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2020年11月13日

本学教育学部・久保田秀明教授が『見えないスポーツ図鑑』の共同執筆者の一人としてセーリングの章を担当しました。

    この度、本学教育学部久保田秀明教授が共同執筆者の一人として参加した、『見えないスポーツ図鑑』(晶文社)が発刊されました。

    この書籍について久保田教授に紹介して頂きます。

    「スポーツを行っているときの身体感覚や臨場感を、日常的な感覚に「翻訳」して伝える試みが、伊藤亜紗先生(東京工業大学)らの研究グループによってまとめられ、『見えないスポーツ図鑑』(晶文社)として発刊されました。この本の共同執筆者の一人として参加し、「セーリング」の章を担当しています。翻訳されたスポーツは、ラグビー、アーチェリー、体操、卓球、テニス、セーリング、フェンシング、柔道、サッカー、野球の10種目です。
    この研究プロジェクトは当初、目の見えない人と一緒にスポーツを観戦する方法を探るところからスタートします。スポーツの内容の「見た目」を、ラジオの実況中継のように言葉で説明することでスポーツを伝えようとしました。ところが、言葉による説明を尽くしても、スポーツの臨場感を伝えることの難しさが際立ち、研究は難航します。その課題を克服するために、様々なスポーツ種目のエキスパートを講師に招いて検討した結果、スポーツを行っている選手は聴覚や触覚、平衡感覚など視覚以外の様々な感覚も総動員してプレイしていることが注目されました。ここから、スポーツを説明するのではなく、プレイ中に選手が感じている言葉にならない感覚そのものを、わかりやすく翻訳して伝えるという、より踏み込んだ研究のステージに至ります。
    研究の行き詰まりによって生まれた新しい発想によって、スポーツを見る「観戦」という楽しみ方から、選手の感じている感覚を共有する「感戦」、さらにその勝負の中に巻き込まれていく「汗戦」といえるような伝え方があることを見出していきます。この成果は、目の見えない人にリアルな臨場感を持ってスポーツの感覚を伝えることに留まらず、すべての人に、身体や感覚に関する新しい喜びをもたらす発見となりました。選手のプレイに身体的に移入し、共感的な観戦体験をすることは、やがて身体や感覚の違いを超えた共同行為への動機付けにもつながっていきます。
    今年度はコロナ禍によって、体育関係の実技科目もオンライン授業となりました。この研究による翻訳は、そのスポーツに初めて出会った人や始めたばかりの人にとっても、体力や経験の有無を超えて一緒にプレイする一体感を作り出すことができるため、オンラインの体育実技授業を充実させる上でも役立てることができました。」
    ページ公開日:2020年11月13日
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