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2022年11月11日 13時41分

法学部「人間の安全保障ワークショップ」の授業で国連事務総長特別顧問でありNPO法人「人間の安全保障」フォーラム理事長の高須幸雄氏(元国連大使、元国連事務次長)が講演されました

アントニオ・グテーレス国連事務総長の「人間の安全保障担当特別顧問」である高須幸雄氏が10月19日、法学部の「人間の安全保障ワークショップ」の授業において「SDGsがめざす世界 持続可能な社会と人間の安全保障-誰も取り残されない日本をつくる!」とのテーマで講演をされました。

高須氏は最初に、2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)について、現在、新型コロナウイルスやウクライナ戦争などで混乱に陥る世界において、その実施が大幅に後退していることを指摘されました。

また、SDGsは人間の視点から社会、地球/環境を包括的に見るものであると述べられたうえで、1994年にUNDPの報告書で登場した「人間の安全保障」の概念がその後のSDGsに大きな影響を与えたことに言及されました。そして、経済や環境面での目標の達成はもちろん大切なことであるが、最も大切なことは、SDGsの理念である“Leave No One Behind”(誰も取り残されない)社会の実現であり、すべての人の生命、生活、尊厳が守られる社会の実現であるとの考えを強調されました。

特に日本のような先進国は、単にSDGs指標を達成するだけでは不十分で、「誰がどこで取り残されているか」を可視化し、そこに焦点を当て取り組むために日本の地域ごとの特色、優先課題を「人間の安全保障指標」として提示することが必要であると強調されました。そういった問題意識から「日本の人間の安全保障指標」を設定するために、客観的なデータだけではなく、自己充足度、社会的な連携といった主観的な評価も取り入れた調査、研究を行い『全国データ SDGsと日本-誰も取り残されないための人間の安全保障指標』(明石書店)を出版されたことを紹介されました。調査の結果、日本においても貧困と格差、孤立、差別によって取り残されている人々が多くいることが明らかになったことを踏まえ、多様性を認め、尊重しあう共生社会を目指して行動する必要があると述べられました。そして、さらなる取り組みとして『SDGsと地域社会』の出版を計画していることにも触れられました。

また、現在、大きな問題となっているウクライナ戦争をめぐる国連の役割と課題についてもお話がありました。さらに、学生から事前に出された子どもの貧困やウクライナ情勢に関する質問についても、一つひとつ丁寧に答えてくださいました。

講演を聞いた学生からは、「今回の講義を受けて、人間の安全保障、そしてSDGsが策定された背景を知ることができてよかったです。平和は、ただ戦争がない、差別がないなどの消極的な平和ではなく、一人一人が尊厳をもって生きることかができ、 対話をとおして共生していけるような社会をめざす積極的平和が大切なのだと改めて感じることができました。」などの声がありました。

ページ公開日:2022年11月11日 13時41分
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