太田隼人助教の論文が国際誌 Cell Communication and Signaling に掲載

 本学糖鎖生命システム融合研究所の太田隼人助教の論文が、2026年1月13日付で国際学術誌 Cell Communication and Signaling にオンライン掲載されました。論文タイトルは「Chondroitin sulfate E activates IL-6/STAT3 signaling to drive androgen-independent growth in castration-resistant prostate cancer」です。
 本研究は、ホルモン除去療法が効きにくくなった前立腺がん(去勢抵抗性前立腺がん:CRPC)が、どのような分子機構によって増殖を続けるのかを明らかにしたものです。前立腺がんは一般に男性ホルモン(アンドロゲン)に依存して増殖するため、その作用を抑えるホルモン除去療法が標準治療として行われます。しかし、多くの症例でやがて治療に抵抗性を示すCRPCへと進行し、治療選択肢が限られた難治性の段階に至ります。そのため、治療抵抗性の背景にある分子機構の解明が重要な課題となっています。本研究では、前立腺がん細胞が治療抵抗性を獲得する過程において、細胞表面に存在する糖鎖の一種「コンドロイチン硫酸E(CS-E)」が増加することを見出しました。さらに、CS-Eが炎症性サイトカインIL-6によるシグナル伝達(IL-6/STAT3経路)を増強することで、男性ホルモンに依存しないがん細胞の増殖を促進することを示しました。本成果は、前立腺がんの治療抵抗性を理解するうえで重要な知見であり、糖鎖を標的とした新規治療戦略の開発につながることが期待されます。
 太田助教は、本研究について次のようにコメントしています。
「本研究では、糖鎖の変化ががんの治療抵抗性に深く関わっていることを示すことができました。がんだけでなく他の疾患においても、糖鎖という視点から新たに捉え直すことで、新しい診断法や治療法の可能性が広がることを期待しています。今後も糖鎖研究の発展に貢献できるよう努めてまいります。」
 論文の詳細は、以下のリンクよりご覧いただけます。

助教

太田 隼人

オオタ ハヤト

専門分野

糖鎖生物学、細胞生物学

研究テーマ

多能性幹細胞における糖鎖の機能解析
前立腺がんにおける糖鎖の機能解析

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