教育学部・島田健太郎講師の論文が国際的な学術誌に掲載されました
教育学部の島田健太郎講師が著者の論文「The Long-Term Effect of the Free Primary Education Policy on Intergenerational Mobility in Kenya: A Household Survey in 2015」が、比較・国際教育学分野の国際的な学術誌『International Journal of Educational Development』(注)に掲載されました。
この論文は、初等教育無償化政策の長期的な効果を分析し、子の世代が父母より高い水準の教育に到達する傾向にあることを示しました。分析対象となる世代の人達の中でも、無償化政策の恩恵を受けた集団の上昇移動率が高いことを実証しました。更に、本人の獲得賃金を決定づける要因として、親の教育水準よりも本人の就学年数の規定力が重要であることを確認しました。
これまで無償化政策の効果について短期的な視点で検証してきた研究は、就学率の向上を確認した一方で、子ども達が実際には「学んでいない」ことも明らかにしました。今回の研究では、無償化政策の恩恵を受けた世代は、大人になった今、貧困から脱却できているかを確認しています。
島田講師は、「今回の論文では、長期的に見れば、たとえ学びが不十分だとしても学校に行く意義がある可能性を見出しました。『学んでいない』との批判は、成績や労働生産性に直結する学力を重視する立場の見解であり、学校に行くことで培われる、その他の非認知的能力が重要であるという示唆が得られたのではと考えています」と述べました。
(注)『International Journal of Educational Development』は、Elsevierが発行する査読付きジャーナルで、国際教育開発分野で政策を扱う実証的な研究論文を掲載しています。SJRによると社会学・教育学・開発学のQ1(第一四分位)に分類されています。
教員情報

講師
島田 健太郎
シマダ ケンタロウ
- 専門分野
国際教育開発、比較国際教育学、教育経済学
- 研究テーマ
開発途上国の教育政策、学校効果研究、世界市民性教育