法学部「地球平和共生ワークショップ」の授業で国連事務総長特別顧問である高須幸雄氏(元国連大使、元国連事務次長)が講演されました

現国連事務総長の人間の安全保障担当特別顧問であり、日本ユニセフ協会会長の高須幸雄氏が10月30日、法学部の「地球平和共生ワークショップ」の授業において「SDGsがめざす世界 持続可能な社会と人間の安全保障」とのテーマで講演をされました。

高須氏は最初に、ウクライナ戦争やガザ難民への攻撃による犠牲者の多くが子どもや女性であること、さらに絶対的貧困に苦しむ子どもがいる一方で、日本では子どもの精神的幸福度や自己肯定感が低く、ジェンダーギャップが大きな課題である現状に触れられ、子どもと女性が国や地域によって異なる困難を抱えている実情を知った上でSDGsを理解する必要があると説明されました。そのためには、SDGsの指標だけに注目するのではなくSDGsの理念が書かれたアジェンダ2030を読んで深く理解し、ひとり一人の尊厳・人権を尊重する視点を持つことが求められると訴えられました。SDGsにひとり一人に注目する視点が盛り込まれた背景には人間の安全保障の考え方が影響しているとして、特に1997-98年のアジア経済金融危機への対処に関して日本政府が教育や福祉の予算の重視を主張し、「国連人間の安全保障基金」を設立した経緯を紹介されました。

さらに、SDGsの進捗はコロナ禍や戦争の続発、気候変動などにより大幅に遅れているものの、2030年の目標年までの達成を目指して努力を加速化する方途として、人間の安全保障の視点から地域レベルでの推進、特にすべての子どもに人権、人の尊厳を重視した教育を広げていくことが重要とお話しされました。加えて、今後は人と人、国と国、人と自然とのソリダリティ(連帯)の強化が大きな鍵となってくるであろうと結ばれました。

参加した学生からは、「SDGsという17の目標はアジェンダ2030の理念に基づいたものであり、このアジェンダ2030がこれまでの国レベルから地域レベルへ、つまり人間一人ひとりへと焦点を当てた人間の安全保障の概念と繋がっていたことを今回初めて知りました。」と言った感想や、「私はジェンダー格差問題や女子教育の推進に関心があるため、今後の大学生活や留学などでそれらの問題を分析し解決方法について学びたい。」といった声がありました。

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