法学部「地球平和共生ワークショップ」の授業で元JICA(国際協力機構)研究所所長の北野尚宏氏(早稲田大学理工学術院国際理工学センター教授)が講演されました
JICA(国際協力機構)研究所元所長で早稲田大学理工学術院国際理工学センター教授の北野尚宏氏が、2024年11月13日に行われた法学部の「地球平和共生ワークショップ」の授業において「ODAと地球平和共生」とのテーマで講演をされました。
北野氏は最初に、日本の開発協力の歴史を踏まえながら、自国の開発経験に基づいた長期支援、現場主義の協働と信頼関係の構築といった特徴について触れられ、また誰も置き去りにしない人間の安全保障実現の必要性について述べられました。具体的には、バングラデシュの首都ダッカの深刻なゴミ問題に対するJICAの協力が、現地の清掃部門職員および市民の公衆衛生に対する意識向上を実現し、ゴミ問題解決の糸口となった事例を紹介されました。
また、JICA開発大学院連携のプログラムではアジアやアフリカから留学生を受け入れ、都市政策立案等を担える人材育成の協力なども行なっており、ケニアからの留学生がナイロビの公共交通改善を目指して日本の交通・都市計画について学ぶ様子などを紹介されました。さらに、今後の国際的支援のあり方などについて、ポストSDGsの議論の重要性、プラネタリーヘルス、ウェルビーイングなどの可能性について触れられました。
講演を聞いた学生からは「JICAのように、現地の人々と信頼関係を築き、彼らの意識変革さえも行うことにより、途上国の永続的自立を促進できるのだと学んだ。その国や地域が抱えている問題は何かを知り、自分も同じ目線に立って寄り添うこと、また問題解決ができる知識や実力を身につけることが今の自分に必要だと感じた。」といった声や、「現代社会では、国家間の経済・環境・安全保障が複雑に絡み合い、どの国も単独では生存や発展が難しい状況ということが印象的だった。その中で、ODAは一方的な『援助』ではなく、相互依存の中での協力として捉えられるべきだという視点に強く共感した」などの感想がありました。