国際教養学部の山田竜作教授が「ヨーロッパ政治研究コンソーシアム」で報告

5月20日から23日にかけて、チェコ共和国・プラハのカレル大学で開催された「ヨーロッパ政治研究コンソーシアム(European Consortium for Political Research: ECPR)」のワークショップにおいて、本学国際教養学部の山田竜作教授が研究発表を行いました。

ECPRは、政治学分野における国際的な研究ネットワークであり、欧州を中心に世界中の研究者が集い、最新の研究成果を共有する場として知られています。今回のワークショップも、政治理論、比較政治、国際関係など多岐にわたるテーマで活発な議論が交わされました。

山田教授は、「民主主義研究のパラダイム」というグループに参加。初日である5月20日に、“Revisiting the Democratic Personality from a Non-Western Perspective: Insights from the Buddhist Concept of ‘Dependent Origination’”(非西洋的視座からの民主的パーソナリティ再訪:仏教の「縁起」観からの知見)」と題して報告しました。

本研究では、制度論的な民主主義研究で扱うことが難しい「民主的パーソナリティ」論の重要性を再考し、仏教的な「縁起」観からアプローチすることで、個人主義的自由主義とは異なる民主的人間像を描き出す可能性を提示しました。その際、本学創立者・池田大作先生の平和提言で語られた「人間主義の行動準則」を例に取り上げ、民主的行動を支える規範として以下の3点を論じました。

(1)「触れる縁によって自己も悪になり得ると自覚する自己規律」

(2)「対立もまた結びつきの一形態と見なす積極的な対話への関与」

(3)「他者を抽象化せず具体的人間と遇することから発する漸進主義」

山田教授は、「ワークショップ参加者からは想像を超える好評価を得ました。特に、『対話とは闘いであり、闘いもまた結びつきの表れである』との考えに共感をいただきました。政治理論の言葉になりにくい仏教的概念、また欧米圏に存在しない観念を、英語で表現することには常に困難がつきまといます。それでも、民主主義理論に非欧米的な視点が求められる現代にあって、今回、試論として第一歩を記すことができました」と語りました。

チェコ共和国・プラハのカレル大学

教員情報

教授

山田 竜作

ヤマダ リュウサク

専門分野

政治理論(現代民主主義理論)、政治思想史

研究テーマ

ラディカル・デモクラシー論(参加、熟議、シティズンシップ)、カール・マンハイムの政治社会思想

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