ハンセン先生座談会
(ロングバージョン)
専門分野:
International relations in East Asia, particularly Japan-North Korea relations; Japanese security policy; Japanese national identity; North Korean politics and society; discourse analysis.
担当科目:
Special lectures 1 (Border studies); Special lectures 3 (Law and politics in Japan); Special studies in general education 1 (North Korean politics and society); GLP English A.
研究テーマ :
International relations, security policy, identity politics, othering, the abduction issue, discourse analysis.
イ ハヨンさん
法学部国際平和・外交コース3年
国際色豊かなゼミで世界各国の価値観に触れる

―――留学しようと思ったきっかけを教えてください
イ 「中学生の頃から法学部に行きたいと考えていましたが、現在、韓国でロースクール制度ができて、ほとんどの大学から法学部が消えてしまいました。私は大学で学びたい気持ちが強くあったので、両親と相談して創価大学に入学しました。私の周りにも、創価大学に通っている韓国人の先輩方が何人かいて、話を聞いたところ、私にとって創価大学での学びは得るものが多そうだと思ったのです。学生生活にとても満足しています」
―――韓国の高校での学びと違いはありましたか?
イ 「高校時代は教科書中心で勉強しますよね。受験勉強が中心でした。ですが、大学に入ってからは、教科書を使うだけでなく、自分で他にも資料を探してみるなど深い学びができています。ハンセン先生のゼミには7人の学生がいますが、少人数で授業を行うので先生との距離が近く、コミュニケーションを円滑に取れるのも、大きな違いの一つです。
また、ゼミでは日本だけではなく韓国、イタリア、中国からきた友達もいるので国際社会をもっと近くで学ぶことができて楽しいです」
ゼミでの会話は英語のみ!
だいぶ鍛えられました

―――ゼミではどんなテーマを扱っていますか?
ハンセン「2年次の秋学期はポピュリズムについて、3年次の春学期はコロナウイルスが世界に及ぼす影響について議論しました。次のテーマはこれから決めますが、学生と一緒に内容を考えていくので未定です。まずはブレーンストーミングをして、みんなで意見を出し合います。それが私のゼミの特徴です」
―――先生だけでなく、みんなで決めるのですか?
ハンセン 「私が一方的に決めるのではなく、学生が参加することで、みんなが興味を持てるテーマを学ぶことができますよね。もちろん、選択できるのはグローバルイシュー(国際問題)に限られますが、逆に、グローバルな問題であれば何でもOKなのです。すると私1人では選ばないテーマになりますので、教員にとっても面白いのです。例えば、去年は動物の権利やアニマルウェルフェアとか。そんなテーマも選ばれました」
―――イさんは、なぜハンセン先生のゼミを選んだのですか?
イ 「去年イギリス留学に行きました。外国の授業の雰囲気が本当によかったので、英語で授業が行われるハンセン先生のゼミに入りました。先ほど先生がおっしゃったように、トピックを決める際に学生の意見を取り入れてもらえるのも魅力でした。英語に関しては、創価大学に留学制度があることを入学前から知っていたので、ずっと勉強していたんです。
ゼミを選ぶとき先輩たちにゼミの特徴を聞きましたが、ハンセン先生の授業は厳しいけど、自分が足りないところを教えてもらうことができもっと成長できる授業だと聞きました。そして実際に今まで授業を受けた私は自分の足りないところ、例えば、レポートで何が問題だったのかとかプレゼンでは何が強みで何が弱点だったかしっかりフィードバックをもらうことができました。そして、前よりはもっと成長していると強く感じています」
ハンセン 「法学部の中で英語のみで授業を行うのは私のゼミだけなので、英語にチャレンジしたい学生が集まる傾向があります。留学生もいます。韓国人が2人、イタリア人が1人、中国人が1人、7人中4人が留学生です。ちなみに私自身はノルウェー出身で、2006年に留学のため初めて来日しました。留学前はオスロ大学で日本語を勉強し、日本滞在はトータル8年くらいになるので日本語も話せます」
ゼミでの学びを広めるために
手作りのポスターで啓蒙活動

―――ゼミで学び、特に印象に残っているのはどんなことですか?
イ 「自分はコロナウイルスに対するアジア人種差別のトピックが、一番印象に残っています。理由は、イギリス留学の際、現地で人種差別をされたからです。日本人の友人2人とスーパーマーケットで買い物をしていたら、背後で白人の若者が数人、「アジア人、コロナウイルス」と言いながら笑っていました。この時は本当に驚きました。
その後、帰国して、授業では人種差別のトピックを選びプレゼンを行いました。資料をまとめる過程では、もっとひどい差別が起きていることもわかり、グループのメンバーと「人種差別をどうやったらなくすことができるか?」を話し合いました。私自身、自分が差別されて初めて問題に関心が持てたので、まずは多くの人に関心を持ってもらいたいと思っています。そこで、人種差別についてポスターを作り、大学の廊下や壁に貼らせていただきました」
ハンセン「ポスター作成については、私が指示したわけではなく、学生がアイディアを出したのでいい意味でびっくりしましたね。授業の時間以外で時間を見つけ、学生が自主的に集まり、プランニングしている。私にとっても嬉しい出来事でした」
―――多国籍のメンバーが集まっていますが、どんな雰囲気ですか?
ハンセン 「すごく面白いと思います。たまに文化の違いが出てくるので、そこが指導する立場から見ても面白いところです。例えば、ヨーロッパの学生が一人いますが、日本人や韓国人、中国人の学生は、ヨーロッパの事情にそれほど詳しくないと思うので、新しい感覚が得られると思います。世界各国から集まっているので、特にコロナウイルスを議論する時は、各国でどのように対策してきたかを比べることができ、面白いと思います。お国事情が出ますね」
―――大学生活はゼミの存在が大きいですか?
イ 「大きいと思います。先生もおっしゃっているように、学ぶトピックをみんなで話し合って決められるのは、本当に魅力的です。英語を使って学ぶのも挑戦の一つ。授業の最初の30分ほど、自分が選んだニュース記事を英語で紹介する時間があって、以前は緊張の連続でした。足も震えていて(笑)」
ハンセン 「学生の英語力の変化はひしひしと感じています。個人差はありますが、かなり上達した学生もいるのですごく嬉しいです。イさんも含め、英語を流暢に話すゼミ生を見るのは嬉しいですね」
ともに学ぶ仲間の存在が
大学生活を支えてくれる
―――創価大学の法学部に入って良かった点は?
イ 「4つあります。1つめは、自分の成長を応援してくださる先生方が多くいらっしゃること。2つめは、友達がたくさんできて、勉強を頑張ったり、悩みを相談したり、自分の精神的な面で支えになりました。3つめは、法学部は2年次の春学期にコース選択をすること。将来、何をしたいかを決めてから選べることが魅力的です。4つめは、法学部独自の留学制度があることです。私は「発展途上国の人々のために働きたい」と考えていて、そのためには法律と英語を学びたいと思っていました。授業や留学を通じてそれらを体験できたことです」
―――卒業後の目標を教えてください。
イ 「詳しくは決めていませんが、IT分野の仕事をしたいと考えています。ただ、いつも心に刻んでいるのは創立者の言葉「大学は、大学に行けなかった人のためにある」です。大学に行けなかった人たちのために、自分がやりたいこと、できることの両方を組み合わせて働くことを目指しています。具体的に考えているのは、障害者の人たちの日常生活をサポートするアプリを開発したいです」
―――先生が学生に期待することは?
ハンセン 「これからの時代、国際問題の知識を持っている学生は魅力的だと思います。法学部のよさの一つは、法律だけじゃなく、多様性があること。国際関係や国際政治、平和問題、SDGsなど、幅広い分野の国際問題を扱っているので、授業を通じて視野を広げて欲しいですね」
―――受験を考えている高校生の方に、メッセージをお願いします。
イ 「今、コロナ禍の状況で受験勉強も本当に大変だと思いますが、みんなで一生懸命勉強し、乗り越えて、創価大学で学んでいきましょう。関心のある学問、やりたい部活、留学など様々な経験をしながら、大学生活を楽しんで欲しいです」