「カント生誕300周年記念連続講演会」(第1回・第2回)を開催しました
「カント生誕300周年記念連続講演会」(第1回・第2回)を開催しました
ドイツを代表する哲学者イマヌエル・カント(Immanuel Kant, 1724-1804)の生誕300周年に当たり、カント研究の専門家2名をお呼びして連続講演会を開催しました(主催は文学部科目「哲学概論」「哲学思想特講A」)。
第1回は6月28日(金)に、大橋容一郎氏(上智大学名誉教授、日本カント協会元会長)が、「ある世界・あるべき世界・あってほしい世界-カント哲学を物語として考える」と題して講演しました。大橋氏はこのたび新刊されたカント『道徳形而上学の基礎づけ』(岩波文庫)の翻訳者です。講演では、科学・倫理・芸術等、多岐にわたるカント哲学の体系を統一的に捉えつつ、現代世界においても活き続けるその思索の意義を語りました。
第2回は7月12日(金)に、杉田孝夫氏(お茶の水大学名誉教授、日本ヘーゲル学会元代表理事)が、「『永遠平和のために』と『ドイツ国民に告ぐ』」と題して講演しました。杉田氏は『フィヒテ全集』(晢書房)の編者・翻訳者の一人です。講演では世界市民主義を代表するカントの『永遠平和のために』と、ナショナリズムを代表するフィヒテの『ドイツ国民に告ぐ』との関係を考察するとともに、日本でそれらを受容した朝永三十郎と南原繁の思想を紹介しました。
いずれも多くの教員・職員・学生が参加し、学問・倫理・芸術・平和について、改めて哲学の視点から考える機会になりました。