ハンセン先生コラム
(ショートバージョン)

Q.パンデミックによって広がった社会的な格差とは?

A.所得が低い人は感染リスクが高く、収入がさらに不安定になる傾向があります。

ウイルスは人を差別しないって言うけれど・・・

「コロナウイルスの前ではみんな平等」「ウイルスは人を差別しない」という声があります。一方で、ウイルスが差別しなくても、そもそも現代社会には不平等なシステムや制度がたくさんありました。パンデミックが起きたことで、これまで隠れていた不平等や格差が明らかになってきました。例えば、エッセンシャルワーカーという言葉があります。テレワークができない人たちもその一例です。スーパーやコンビニ、居酒屋の店員といった接客業の職種です。こういった職業はテレワークができないので、感染するリスクが高いと言えます。もともと所得が低い職種も多いので、裏を返せば、低所得者は感染リスクが高いとも言えるのです。

所得が低い人ほど生活が不安定になりやすい

コロナウイルスによるパンデミックで不景気が起こると、もともと低所得だったエッセンシャルワーカーは、営業自粛などの影響で、さらに労働条件が不安定になります。収入が減少したり、会社の業績が悪化してクビになったり。ニュースでもそのような報道がありましたね。さらに、もう一つの事例として、基礎疾患がある人、例えば喘息、がん、糖尿病などの方々は感染リスクが高いと言えます。低所得者は所持金が少ないので、安いジャンクフードを買って、食べがちです。そういった食べ物はもちろん健康に良くないので、免疫力を損ないます。だから貧困による食習慣も感染リスクを高めてしまいます。これらの現状からわかるのは、世の中に不平等はもともとありましたが、パンデミックになると、あまりお金を持っていない人が1番大変な目に遭ってしまうのです。

アフターコロナの課題とは?

「コロナ禍が落ち着いたら元に戻るだろう」と言う人もいますが、あまりいい解決方法ではないと私は思います。格差はもともとあったのですから。むしろ、パンデミックは社会を変えるチャンスなのだと思いますし、そう見るべきだと思います。実際にどうするかは、これから議論する必要があるでしょう。目的は、より平等な社会をつくること。例えば最近、ベーシックインカムという言葉をよく聞きます。これは、政府が全ての国民にお金を定期的に配るというもの。貧困を解消するアイディアのひとつだと思います。日本はまだ現実味がありませんが、アメリカとヨーロッパでは提案が出ています。それも含めて、今はいろいろな提案を検討すべきだと私は考えます。

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