文学研究科の菅野博史教授が「日本印度学仏教学会学術賞」を受賞

9月6日(土)に大阪大学で開催された「日本印度学仏教学会第76回学術大会」において、文学研究科の菅野博史教授が第1回目となる「日本印度学仏教学会学術賞」を受賞しました。

本賞は、1990年から2016年にわたって授与された鈴木学術財団特別賞の後継の賞として新設された賞です。過去5年間のうちに刊行された著作が対象で、菅野教授の『中国仏教の経典解釈と思想研究』(法藏館、2022年)が対象となりました。同書には中国の東晋・南北朝の仏教思想、『法華経』、『涅槃経』、『維摩経』、『般若経』の注釈書、『大乗四論玄義記』「仏性義」の研究を含んでいます。その他にも、「中国の人間仏教と日蓮の『入世』の思想―浄土教との比較を含めて」が収録されています。

受賞の席上、菅野教授は次のように挨拶しました。
「私の修士論文のタイトルは『嘉祥大師吉蔵の法華経観』というもので、吉蔵の法華経注釈書の研究から大学院生としての研究生活を始めました。博士課程に進学後は、研究領域を拡大するために、吉蔵の『法華経』注釈書以外の大乗経典の注釈書に手を広げ、また前の時代の資料を多く引用する吉蔵の著作に刺激を受け、南北朝時代の仏教思想にも手を広げました。この南北朝時代の仏教思想の研究にも、やはり経典注釈書の研究が必要でした。このような理由で、私の研究の基本線は、経典の注釈書の研究となっていきました。今回の受賞の対象となった拙著『中国仏教の経典解釈と思想研究』もタイトルからお分かりの通り、経典注釈書の研究に関係するものでした。現在、取り組んでいます天台三大部の訳注研究も経典注釈書の研究ですが、何とか完成したいと思っております。」

教員情報

教授

菅野 博史

カンノ ヒロシ

専門分野

仏教学、中国仏教思想研究

研究テーマ

中国における法華経注釈書の研究、中国天台宗の研究、中国三論宗の研究、南北朝・隋代の中国仏教思想の研究

受賞の様子
受賞の様子
Share