2024年01月26日

本学理工学研究科・博士後期課程の学生の論文が英国学術誌『Biomass and Bioenergy』に掲載されました

理工学研究科環境共生工学専攻・博士後期課程2年のステラ チャン オン サン(Stella Chan On San)さんの筆頭論文「Combined Effects of Various Conductive Materials and Substrates on Enhancing Methane Production Performance」が英国学術誌「Biomass and Bioenergy」(注)に記載されました。

 

エネルギーの持続可能な供給源として、有機性廃棄物からのエネルギー生産プロセスであるメタン発酵が注目されています。メタン発酵は、酸素のない環境下で微生物が有機性廃棄物からメタンガスを生成する方法で、環境への負荷を低減可能なエネルギー源として期待されています。近年メタン発酵プロセス中に、導電性担体を添加することで、直接的種間電子伝達(Direct Interspecies Electron Transfer; DIET)を促し、メタン発酵処理を高速化する研究が注目されています。 

 

ステラさんの論文では、より効率的なDIETによるメタン生成能向上のために、3種類の異なる導電性担体(Granular Activated Carbon; GAC, Multi-walled Carbon Nanotubes; MWCNTs, Polyaniline; PANI)と、2つの異なる基質(エタノール、プロピオン酸ナトリウム)を用いて、基質と導電性担体の組み合わせの効果について評価しました。その結果、エタノールを基質と使用することでDIETに関連する微生物が増殖し、これと組み合わせて比表面積が大きいGACを添加することで、メタン生成速度がより効率的に改善することが示されました。

 

ステラさんは、「本論文の執筆に際し、井田教授や西助教を含む多くの共著者から貴重なご指導とご支援を賜りました。関係者の皆様に心から感謝申し上げます。今後も、更なる研究活動を通じて優れた成果を出せるように励んでまいりたいと思います。」と述べました。

 

(注)『Biomass and Bioenergy』は、バイオマス資源の利用やバイオエネルギーに関連する研究を掲載する学術誌です。Scopusにおける環境科学・廃棄物管理と処理分野でのパーセンタイルは84%です。さらに、CiteScoreは上位10.8%に位置し、国際的に高く評価されています。

ページ公開日:2024年01月26日