• NEWS
  • 本学教職大学院の長崎教授がゼミ生と共に書籍を出版

2016年08月02日

本学教職大学院の長崎教授がゼミ生と共に書籍を出版

本学教職大学院の長崎伸仁教授が長崎ゼミナールの学生と共に執筆した書籍『物語の「脇役」から迫る 全員が考えたくなる しかける発問36』が、8月2日に東洋館出版社より出版されました。
 
この本は、2015年度の長崎ゼミの学部生が中心となって、卒業論文として書いたものを編集し、書籍として発刊したものです。これまでの国語教育の現場では、学習方法の一つとして、物語の主人公の心情などを読み解きますが、本書では、物語に登場する「脇役」に注目しています。教科書で扱われる主な教材を各学年から3つずつ(全18教材)取り上げ、児童が積極的に授業へ参加できるように工夫した「しかける発問」や、すぐに授業で活用できるように「単元計画」なども掲載しています。
出版までの経緯や書籍の活用方法、反響などについて長崎教授にインタビューしました。
 
――本書が出来上がった経緯を教えてください。

2014年度の一人の学部ゼミ生の卒業論文がきっかけで、書籍化への展望が開けました。それは、「脇役を主役に―視点を変えることで見える文学教材―」と題した卒業論文でした。そこで、「脇役を主役に」した発問づくりに取り組んでみるか、となったのです。ある程度目安のついた段階で、東洋館出版社の編集者に相談し、原稿を見てもらったところ、「着眼点が面白い。今までにこんな発想の本は見たことがない」とのことで、出版に踏み切ることになりました。全国のどの大学でもこれまで、学部のゼミ生と共に出版したという話はあまり聞いたことがありません。4年生のゼミの卒業論文として全員で取り組んだのですが、予定していた3つの教材が仕上がりませんでした。そこで、ゼミの3年生に相談を持ちかけたところ、「やってみたい」とのことだったため、学部ゼミ出身の大学院生にもサポートをお願いし、何とかまとめ上げることができたのです。

――出版するまでに一番大変だったことはどのようなことでしょうか?

1年間に及ぶ毎週のゼミと2度の合宿で、内容の検討を重ねましたが、原稿の完成には時間が足りませんでした。特に、卒業を控えた本年2月末の合宿では、「実際の教育現場で使ってもらうためには、もうひと工夫必要じゃないか」という学生からの声があり、具体的な各教材の「教材研究のポイントと注目する脇役」と「単元計画」を追加することになりました。最後は、それこそ不眠不休の作業でした(笑)。

――教育現場ではどのように活用されるイメージでしょうか?

これまでの文学の授業では、主人公の心情や表現を読み込んでいくことがメインとなっていて、なかなか「新しい読み」をつくるのが難しかったと思います。登場人物の「脇役」に注目することによって、これまでになかった児童の自由な発想を刺激することができると思います。

――どのような反響がありましたか?

本ゼミの卒業生からは「自分たちの学生時代を思うととても信じられない」との声を寄せてくれています。教育現場の先生方からも、発想の柔軟さと着眼点の面白さを褒めていただいています。年々、現役生は力をつけてきております。

――今後の長崎ゼミの出版について教えてください!

今回は小学校の各学年で扱う教材のうち、代表的な3つの作品を扱っています。私は、来年度で定年退職を迎えるため、ゼミ生は今の3年生で最後になります。今年のゼミの4年生は、今回の出版で取り上げなかった教材の「脇役」について研究しています。そして、今の3年生が4年生になった時、残っている教材に取りかかり、第2弾が出版できれば、幸せだと思います。
ページ公開日:2016年08月02日