2019年12月12日

「授業WATCH」  朝賀広伸教授 「環境法」

「授業WATCH」  2019年12月11日(水)
 

朝賀広伸 教授 「環境法」第25回
(2019年度秋学期水曜日・金曜日開講)

 

 法学部の専門科目で学生の履修(受講)は3、4年次。とくに公共政策・行政コースと国際平和・外交コースの指定科目です。本学の経営学部との連携開講科目でもあります。

 

 今回の授業テーマは「リサイクルに関する法制度」。循環型社会実現を目指して平成12年(2000年)に公布された「循環型社会形成推進基本法」を中心に学びました。

 

 同法制定の目的は『「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄に至るまで物質の効率的な利用やリサイクルを進めることにより、資源の消費が抑制され、環境への負荷が少ない「循環型社会」を形成すること』(環境省ホームページ)です。

 授業ではまず循環型社会形成への喫緊の課題として(1)廃棄物の発生量の高水準での推移、(2)リサイクルの一層の推進の要請、(3)廃棄物処理施設の立地の困難性、(4)不法投棄の増大、を挙げそれらの実態を伝える具体的な数値も示されました。日常生活にも密接に関連するため、学生は真剣に聴いていました。

 

 さらに同法との関連で「自動車リサイクル法」を採り上げました。現在年間およそ500万台が廃車となっています。解体された後、約8割の材料が再利用されています。しかし車の解体・破砕後に残るプラスチックくず(シュレッダーダスト)など残りの2割は再利用できず、埋立処分されてきたのですが、その処分場もまた上記(3)のとおり不足しています。車1台の重量は約1t。そのうちの200㎏が再利用できないことになり、それが500万台分、トータルで10憶㎏、100万tが再利用されずに廃棄されることになります。それだけのゴミが出るわけです。またカーエアコンに充填されているフロンガスやエアバッグは専門業者による適正な方法での処理が必要です。

 そうした現実を鑑み「自動車リサイクル法」はリサイクルのために車の所有者、関連事業者、自動車メーカー、輸入業者の役割をこと細かく定めています。詳しく法定化されている理由は、法定化によりその具体的な責任を再利用サイクルの中に組み込む意味があります。法定化されれば制度となり社会に定着していきます。

 

 授業ではこうした法制定の意味も盛り込み、具体的な事例となぜ法が制定されたのか、その考え方を往復しつつ講義が進み、理解が深まります。

 

 朝賀教授は授業の中でいくつか質問を出します。今回の質問のひとつは「車のリサイクル費用はユーザー負担?メーカー負担?」。どちらが負担するのか、その考え方を理解することは、同法を学ぶ上で重要なポイントです。学生は自分の考えを10分、300~400字でノートにまとめます。最前列で聴講している事務長もまとめてみましたが、この授業方法は、学生が講義内容を理解するうえでとても効果的であると体感しました。


■朝賀広伸(教授)■ 朝賀広伸 教授

・専門分野   行政法、環境法
・担当科目   行政法、環境法
・研究テーマ  環境法制度に関する総合研究。諸外国の法制度を参考に、実質的問題解決の観点から、今後の環境法および環境マネジメントの理論的課題、実践的課題、新たな役割・機能について研究しています。

 

ページ公開日:2019年12月12日
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