理工学部の黒沢則夫教授らの共著論文が学術誌『Nature Communications』に掲載されました

理工学部の黒沢則夫教授らの共著論文「Cell-to-cell interactions revealed by cryo-tomography of a DPANN co-culture system」が国際的な学術誌『Nature Communications』(注1)に掲載されました。

本論文は、理化学研究所、メルボルン大学、ケンブリッジ大学などと進めてきた共同研究成果をまとめたものです。DPANNと呼ばれる寄生性の微生物(注2)が、宿主(寄生する相手)細胞とどのように接触しているのかを、cryo-ET(低温電子線トモグラフィー)という先端技術を用いて解析しています。

黒沢教授は、「微生物DPANNは培養が非常に難しいため、その生態に関する研究は始まったばかりです。本研究で得られたDPANNと宿主細胞の接触部分の三次元画像と構造解析の結果は、太古から存在する“生物間の寄生や共生”について、細胞レベルで理解する手がかりとなることが期待されます」と述べました。

(注1)Nature Communicationsは、2010年に創刊された科学雑誌。生物学、医学、物理学、化学、地球科学などの自然科学全般をカバーする学際的ジャーナルで、2023年のインパクトファクター(IF)は14.7。イギリスのNature Portfolioから出版されています。https://www.nature.com/ncomms/journal-information

(注2)DPANNは、アーキア(古細菌)の分類群のひとつで10以上の暫定的な門から成る。細胞とゲノムのサイズが小さく、多くの種が寄生性または共生性であると考えられている。培養に成功した種は非常に少ない。
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2115449119

教員情報

学部長・教授

黒沢 則夫

クロサワ ノリオ

専門分野

微生物学、分子生物学

研究テーマ

1) 好熱菌および好冷菌の分類学・生理学・遺伝学・分子生物学的研究
2) 南極湖沼および南大洋における原生生物の分類学的研究
3) カイアシ類の生物系統地理学的研究

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