《卒業生の活躍》助産師
阿部 和美さん 看護学部2019年度卒業
生命誕生の神秘に魅せられ、助産師になることを決意
幼いころは身体が弱く、病院に行く機会も多かったことから看護師が身近な存在でした。誰もがやさしく、いつしか「私も看護師になりたい」と思うようになっていました。その後、私が中学3年の時に姉が出産。甥が生まれる瞬間に立ち会うことができ、生命が誕生する神秘に魅入られました。そして、医師と家族以外では出産に唯一立ち会える助産師という職業に興味を抱くようになります。高校に入学後、創価大学に看護学部が新設されると知り、創価大学への進学を決めました。
サークル活動も楽しんだ大学生活。大変な実習も同期の仲間と乗り越えた
看護学部は3年次から本格的な臨地実習がはじまり、4年次の夏にすべての実習を終えた後は看護師資格の国家試験に挑むため、3年次以降は本当に忙しくなります。そうした話を教授や先輩たちから聞いていたので、大学生活に悔いを残すまいと1~2年次にはスポーツチャレンジフェスティバルの実行委員会に挑戦し、フラダンスサークルにも入部しました。1~2年次にも実習はあるので、どうすれば実習期間中も実行委員会やサークルの活動を両立できるか模索してやり遂げたことは、自分の中で諦めない心を育めたと感じています。サークルでは他学部の学生とも交流し、総合大学ならではの楽しさも経験できましたし、地域のイベントに参加するなど楽しかった記憶ばかりですが、学生時代の一番の想い出となるとやはり臨地実習です。
「寄り添う看護」で退院後まで考える。将来は、自分の経験を後輩たちに伝えたい
現在は東京都立大塚病院で助産師として勤務しています。大学卒業後、助産師の資格を取得するために大学院へ進み、現在は妊婦のケアや保健指導、分娩介助、新生児のケアを行っています。。これまで何十件もの出産に立ち会ってきましたが、初めて立ち会った中学3年生のときのように生命が誕生する瞬間には毎回感動していますし、この仕事に就いて良かったと心の底から思っています。
出産前後のケアの他に、退院後の家族を含めた育児サポートも助産師の役割です。私の勤務する病院は、経済的に困窮している方や出産後に周囲からの育児サポートが希薄な方、社会的リスクを抱えている方も積極的に受け入れており、助産師はそうした方たちが退院後も生活と育児を両立できるよう、医師やソーシャルワーカーと相談して最良の過ごし方を考えます。多職種連携の場面においても、心掛けているのは大学で学んだ「寄り添う看護」を実践することです。産後の定期健診の際、「退院後も上手くいっている」と聞いたときは本当にうれしく、仕事のやりがいを感じます。
出産はいまも命がけの行為です。だからこそ、無事に赤ちゃんが生まれると喜びを感じますし、看護が不十分なときは自分の無力感に苛まれます。かつて精神疾患を抱えた産婦を受け持ったことがあります。精神科の医師とも相談しながらケアしたのですが、私の経験不足から接し方に悩んでしまい満足のいくケアができませんでした。この経験をバネに、すべての患者さんに十分なケアを行い、患者さん一人ひとりが自分らしい育児をできるよう入院中から退院後を見据えたケアを実践しようと決意しました。
今後も目の前にいる妊産褥婦一人ひとりに向き合い、丁寧なケアを行い、経験を積んでいこうと思います。そして、ゆくゆくは自律して助産ケアを提供できる上級資格『アドバンス助産師』を取得し、将来は創価大学の学生に教えたいと考えています。創価大学はたくさんの学びを与えてくれ、助産師への道を導いてくれました。その恩を、私が学んだことや経験したことを後輩に伝えることで返していきたいです。
※大学案内『キャンパスガイド2024』より引用。所属部署・業務内容は取材時のもの。
※助産師の資格を取得するためには、助産師養成課程のある大学院または専修学校へ進学し、助産師国家試験に合格することが必要です。