中学の先生との出会いが自分を変えた。20.9倍の教員採用試験を突破し、春から夢の教壇に!

住廣 清美 教育学部 4年

住廣さんには、やんちゃだった中学生時代、どんな時も見放さずに、時には励まし、時には本気で叱ってくれた担任の先生がいました。そんな先生の存在にいつしか教員になることを夢見るように。教えたかった教科は社会、そして教鞭を執りたかったのは中学校。中学校は義務教育の最終課程で、その後学び続けるかどうか、どの学校に行くのかと選択が分かれます。指定の地域から、学力に関わらず様々な子どもたちが集ってくるのが中学校。そして社会科目。「特に“公民”は生活に直結します。子どもたちの人生の中で、“そういえば、住廣先生が言っていたことだな”と思い出し、彼らの役に立てたなら」と話す住廣さん。アルバイトでお金を貯めては海外にも行き、海外ボランティアも経験。八王子市内の中学校でインターンシップも経験し、クラブや教員を目指す後輩たちとも積極的に関わってきました。どんな時も信じてくれたあの担任の先生のように、自分も子どもたちに関わっていきたいと決意に燃える住廣さんに話を聞きました。

教員採用試験合格おめでとうございます!

マレーシアの創価幼稚園の先生たちと祝福の様子
マレーシアの創価幼稚園の先生たちと

 ありがとうございます!中・高の社会科はいつでもどこでも高倍率です。先輩から「倍率は関係ないよ。受かる人は受かるんだよ」と言われ、何とか受かる人になりたいと思ってここまできました。私の目指す教師は、中学校の恩師です。学校に行かなかったり、授業を飛び出したり、先生とけんかをしたりとやんちゃだった私を、本気でしかってくれた先生でした。卒業式の時、高校へと進学を決めた私に向かって、先生が「信じていたよ」と言ってくれました。
 中学校で教鞭を執りたいと思ったのは、もちろんその先生の存在と、合わせて高校に行かなかった友人や、高校を中退した友人たちの存在でした。中学までは義務教育ですので、どんな子どもも上がってきます。しかし、その後はそれぞれです。友人たちを思った時に、中学までに何を彼らの中に残してあげられるかが教育者としての一つの勝負だと思ったんです。また社会科で教えられることは、生活に直結することが多く、知っていることで役に立つこともあります。高倍率でも、目指した理由はそういうところにあります。「教員は大変な仕事だよ」と言われることもありますが、苦労以上のものが教師の職にはあると思います。人の人生に関われる、大いにやりがいのある仕事であると私は思います。

学校インターンシップや東京都の採用前実践演習で学ばれたことも多いとか

オーストラリアのホストファミリーとの写真
オーストラリアのホストファミリーと

 学校インターンシップでは先生方のサポートをさせていただきながら、様々な科目や先生方の授業を見学させていただきました。社会の授業と英語の授業では、違う表情をする生徒たちの姿や、生徒たちの興味を上手くひきながら授業を進める先生方など、実際の現場を見せていただき、大変に勉強になりました。生徒たちが極力身近に感じれるような学びを提供したり、授業にメリハリをつけることの重要さなど、現場で即活かしていくことができます。
 学校インターンシップは、これから教師になろうとする私たちにとって大変に貴重な場です。また、東京都には多くの研修制度が用意されており、その一つが、採用前実践演習です。各学校、教員の方々による授業での工夫はもちろん、学校崩壊になっていた中学校が再建された現状を見ることもできました。ほんの少し前まで荒れていたというその学校では、全教員が廊下のあちらこちらで生徒と話をしている様子が見られました。教科の担当だけでなく、副担任も休み時間には廊下に出て、生徒たちと日常的に話をしたり、友人関係をみたり、いつもと様子の違う生徒に声をかけたりと、全校を上げて、取り組まれていました。
 授業が乱れると他もダメになると、授業の前にきちんと席に座らせるなど小さなことも全教員が徹底して行ったそうです。教育現場で学級崩壊、学校崩壊という言葉が聞かれるようになってずいぶん経ち、大変な状況はありますが、変えていけるのだということを目の当たりにしました。

創価大学では様々なことを経験されたようですね。

マレーシアにて、集合写真
マレーシアにて

 教員になるということは決めていましたので、将来の自分の生徒たちにとってプラスになること、また今子供たちのためにできることという観点で海外でボランティアや学校訪問をしたり、SAGE JAPAN推進委員会(本学教育学部宮崎猛研究室)の一員として、高校生のサポートを行ったりしました。
 海外には、アルバイトでお金を貯めては、マレーシア、タイ、カナダ、韓国と訪問しました。マレーシアの創価幼稚園には3度訪問し、“教師が環境”ということをつくづく実感しました。オーストラリアではホームステイを経験し、2つ目の家族ができました。カナダではボランティアをし、マイノリティの子どものことを考えるきっかけとなりました。タイや韓国ではアジアの歴史に触れました。こうして実感したことをいつか子どもたちに伝えたい、いつもそう思ってきました。子どもたちにはいろんなことに挑戦して欲しいと思いますし、そう言ってあげられるように多くの経験を求め実践してきました。

“いろんなことに挑戦して欲しい”、その言葉の背景には自身の体験があるようですね。

タイにて、集合写真
タイにて

 私は高校生の時にリウマチを発症しました。クラブもできなくなり、自転車で学校に行くこともできなくなりました。大学に入ってからは、月に1回注射を受けることになり、毎回安いアパートの家賃位の負担をしなくてはいけなくなりました。JICAに挑戦しましたが、健康面でダメになりました。
 発症した時は、打ちひしがれ、何で私がと思いましたが、今では、できないこともあるが、チャレンジできることもあると思うようになりました。だから子どもたちにも挑戦して欲しいんです。何も難しいことばかりでなく、知らない人と出会うこと、いろいろな環境でもまれることも十分に挑戦です。リウマチは、今では完治ではありませんが、寛解と診断されています。

創価大学でよかったと思うのはどんなことですか?

韓国での写真
韓国にて

 教授陣、授業も大変に充実していますし、教職相談室に行けば、小学校や中学校で校長や教頭を勤められた経験豊かな先生方がいつでも相談にのってくれますし、具体的なアドバイスや面接対策、論文指導をしてくれます。KSS(教職サポートスタッフ)は、教員採用試験に合格した有志が後輩のサポートをしてくれます。私も現在KSSの一員です。
 学校インターンシップも豊富にあり、近隣の小学校、中学校に、私のように午前中しか時間のない人でも行かせてもらえる環境があります。何より、真面目な人や頑張っている人をバカにしない人たち、夢を語り合い、教育について語り合える人たちがいる環境が本当に素晴らしいと思います。

最後に後輩に一言

韓国での記念撮影
韓国にて

 高校の音楽の先生が、いつもいつも同じ言葉を繰り返していました。「応援させる人間になれ!」と「最後の一秒まで粘れ!」の2つです。
 自分のことを思っても、私一人では教員採用試験に受かるなんて無理だったと思います。人とのつながりの中で、たくさんの人たちに支えてもらっての合格でした。自分が頑張って、その姿に、応援したいと思ってもらえたら素晴らしいです。ですので、この2つの言葉を後輩の皆さんには贈りたいと思います。
 そして、創価大学には、頑張る人を応援してくれるたくさんのサポート体制がありますので、使わなくてはもったいない!とも伝えたいです。創立者が、自分の“最後の事業は教育”とまで言われた教育に携わる誇りを胸に、全てはこれからですが、決意満々に頑張っていきます!

すみひろ きよみ Kiyomi Sumihiro

[好きな言葉]
「夢は信頼の上に成り立つ」
[性格]
責任感が強い
[趣味]
旅行・スポーツ
[最近読んだ本]
『世界がもし100人の村だったら』      
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