ。人骨でできた柵に囲まれ、鶏の足の上に建つ小屋に棲むヤガー婆さん。火の鳥や魔法の馬、麗しのワシリーサ姫、馬鹿のイワンなどなど、個性豊かな登場人物で彩られたワンダーランドが繰り広げられます。ロシアの民衆文化の世界を覗いてみませんか。


12.中堀正洋 准教授推薦:『デカローグ』 クシシュトフ・キェシロフスキ監督 (映画・1988年)
旧約聖書の十戒をモチーフに、ポーランドの首都ワルシャワ郊外の団地に生きる人々を描いた10篇のオムニバス短編映画。誰の身にも起こりうるような事象を通して、それぞれのエピソードで、人間の苦悩や欲望が鮮やかに描きだされる。まだ社会主義体制下だったポーランドで製作されたことにも驚かされる。国や文化が違えども、人間の本質は変わらないのではないかと考えさせられる作品。何年経ても、また観たくなる。


 

13.中堀正洋 准教授推薦:Oh Lori』 Meta Roos & Nippe Sylwens Band(音楽・1978年)

北欧スウェーデンの女性ジャズシンガーが残した2枚のアルバムのうち、1978年のいわゆる茶盤に収録された1曲。Alessi Brothers の名曲” Oh Lori”(1976)を、艶のある伸びやかな声でジャジーに歌い上げる。若干24歳にしてこの堂々とした歌いっぷりと完成度には度肝を抜かれる。ジャズ、ボサノヴァ、ソウル、AOR、ポップスなど幅広い層の音楽好きを魅了するのではないでしょうか。一聴の価値ありです。


14.藤倉ひとみ 講師推薦:『帰らざる夏』 加賀乙彦 (1973年・講談社文芸文庫)
毎年、終戦の日になると思い出す作品です。戦時下で極限状態に追いこまれた若き兵士たちの特異な青春の苦悩を鮮烈に描いた力作長篇。


15.藤倉ひとみ 講師推薦:『去年の夏 突然に』 ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督 (1958年・映画)
テネシー・ウィリアムズ原作。アメリカ南部・ニューオーリンズを舞台に、前年の夏に亡くなったセバスチャンの身に何が起きたのか、旅行に同行したキャサリンによって真実が明らかとなる。ウィリアムズらしいクィアとグロテスクの融合が見られます。

ページ公開日:2023年08月25日 14時18分
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