Vol.75

「私は創価大学で花開く!」との思いで勉強に邁進。 世界で活躍する夢に向かって京大大学院へ

永石 優衣
(法学部法律学科 国際平和・外交コース(現 地球平和共生コース)4年)

 「将来はグローバルな仕事をしたい」という思いを抱き、創価大学に進学した永石優衣さん。卒業後は夢を叶えるための第一歩として、京都大学大学院で「食農」をテーマにした研究をする予定です。その実現に向けて大きなサポートとなったのがゼミの学びと、グローバル・シティズンシップ・プログラム(GCP)だと話す永石さん。ここに至るまでの歩みについて、話を伺いました。

京都大学大学院に進学しようと思った理由を教えてください。

 高校時代から、将来は世界を舞台にグローバルな課題の解決に貢献したいという思いがありました。大学進学の際に、創価大学には学部での学びに加えてグローバル人材を育成するためのGCPがあることを知り、まさに将来につながる学びができると考えて進学を決めました。実際、GCPを受講した卒業生の中には、外交官として働いていたり、グローバル企業で活躍していたりする方々がいらして、GCP総会などの場でお話しをすることができます。そうした機会の中で、国際機関で働くためには大学院の修士課程を出ることがスタンダードだということを知り、大学院への進学を決めました。

 京都大学大学院を選んだのは、私が深めたいと考えている「食農」の分野について研究することができるからです。それに、私と同じゼミとGCPに所属していた先輩が在籍されている大学院だということも、安心感が持てました。

高校時代の応援団の写真
高校時代の応援団の写真

永石さんの研究分野である「食農」とはどのようなものなのでしょうか。

 食農とは、食とそれを支える農を一体のものとして、両者をより包括的に捉える概念です。例えば、食農教育は、食育と農の営みに関して総合的に学び・体験することで、食と農業、地域、自然とのつながりについても学びを深めることができる教育になります。

 私は国際関係論を専門分野とする前田幸男ゼミに所属していますが、ここで世界のさまざまな不条理な出来事とその解決法について学んできました。例えば水に関して言うと、水は自然物ですからあらゆる生物のためのものです。それなのに、また、それゆえでもありますが、水の利権を民間企業が買収して民衆に水が届かないという状況が発生している場所があります。また農業に関しては、「これが近代的で優れた方法だ」と宣伝して農薬や化学肥料が使われたものの、それが土壌の汚染や劣化につながってしまったという事例もあります。

 こうした不条理を正していけるかどうかの道筋はまだついていませんが、今は、食農を政治学や物質循環、宗教、人類学、教育学などさまざまな角度から研究していきたいと考えています。

学部での学びに加えて、さらにGCPの勉強をするのは大変ではありませんでしたか?

GCP成果報告会
GCP成果報告会

 確かに“勉強漬け”と言えるような大学生活だったかもしれません。GCPでは徹底的に英語を叩き込まれます。読む・書く・聴く・話すといった基礎的な英語力を鍛え、さらには英語を使ってプレゼンテーションやディスカッションをしたり、エッセイを書いたりもして、英語でのコミュニケーション能力を高めていきます。私は入学前、あまり英語が得意な方ではなかったので大変でしたが、先生方が親身になって教えてくださいました。私も力を尽くしてくださる先生に報いたいという思いで、前向きに学習することができたと思います。個人的にはシャドーイングをたくさんして、聴く力と喋る力の両方を鍛えられたと感じています。TOEICのスコアもかなり上がり、苦手意識がなくなったおかげで、留学先でも怖気付かずにコミュニケーションをとることができ、多くの学びにつながり、大切な友人もできました。

GCPでは、他にどのような能力を伸ばすことができたと感じていますか?

 まず、とても大きかったのが多面的な視野や思考力です。自分の意見に対して別の角度からの意見をもらえるので、「そんな考え方があるんだ」と気付かされることが多くありました。例えば、同じ対談集を読んでいるのに、私が思うのとは別の切り口の意見が仲間から次々と出てきます。また、課題発見・解決能力の向上を目指した授業でも、「ここが課題でこんな解決法があるんじゃないか」と挙げたことに対して、本当にそうなのかと細かく精査することによって、別の解決法が浮かんでくることもある。こうしたさまざまなプログラムによって、複雑に絡まった課題に対して多面的にアプローチできるようになれたことは、今後、非常に大きな力になるだろうと感じています。

 もう一つ伸びたと思うのは、リーダーシップです。GCPでは、多くの科目でチームワークが求められます。課題を発見し解決に至る提案をするためには、一人で動いても視野が狭く、なかなか思うように進みません。限られた時間の中で、効率よく精度の高い提案をつくるためにはチームで動くことが必須です。チームの中で自分の意見を述べる積極性や自分達の足を使って情報を集める行動力、真剣に課題に向き合うからこそ意見がぶつかった場合に相手の言葉に耳を傾ける傾聴力、そのうえで「私はこう思う」と話し合いを重ねる対話力が鍛えられました。こうした力を使ってチームの調和を保ちつつ、みんなで一つの方向に進んでいけるリーダーシップを得たように思います。

ポーランドへの交換留学について教えてください。

 2022年の秋から2023年の夏まで、ポーランドのヤギェウォ大学に留学しました。ポーランドは農業が基幹産業の一つです。EUのメンバーでもあり、持続可能な社会の構築に向けて食や農業の側面でどのような動きがあるのかを知りたいと考えました。実際に訪れてみると、自然に優しい農法を取り入れていたり、伝統的な農業や食のあり方に戻ることで、自分たちのアイデンティティを確認するスローフード運動がトレンドとなっていたりして、それを肌で感じることができたのは大きかったです。

 ポーランドは西側諸国のファストフードなどに触れて日が浅いこともあり、手作りの食べ物がとても身近です。ポーランド人のルームメイトのもとには、最低でも月に1回は家族が手作りのロールキャベツのような料理を持って訪れてきました。彼女からは「ポーランド人は、一軒家なら庭で野菜を育てるし、都会のマンション暮らしでも郊外に小さな農園を持っていて野菜や植物を育てる人が多いんだよ」と、人々の暮らしについても教えてもらいました。一般の市民と農業との距離がすごく近いことを感じられたのも、良い経験だったと思います。

 

聖マリア教会とドラゴン伝説のモチーフ
聖マリア教会とドラゴン伝説のモチーフ

ポーランドでは、戦争について深く考える機会もあったそうですね。

アウシュビッツ・ビルケナウ収容所の犠牲者の靴の山
アウシュビッツ・ビルケナウ収容所の犠牲者の靴の山

 これまで前田ゼミで戦争の問題に触れ、授業の中でプレゼンをする機会が度々ありました。ゼミでは直接的にポーランドを扱ったことはありませんでしたが、過去の戦争から学ぶことは大きいと考え、留学中にアウシュビッツ・ビルケナウ収容所の博物館へ足を運びました。そこで、戦争が起きた時、当時の両国民からすれば日常生活の延長線上で戦争に至ったという感覚だったのではないかと感じました。ユダヤ人が迫害され、悲惨で残虐な行為をされたという歴史も、そもそも彼らを排除するような、排他的な雰囲気があったことが要因となっているように思います。平穏な日常の中で戦争や対立を思い続けることは難しいかもしれないけれど、それを考え続けなければホロコーストの悲劇や狂気に行き着いてしまう可能性があるのです。また、アウシュビッツ・ビルケナウ収容所でガイドの方が、日本における差別の問題を取り上げて民主主義の重要性をお話していたことが印象に残りました。民主主義は時に多数決に偏重し大衆迎合的になり問題を引き起こすこともありますが、その一方で、自分たちで考えるからこそ間違いに気付ける利点があるとお話しされていました。民主主義を営むのは大変ですが、それを手放してはいけないというメッセージを受け取りました。

留学と大学院受験の準備をどのように両立したのですか?

帰国から大学院の入試までは約1か月しかなかったので、留学中も大学院進学に向けた勉強をしていました。先ほど話題に出た、京都大学大学院に在籍している先輩から試験対策の教材をたくさんいただいて、それを携えてポーランドへ(笑)。でも、ポーランドでは勉強ばかりしていたわけではなく、学生が行くようなクラブに足を運んだり、カジュアルなバーでお酒を飲みながら現地の人と踊ったり、ホームパーティーで他の国から来た留学生に日本食を作って食べてもらうようなこともしていました。

都市クラクフでの伝統的な復活祭のお祭り「Rękawka Festival」
都市クラクフでの伝統的な復活祭のお祭り「Rękawka Festival」

創大を目指す後輩たちにメッセージをお願いします

 創価大学へ進学する人の中には、第一志望が創価大学だった訳ではない人もいると思います。私もその一人で、有名国公立大学を目指していました。でも、創価大学には個々の力を伸ばしてくれる教育や、幅広い提携先と手厚いサポートの留学制度があり、さらには優秀な先生方と錚々たる場所で活躍されている先輩方の人脈もあります。私は、「創価大学で花を開くぞ!」という思いと、周りからのサポートによって、4年間でここまで進むことができたと感じています。創価大学は、思っていなかった自分に成長することができる場所です。ぜひ、やりたいと思うことにチャレンジしてみてください。

永石 優衣 Yui Nagaishi 
[好きな言葉]
里山
[性格]
好奇心旺盛
[趣味]
自宅で飼っている犬と遊ぶことと読書
[最近読んだ本]

応答、しつづけよ。/ティム・インゴルド(奥野克己・訳)

Share