Vol.71

多くを吸収したスペイン留学。その経験をもとに留学希望者をサポート

大川 正輝(経済部経済学科4年)

 創価大学には、留学を経験した学生たちによる留学支援団体「ワールド会」があります。会のメンバーは、自らの実体験をもとに、どの留学制度を利用するか、費用や語学力の不安など、さまざまな疑問や悩みに学生目線で答え、留学に踏み出したい後輩を後押しています。ワールド会で代表を務める大川正輝さんに、会の活動の特色、自らの留学経験とそこで得られた学びなどについて聞きました。

大川さんが代表を務める「ワールド会」について教えてください。

ワールド会のイベントの様子
ワールド会のイベントの様子

 ワールド会は、3カ月以上の留学を経験した学生が、留学を目指す後輩の支援に尽力する団体です。現在、約120人のメンバーが部門や留学先ごとの地域グループに分かれて、留学を希望する後輩たちの支援に取り組んでいます。さらに、創大に来ている留学生のサポートも行い、大学全体のグローバル化に力を尽くしています。

 私が代表を務める36期は、「ワールド会の今後の発展の“盤石な基盤”をつくる」というビジョンを掲げ、組織の見直しを行いました。これまでの3つだった部門を8つに増やし、より多くのメンバーを巻き込んで、効果的な活動ができる体制が整ったと考えています。私自身は、代表として、主に2つの部門の取りまとめ、部門長たちとの連携、大学の国際課、学友会、自治会などとの連携協力の窓口も担当しています。

日常的にどのような活動をしているのでしょうか?

 活動の大きな柱になっているのは、留学を希望する学生の相談対応、学内での留学生支援や日本人学生との交流促進、広報活動、留学情報をまとめた冊子『留学の達人』の発行です。

 留学相談は、中央教育棟6階の留学情報ステーションで行っているほか、オンラインでの相談にも対応しています。また、留学生との交流イベントを年に数回開催し、クイズ大会やミニゲームを楽しみながら、留学生と日本人学生がお互いの文化や言語に触れる機会を作っています。『留学の達人』は、毎年留学の体験談をまとめて出版し、創大祭で販売しています。

 さらに、今年は特に、ワールド会を知ってもらう広報活動にも力を入れています。長年留学に関するさまざまな活動を行っているワールド会ですが、残念ながら、学内での認知度はそれほど高くないのが現状です。そのため、新たに広報部門を設置して、インスタグラムなどでの情報発信を強化しています。4月には、留学を希望しているかどうかに関わらず、たくさんの1年生に留学に興味を持ってもらおうと、新入生ガイダンスでもPRさせていただきました。その後、3カ月ほどでインスタグラムのフォロワーが400人ほど増え、手応えを感じているところです。

留学ガイダンスの様子
留学ガイダンスの様子

大川さんはスペイン留学を経験されていますが、ご自身でもワールド会の留学相談などを利用したのでしょうか?

 

 いえ、していません。というのも、実は私がワールド会の存在を知ったのは、留学した後のことなんです。帰国後、前の年の代表に声を掛けられてワールド会に入ったのですが、「こんなに役立つものがあるんだったら、留学に行く前に知りたかった!」と思いました(笑)。そういう意味では、「ワールド会の認知度が高くない」というのは、自分の実感でもあります。

 創大は、交換留学、認定留学などさまざまな留学制度があり、奨学金などのサポートも充実しています。私自身は、ありがたいことに、身近な先輩が留学を経験していたので、必要な情報を得ることができましたが、そうではない学生もたくさんいるはずです。私たちの活動を通して、留学に興味があるないに限らず多くの学生に情報が届き、留学に一歩踏み出すサポートになればと思っています。

留学前は国際寮で生活した
留学前は国際寮で生活した

スペイン留学では、どのような学びや経験をされてきたのでしょうか?

スペインの授業で出会った仲間
スペインの授業で出会った仲間

 

 20219月から10カ月間、スペインのアルカラ大学に留学しました。スペインを留学先に選んだのは、第二外国語で学んでいたスペイン語が面白く、さらに高いレベルで使えるようになりたい、ヨーロッパの地で異文化理解力を養いたいと思ったからです。

 最初の半年間は、語学学校に通ってスペイン語の能力を高めつつ、大学では英語で主に経済学の授業を履修していました。後期は、学んだスペイン語を積極的にアウトプットしていこうと、スペイン語の議論をベースにした授業に挑戦しました。

 スペイン語での授業はやはり難しく、はじめはクラスメイトや教授の話を理解しようとすることで精一杯でしたが、予習と復習を繰り返し、後半には自分の意見を述べられるようになりました。中でも印象に残っているのは、「幸福のための教育論」の授業です。経済学部の私にとっては専門外の授業だったのですが、教授やほかの学生と「幸福とは何か」といった哲学的な内容から教育実践の具体的な内容まで、さまざまなことについてスペイン語でディスカッションしました。新しい意見や考えが交わされる環境に身を置き、楽しく学び、貴重な経験をすることができました。

 プライベートでも、友達と現地の人が集まるバーに行ったり、日本語を学びたい人との言語交流会に参加したりしながら、積極的にスペイン語を使っていました。留学期間の後半は、スペイン人3人とルームシェアもしていたんです。日常会話に困らないレベルまでスペイン語が上達したのは、意識的にアウトプットのための行動を起こし続けたからこそだと思います。

 また、ほかの国からの留学生とも友達になり、特に仲良くなった中国人とベトナム人の友達とは、お互いをFamilia(スペイン語で「家族」)と呼び合うほどでした。中国人、ベトナム人、日本人がスペイン語でコミュニケーションを取って友情を築くというのも、留学先ならではの経験かもしれませんね。

とても充実した留学生活だったんですね! 留学中の経験は、ワールド会の活動にどのように生かしていますか?

留学先の友人と
留学先の友人と

 私は、せっかく留学するのだから、吸収できることはどんどん吸収しよう、自らアクションを起こしていこうという意識を強く持って留学生活を送りました。その結果、語学力を高め、スペイン語で学問を学び、さまざまな文化や価値観に触れることもできました。とても多くのものを得ることができたと感じています。

 そうした経験を踏まえて、留学相談に来る後輩たちには、留学に行くだけでなく、行った先で行動を起こすことの大切さや得られるものの大きさを、自分の実感を交えて伝えるようにしています。留学先では失敗もしましたが、失敗から学ぶことはたくさんあります。たとえば私が「今の言語レベルでは難しいだろうな」と最初からスペイン語の授業を諦めていたら、留学での学びはもっと少なかったはずです。失敗を恐れすぎないでほしいということは、必ず伝えています。

多国籍のメンバーとサッカーを楽しんだ
多国籍のメンバーとサッカーを楽しんだ
授業でのディスカッション
授業でのディスカッション

創大を目指す後輩たちにメッセージをお願いします

イベントでの留学希望者との懇談
イベントでの留学希望者との懇談

 

 まず、ぜひ留学を経験してほしいということは、お伝えしたいです。自分のコミュニティ、自分の文化から外に飛び出してみると、新しい価値観と出会えるのはもちろん、自分を客観視できるようになり、視点が多角的になります。私にとって海外に身を置く経験は、人生の選択肢を広げ、人生を豊かにする機会になったと感じています。

 留学に興味を持っていても、費用面や期間がネックになって踏み出せないというケースも多いのですが、そんな時はワールド会にぜひ相談してほしいですね。さまざまな留学制度や奨学金制度の情報、留学前の語学学習の方法など、学生の視点でのアドバイスは、きっと参考になると思います。また、最近は、4年間で大学を卒業することにこだわらず、休学制度を利用して長期留学をする学生が日本でも増えています。私も休学を経験していますが、4年制に囚われすぎず様々経験を経てから社会に出るというのも一つの手段ではないかなと思います。留学に特別興味がない、自分には無理だと思っている人も、ぜひ一度留学経験者の話を聞いてみてほしいです。

 もちろん、留学に行かなくても、創大のキャンパスでたくさんの留学生と交流し、グローバルな友情を育んだり、自分の見識を広げたりすることもできます。このようなたくさんのチャンスが得られる創大でみなさんが世界に目を向け、自らアクションを起こし、自身の可能性を大いに広げてくれることを願っています。

ワールド会のミーティングの様子
ワールド会のミーティングの様子
ワールド会の留学相談スペース(中央教育棟6階)
ワールド会の留学相談スペース(中央教育棟6階)
大川 正輝 Masateru Okawa 
[好きな言葉]
愚痴は福運を消し、感謝は福運を増す。“不遇を嘆くよりも自分が変わることだ。”必ず道は開かれる。
[性格]

よく笑う・ポジティブ・友好的

[趣味]

漫画を読むこと、ゲーム、漫才を見ること、カラオケ

[最近読んだ本]

〜東大生が書いた〜問題を解く力を鍛えるケース問題ノート/東大ケーススタディ研究会

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