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2015年05月13日

理工学部 戸田龍樹教授の研究課題がJST-JICAの「SATREPS」に採択されました

本学理工学部共生創造工学科の戸田龍樹教授(工学研究科長)の研究課題「熱帯水産資源の持続可能な循環管理型生産システムの研究開発」が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の国際科学技術共同研究推進事業地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の研究領域「生物資源の持続可能な生産・利用に資する研究」に条件付き(※1)で採択され、昨日5月13日にプレス発表されました。本研究は、2019年度までの5年間にわたってJSTより支援を受け、マレーシア・プトラ大学 バイオサイエンス研究所と共同で研究を進めます。

本事業は、科学技術と外交を連携し、相互に発展させる「科学技術外交」強化の一環として、文部科学省、外務省の支援のもと、JSTと国際協力機構(JICA)が連携して実施するものです。開発途上国のニーズを基に、地球規模課題を対象とし、将来的な社会実装の構想を持つ国際共同研究を政府開発援助(ODA)と連携して推進することによって、地球規模課題の解決および科学技術水準の向上につながる新たな知見や技術を獲得することやこれらを通じたイノベーションの創出を目的としています。また、その国際共同研究を通じて開発途上国の自立的研究開発能力の向上と課題解決に資する持続的活動体制の構築を図るものです。

戸田教授は本研究を通して、生物多様性の高い熱帯地域に位置するマレーシアにおいて、高付加価値物質を生産可能な微細藻類の屋外大量培養技術の確立を目指し、現地で探索した有用藻類と成長促進作用を持つ天然物質を利用した新たな培養技術を研究開発します。具体的には、日本側/相手国研究機関によって共同開発された超低エネルギーで運用が可能な藻類リアクターをスケールアップし、開発された新規培養技術を組込むことにより、高温、強光環境の熱帯地域に適した、高付加価値藻類の低コスト屋外大量培養技術の開発に取り組みます。また、水域環境汚染の原因となっている、水産養殖産業の養殖池汚泥を藻類の栄養塩源として利用することで、水域環境汚染が大幅に軽減される循環型生産システムを構築します。

採択にあたって戸田教授は、「マレーシアでは養殖産業の急激な成長により、生物多様性の損失や、生態系の破壊がすすんでいます。そこで、これまで有機性廃棄物を排出するだけの養殖産業に対して、廃棄物から栄養類を積極的に回収・循環させ、その栄養塩類から有価物を生産するという持続可能な循環型システムを研究開発します。自然環境への廃棄物負荷を循環利用し、有用物質生産に転換しようとするもので、高付加価値物質の生産による経済的インセンティブを与え、環境保全と貧困を軽減の両立を目指すものです。
 ある意味、この研究課題は、エビ類をはじめ多くの魚介類を輸入している日本にとっての責務だと考えています。本プロジェクトは、東京大学大学院農業生命科学研究科、国立環境研究所、東京工業大学大学院理工学研究科における第一線の先生方にもご賛同いただき、最高の研究チームで研究開発をすすめていきます。5年間鋭意努力し、社会実装可能なシステムを作り上げたいと考えております」と語りました。

1 条件付き:今後は、外務省による相手国政府との実施にかかわる国際約束の締結、それに続くJICAによる相手国関係機関との実務協議を経た後、研究課題ごとに共同研究を開始します。しかし、相手国関係機関との実務協議の内容や相手国情勢などによっては、新規採択研究課題の取り消しも含め内容が変更となるなどの可能性もあるため、現時点では「条件付き」での採択としています。

ページ公開日:2015年05月13日