和足先生コラム
(ショートバージョン)

Q.緊急事態宣言は誰が決めているの?

A.法律に基づいて内閣総理大臣が発令しますが、現場を指揮するのは都道府県知事です。

国と現場の感覚にはズレがある

緊急事態宣言は内閣総理大臣が法律に基づいて発令します。ただ、その宣言が出された地域において実際の対策を行うのは、都道府県知事です。緊急事態宣言は国が決めますが、現場を指揮するのは都道府県知事なので、現場がどれくらい逼迫した状況なのか、国との温度差があるわけです。できれば緊急事態宣言は出したくない政府との間にズレが生じるということです。緊急事態宣言の発令当初、東京と大阪で感染者数に差が出たのは、知事の対応の差と考えられています。大阪は地元からの突き上げがあって、緊急事態宣言を早めに解除することになりました。これが感染拡大につながったと見られ、医療供給体制が危機的状況に陥りました。一方、東京は知事の「感染防止重視」が貫かれた結果、感染者数を抑えられたと分析されています。

コロナ対策はなぜ足並みが揃わないのか?

大きいのは経済活動(お金)の問題です。緊急事態宣言を出したのはいいけれど、その際には飲食店、遊興施設に休業要請や時短要請を出さなければいけない。営業できなければ、事業者にとっては所得の減少になりますよね。では、所得の減少分を誰が面倒見るのでしょうか。現状、国が担当する部分もあれば各自治体が担当する部分もあって、バラバラです。しかも全体としては財源が足りていないのです。コロナ関連の対策は全体性があるわけでもなく、後追い的に政策を積み重ねているので、事業者にとって見ればわかりづらい現状があります。官邸にはコロナ対策室があり、司令塔として存在していますが、厚生労働省、総務省と連携が取れていません。明確な基準を設けて決めているわけでもないため、丸投げされた都道府県知事は戸惑っています。解消するには、都道府県知事に裁量を与えたり、もしくは国が基準を明確に定め、知事に仕事を割り振るなどの対策が考えられます。

国と自治体が協力して歩んでいくために

持続化給付金は、前年の所得でマイナスになった場合に国が全体として面倒を見ているのですけど、休業に関しては、知事が担当していますね。ワクチン接種の問題も、政府が半ば強引に設定し、自治体がNOと言えずに進めたのはいいけれど、ワクチンが足りなくなったりしました。もっと現場の声を聞いて進めていくと良かったのかもしれませんね。これからは、こうした矛盾を解消することが課題になっていきそうです。国と地方が緊密に連携するとともに、国の政策決定過程に地方が参画することが求められると思います。一案としては、政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」に地方自治体の代表(全国知事会会長など)を参加させることなどが考えられます。

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