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2016年11月01日

本学の国際仏教学高等研究所辛嶋静志所長が北京・中国人民大学文学院を訪問しました

国際仏教学高等研究所の辛嶋静志所長は、10月22日(土)~11月1日(火)まで、北京・中国人民大学文学院の招聘により中国を訪問しました。滞在中は、中国人民大学文学院で、「国際的フロンティア教授講座」として次の4つの講義、(1)漢訳仏典の言語学的研究の意義と方法、(2)支婁迦讖訳「大阿弥陀経」・支謙訳「平等覚経」および「無量寿経」の比較研究、(3)「列子」と「般若経」、(4)支婁迦讖訳「道行般若経」・「大阿弥陀経」および支謙訳「維摩経」の原語の様相、音写語分析を行いました。
 
10月27日(木)には、北京大学・宗教文化研究院主催の「虚雲講座」(中国仏教協会創立者、名誉会長であった虚雲大師を記念した講座)にて、「『変』、『変相』、『変文』の意味」と題し、公開講演が開かれました。これは、敦煌で発掘された文献に残る「変」という言葉の意味と起源について考察したもので、citra(絵画;多彩)という梵語の翻訳であり、インドの絵画が中国伝統絵画と異なることで「変」と訳されたのだということを文献と図像を用いて説明しました。
 
10月28日(金)は、清華大学哲学系教授、中国仏教協会理事、北京仏教文化研究所副所長である聖凱法師の招きで、北京広化寺にある北京仏教文化研究所にて「ガンダーラ語と大乗仏教」とのテーマで講演をしました。「法華経」「般若経」など古い大乗経典が、本来、ガンダーラ語という今日のパキスタンの言語で伝承されていたことを示し、「観音」は、その言語で本来「観念」を意味していましたが、後にサンスクリット語に翻訳され、誤解されていたことなどを述べました。
 
10月29日(土)、30日(日)は、中国人民大学文学院で開催された第10回漢文仏典語言学国際学術シンポジウムに出席し、開会式で「中阿含経の原語」と題した基調講演を行いました。

辛嶋所長は、「中国では、研究されつくした古典研究ではなく、未開拓でしかも内容がはるかに豊かな仏典を研究のテーマとして選ぶ院生・研究者が、特に近年多くなりました。また、仏教思想に関心を持つ人が、老若を問わず増えています。世界のトップレベルを意味する国際的フロンティア教授として招聘されたことにも感激しました。北京大学・季羨林先生のもとに留学して30年が経ち、やっとご恩返しができました」と語りました。
ページ公開日:2016年11月01日