2019年09月25日

「授業WATCH」三宅利昌 准教授「民法総則」

「授業WATCH」 2019年9月24日(火)


三宅利昌 准教授 「民法総則」第4回
(2019年度秋学期火曜・金曜開講)


 法学部の専門科目で学生の履修(受講)は1年次から。とくにリーガル・プロフェッションコースとビジネス法務コースの指定科目です。

 

 三宅准教授の授業では冒頭で、法律事例に関するいくつもの設問とそれに関する原理原則が書かれた次回授業の資料(サマリ)を配付します。学生に次回の授業までに予習し、事例を検討することを求めています。つまり学生は今日の授業には、予習し、事例検討を終えている前提の前回授業で配布された資料を持参します。事前に自分で事例を検討し、自分なりの答えをもって、条文などを学んだうえで授業に臨む予習型の授業です。

 

 今日の授業前半は「権利能力の消滅」と「意思能力・行為能力」がテーマ。
 前者に関する設問。

 「Aには、妻Bと未成年の子Cがおり、母親Dと同居していた(Aの父はすでに亡くなっている)。AがB・Cとともに車で旅行していたところ、地震による崩落が発生し、車が崖下へ転落した。Bは救出されたが、AとCがともに死亡した。財産はだれがどのように相続するか」


 AとCの死亡に先後がある場合と先後が不明の場合があり、それにより相続人に違いが発生します。死亡の先後が不明の場合、民法第32条の2により「同時死亡」の推定が働きます。三宅准教授はこの設問を通して、権利能力の終期と同時死亡の推定を教えます。

 

 後者に関する設問。

 「X(80歳)は数年前から老人性認知症で日常生活にも支障をきたすようになっていたところ、かねて懇意にしていたY画廊の従業員Bの勧めに応じて、高額の絵画を購入する旨の契約書に署名してしまった。その後、Xの子Aはこのことを知ったが、X(または子A)はどのような法的手段をとることができるのか」


 ここでは意思能力のない人がした法律行為は無効であることを教えます。契約自由の原則は、当事者が契約の内容を理解し、納得した上で契約を結んだことを前提とする、としたうえで、民法改正(2020年4月1日施行)により新たに制定された第3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」ことを講義しました。

 それまでの民法ではそれは当然のことであるとして規定自体がありませんでしたが、今回の改正では、時代や状況の変化により、暗黙の原則だったものを明文化したと、改正の意義も伝えていました。

 

 この授業はあくまで総則であり、詳細は相続法など各法律に学ぶところですが、具体的な事例には多くの要素が含まれており、自然と細部にわたります。事務長もスマホで条文を追いながら、法的思考の訓練を受けた気持ちです。法学部出身、まだ残っていると信じているリーガルマインドが少し蘇った気がします。



■三宅利昌(准教授)■  教員紹介  三宅利昌准教授

専門分野   民法(家族法)
担当科目   民法総則、親族・相続法
研究テーマ  離婚後の扶養について

ページ公開日:2019年09月25日