文学研究科の菅野博史教授が『法華とは何か―『法華遊意』を読む』を出版しました

本学文学研究科の菅野博史教授が、『法華とは何か―『法華遊意』を読む』を法藏館文庫の一冊として出版しました。

『法華遊意』は中国の吉蔵(549-623)の法華経注釈書の一つです。中国三論宗の大成者として著名な吉蔵は、『法華経』に対して、『法華玄論』、『法華義疏』、『法華遊意』、『法華統略』の4つの注釈書を残しています。これらの注釈書は、現代の研究では、智顗・灌頂の『法華玄義』、『法華文句』にも大きな影響を与えたことが知られています。吉蔵が『法華玄論』、『法華義疏』を撰述した後、『法華経』の思想の要点をまとめたのが『法華遊意』です。 

菅野教授は、「この度、法藏館文庫のなかに、拙著『法華とは何か―法華遊意を読む』を収めることになりました。この本は、もともと1992年9月に春秋社から刊行したものです。私の最初の著作は『一念三千とは何か』(第三文明社、1992年7月)でしたが、本書も同年の9月に刊行したもので、2番目の著作でした。長らく絶版でしたが、吉蔵の『法華遊意』の訳注研究を示したものです。今、公益財団法人東洋哲学研究所の研究プロジェクトの一環として、天台三大部の現代語訳に取り組んでいますが、吉蔵の『法華経』の注釈書は、素直な法華経観を示したもので、『法華経』を理解するための格好の入門書だと思います」と語りました。

教員情報

教授

菅野 博史

カンノ ヒロシ

専門分野

仏教学、中国仏教思想研究

研究テーマ

中国における法華経注釈書の研究、中国天台宗の研究、中国三論宗の研究、南北朝・隋代の中国仏教思想の研究

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