Vol.96

スワヒリ語やアフリカ文化を発信 パン・アフリカン友好会がつむぐ友好の歴史

吉田友里香(よしだゆりか) 法学部 法律学科2年
佐々木秀信(ささきひでのぶ) 国際教養学部 国際教養学科2年

今年7月、大阪・関西万博で開催された「世界スワヒリ語デー記念式典」で、本学のスワヒリ語の普及への貢献に対して、表彰状とトロフィーが贈られました。本学では、学生によるパン・アフリカン友好会が「創価大学創立者杯スワヒリ語スピーチコンテスト」を毎年開催するなど、長年にわたってスワヒリ語とその文化の発信に力を注いでいます。現在パン・アフリカン友好会で活動する部長の吉田友里香さん、スワヒリ語スピーチコンテスト実行委員長の佐々木秀信さんに、会の活動や伝統、コンテストに対する思いを聞きました。

パン・アフリカン友好会の活動内容や人数、歴史などを教えてください。

吉田 パン・アフリカン友好会は、創立者の「21世紀はアフリカの世紀」という言葉と建学の精神に基づき、アフリカと日本の友好を深めるさまざまな活動を行うことを目的としています。現在95名の部員が所属し、週2回の部会でアフリカの音楽や映画などに触れたり、最新のニュースをテーマにグループディスカッションをしたり、アフリカの文化や歴史をテーマに学びを深めています。さらに、スワヒリ語スピーチコンテストの企画運営、創大祭での歌やダンスの披露など、さまざまな行事を通してアフリカとの友好を築く活動をしています。
来年で創部50周年を迎えますが、過去には、南アフリカ共和国の元大統領であるネルソン・マンデラ氏や、ケニアの環境活動家であるワンガリ・マータイ氏と創立者池田先生との対談の際に会のメンバーが歓迎を担った歴史もあります。

お二人はなぜパン・アフリカン友好会に入部したのですか?

吉田 私が入部したきっかけは、バングラデシュからの留学生との出会いです。彼女の母国の話を聞く中で、人権や人の尊厳についてしっかり考えたいと思うようになり、同じような問題意識を持つ人と一緒に学べる場を探していました。パン・アフリカン友好会は、真剣に学ぶ時間だけでなく、楽しくやりがいのあるイベントもあり、ほかの部にはない魅力があるなと感じて入部しました。

佐々木 中学生の頃から途上国の貧困対策や難民支援に興味があり、また大学生活でさまざまな活動を通じてアフリカへの学びを体験していきたいという思いが強まり、知人の紹介でパン・アフリカン友好会に入部を決意しました。私のように貧困や難民といった面に関心がある部員もいれば、創大祭で披露する音楽やダンスに惹かれて入った部員もいて、多種多様な思いを持つ人がいるところも、この会の魅力だと思います。

今年で35回目を迎える「創価大学創立者杯スワヒリ語スピーチコンテスト」とは、どのようなコンテストですか。

佐々木 私たちパン・アフリカン友好会が主催し、スワヒリ語を話す弁士を全国から募集して、テーマに沿ったスピーチを発表してもらう大会です。
東アフリカ諸国で使われているスワヒリ語は、アフリカ連合でも公用語に定められるなど、アフリカ大陸で影響力を持つ言語です。コンテストには、創大や他大学でスワヒリ語を学ぶ学生、アフリカに留学経験のある方、アフリカに興味のある方などさまざまなバックグラウンドを持つ弁士が集まります。さらに、審査員としてスワヒリ語圏の国の大使をお呼びするなど、創価大学内にとどまらない大きなイベントです。今年のテーマは「あなたとアフリカ Wewe na Afrika」。11月30日の開催に向けて、現在部員一丸となって準備に取り掛かっているところです。

吉田 翻訳アプリやAIの発達によって外国語の学習の必要性が下がる、という意見もありますが、私たち人間は人と人が直接交流することによって、お互いの思いや価値観を共有できるものだと思います。スピーチコンテストが、スワヒリ語やアフリカの文化や価値を共有する場所として、弁士さん・大使館・来賓の方々・パンアフ部員・来場者が一堂に交流し、異文化理解が深まることを願っています。

コンテストの取り組みが評価され、大阪・関西万博の「世界スワヒリ語デー記念式典」で表彰されることになったときの気持ちをお聞かせください。

吉田 先輩方が築き上げてこられたパン・アフリカン友好会の活動が、スワヒリ語諸国からこのような形で評価されたことに大きな喜びを感じました。30年以上スピーチコンテストを続けてこられたのは、代々の先輩方が残してくださった「アフリカと日本の架け橋になる」という志と、アフリカへの熱い想いがあったからです。毎年のスピーチコンテストは、単なるイベントではなく、そうした歴史と想いの結晶だと感じています。多くの人の努力と情熱が実を結んだ瞬間であり、私たち自身もその一員として表彰していただいたたことを誇りに思います。さらにこの活動を未来につなげていこうという決意が強まりました。

佐々木 会の長年の活動が評価されたことをとてもうれしく思います。パン・アフリカン友好会はOB・OGとの繋がりが強いことも魅力の一つで、私も「20年前にスピーチコンテストの実行委員長をしていた」という方に声を掛けていただいた時は、会の歴史の長さを実感しました。現在アフリカで働いている方も多く、卒業後もアフリカに対する熱い思いを大切にし続けている方々の存在が、部員の励みとなり、活動の原動力になっていると思います。

アフリカ友好活動に関する創立者の精神や、アフリカの識者との交流の歴史について教えてください。それらは会の活動にどのように受け継がれていますか。

吉田 創立者は「『アフリカの世紀』とは、一番苦しんだ人が、一番幸せになる世紀である。(中略)奪われても奪われても、命の陽気な鼓動を失わなかったアフリカのエネルギーに、強さに、叡智に、『世界が学ぶ』時が来たのだ」と語られました。この言葉は、現在も私たちの活動の主軸となっています。創大祭での演目や展示、スピーチコンテストといった活動には、「アフリカから学び、学んだことを伝播していく」という思いがあります。例えば、今年の創大祭展示では、ワンガリ・マータイ氏をテーマに取り上げ、創立者との対談の抜粋を紹介しました。創立者の精神やアフリカのリーダーの方々との友好の絆は、活動の中に脈々と受け継がれていると思います。

スワヒリ語やアフリカの文化を学ぶことには、どのような意義があると思いますか?

佐々木 スワヒリ語を学ぶことは、アフリカを世界的な視野でとらえ、その歴史・文化を学ぶ一助になると思います。私たちはアフリカについて考える時、植民地支配や貧困、政治腐敗といった暗い側面に焦点を当ててしまうことが多いのではないでしょうか。私自身もそうした分野への興味が入部のきっかけでした。しかし、会の活動を通じてアフリカの音楽やダンスに触れ、明るく生命力にあふれる文化のポテンシャルに感動しました。アフリカ特有の生き生きとした踊り、ジャンベ(太鼓)の力強さといった要素は、生命そのものを象徴していると思います。そうした文化を学び、体現することは、私たちが日々の困難やつらさを乗り越える力になると同時に、見てくれた人に「明日も頑張ろう」という勇気や希望を与えるものになると確信しています。

創価大学を目指す後輩たちへのメッセージ、今後のパン・アフリカン友好会に期待することをお聞かせください。

吉田 創価大学には本気で世界の平和を実現しようとする人々がいます。そして、一人ひとりの可能性を伸ばしてくれる環境があります。やりたいことを模索している人も、すでに夢を持っている人も、素敵な道を見つけられるはずです。創価大学には「後輩を大切にする精神」が根付いており、自分以上の学びや体験を後輩にしてほしいと願う人がたくさんいます。さらに、多くの留学生や友人、教員と気軽に語り合えることができます。ここでしかない沢山の学びがあります。ただ、学内だけでなく他大学の学生や地元の友人、異なる世代との交流も大切にしてください。そうした繋がりが、きっとあなたの世界を広げてくれる大切な鍵になるはずです。

佐々木 創価大学には本気で世界の平和を実現しようとする人々がいます。そして、一人ひとりの可能性を伸ばしてくれる環境があります。やりたいことを模索している人も、すでに夢を持っている人も、素敵な道を見つけられるはずです。創価大学には「後輩を大切にする精神」が根付いており、自分以上の学びや体験を後輩にしてほしいと願う人がたくさんいます。さらに、多くの留学生や友人、教員と気軽に語り合えることができます。ここでしかない沢山の学びがあります。ただ、学内だけでなく他大学の学生や地元の友人、異なる世代との交流も大切にしてください。そうした繋がりが、きっとあなたの世界を広げてくれる大切な鍵になるはずです。
パン・アフリカン友好会には、これからもアフリカと日本の友好を繋ぐ架け橋であり続けると共に平和の大文化を建設していくことを期待しています。パンアフが結ぶ一つひとつの友好が、世界平和への一歩になると確信しています。

<法学部 法律学科 2年>

吉田友里香

Yoshida Yurika

[好きな言葉]
土に根をおろし、風とともに生きよう。種とともに冬を越え、鳥とともに春を歌おう。(『天空の城ラピュタ』より)
[性格]
感性が豊か、責任感が強い
[趣味]
散歩、読書、遠出
[最近読んだ本]
森の目が世界を問う─アフリカ熱帯雨林の保全と先住民─/市川光雄

<国際教養学部 国際教養学科 2年>

佐々木秀信

Sasaki Hidenobu

[好きな言葉]
Think globally, act locally
[性格]
マイペース、深く考えること、一度決意したら最後までやり遂げる
[趣味]
外国語学習、読書、音楽を聴くこと、旅行、多言語会話
[最近読んだ本]
世界市民の対話─平和と人間と国連をめぐって─/池田大作
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