丹木の歳時記2025 皐月(一)

花や植物を育てるのが上手な人のことを英語で green thumb(緑の親指)と言います。お母さんに園芸の才があるなら、"My mother has a green thumb."(母は植物を育てるのが上手だ)と言えるわけです。さて、園芸の才がある昆虫といえばアリ。1万種以上の植物は種子散布をアリに依存しているそうで、アリはexcellent gardeners(優れた庭師)と言えそうです。代表的なのはスミレ。スミレの種にはアリが大好きなエライオソームという栄養たっぷりの突起がついています。それを目当てに種をせっせと巣に運び、餌として幼虫に与えます。突起が取れた種は巣の外へ。こうして地面に放置された種が発芽し、スミレは生息地を広げるのです。アリが意図的にスミレを栽培している訳ではありませんが、結果的にはその繁殖に寄与しています。一方、アメリカ南部から南米に生息するハキリアリは、ワンランク上の農業を営んでいます。その名の通りハキリアリは葉を切り取って巣に持ち帰り、細かく噛み砕いて菌を植えキノコを栽培するのです。こうして巣の中に広がるキノコ農場がハキリアリの主食となっています。人類が農業を始めたのは約1万年前ですが、ハキリアリの祖先がキノコの栽培の習性を獲得したのは約5000万年前。アリたちは人類のはるか以前から農耕生活を営んできたと言えるでしょう。












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