本学文学研究科の古川洋平准教授の著書『パーリ聖典における「信」―saddhāの意味と性格の考究―』が公益財団法人東洋哲学研究所より刊行されました
本学文学研究科の古川洋平准教授の著書『パーリ聖典における「信」――saddhāの意味と性格の考究――』が3月3日に公益財団法人東洋哲学研究所より刊行されました。
本書は、スリランカやタイ、ミャンマーなどで信奉されている上座部仏教に伝わるパーリ聖典の中に使用されているsaddhā(漢訳語「信」。サンスクリット語ではśraddhā。ラテン語credoに対応)の一語に注目し、この語の基礎的な情報を提示する研究書です。パーリ聖典は歴史的釈尊に近い、初期の仏教を明らかにするための一次資料です。本書は、パーリ聖典に使用されているsaddhāを構造的に捉えその意味や性格を明らかにし、仏教における「信」の根幹を探る内容となっています。
saddhā / śraddhāは、その類義語adhimutti / adhimukti(漢訳語「信解」)とともに『法華経』で多用される語です。本書の出版は、初期仏教はもちろん、大乗仏教における「信」を考察する上でも、基礎的な視点を提供するものと言えます。
出版にあたり古川准教授は、「パーリ聖典に使用されている用語の中には、その意味や性格が明確になっていないものもあります。本書で扱うsaddhāもその一つです。saddhāに対して漢字の『信』をそのまま当てはめてしまうと、本語のもつ意味の本質からずれてしまう場合があります。語彙研究は非常に細かな作業の積み重ねですが、その中核的な意味をしっかりと把握できれば、非常に実りのあるものになると考えます」と述べました。
准教授
古川 洋平
フルカワ ヨウヘイ
- 専門分野
初期仏教(原始仏教)
- 研究テーマ
- 初期の仏典に用いられる用語の解明
- 用語の解明をもとにした仏教思想及び仏教文化の解明