研修期間 | 2020年2月23日~2月29日 |
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参加人数 | 24名 |
研修地 | スウェーデン王国 ストックホルム |
スウェーデン・クオリティケア(SQC)での講義
スウェーデン・クオリティケア(SQC)にて、スウェーデンの社会福祉・医療システムについてのお話を伺いました。
スウェーデン・クオリティケア(SQC)での講義
スウェーデン・クオリティケア(SQC)にて、スウェーデンの社会福祉・医療システムについてのお話を伺いました。
SQCの取り組みのうち、例えば緩和ケア(重い病を抱える患者さん・家族のさまざまなつらさを和らげるケア)では、痛みが起こった際に痛み止めを使うといった直接的な対処ではなく、好きな食べ物を食べ、穏やかに過ごせるよう工夫し、本人がどうしたいのかを大切にすると学びました。
また、スウェーデンは杖や歩行器などの補助器を積極的に取り入れている国であると知りました。歩行器の発祥地はスウェーデンであり、補助器を使いながら自立した生活を送る人が多いそうです。他の国ではむしろ直接的なケアをやりすぎているというお話もあり、意外に感じました。自分で歩いて買い物に行き、自分で料理することでよりアクティブな生活を送ることができるというお話が印象に残りました。自立を促す看護の大切さについて学んでいましたが、それをさらに具体的に考えるきっかけとなりました。
総合病院視察
大学病院(小児病院)と神経科入院病棟の訪問・見学を行いました。
総合病院視察
大学病院(小児病院)と神経科入院病棟の訪問・見学を行いました。
今回は、小児病院での看護師による講義と病棟見学からの学びを紹介します。スウェーデンでは、国際連合にて採択された「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の下、子どもの権利を守ることを第一に、社会保障の法制度や、病院でのシステムがつくられています。
小児病院の一つの特徴として、ホスピタル・プレイ・セラピーが実践されていることが挙げられます。ホスピタル・プレイ・セラピーとは、遊びを用いて、治療や病いの体験を肯定的に捉えていけるようにする目的で行われています。これは、病気があっても子どもの「健康な部分」を大切に伸ばしていき、発達段階(成長)に合わせてケアを考えていくことです。
日本においても、プレパレーション(検査・治療の前に心の準備を促すこと)や、ディストラクション(処置中に遊びを用いて気を紛らわせること)などは、小児看護の分野にて導入されています。
病棟は、子どもが安心できるように、壁にはカラフルな柄やイラストが施され、プレイルームにはさまざまな玩具やレクリエーションができるような設備があり、院内の子ども図書館には、様々な国の絵本も充実していました。
このように、スウェーデンでは、子どもを守っていくための制度の下、様々な取り組みがされていることが分かりました。
高齢者グループホームの視察
クニーブスタ市の高齢者グループホームの見学・視察をさせて頂き、スウェーデンの高齢者福祉の特徴や価値観について学びました。
高齢者グループホームの視察
クニーブスタ市の高齢者グループホームの見学・視察をさせて頂き、スウェーデンの高齢者福祉の特徴や価値観について学びました。
スウェーデンでは「その人らしさ」が大変重視されています。各部屋にお風呂とトイレがあり、入居者は基本的に自室で過ごされるそうです。また、食事の時間に決まりはなく、夜中にもサンドイッチやコーヒーなどの飲食は自由にできます。ここのグループホームの特色で、シェフが入居者の食べられないものを把握して自由に料理を作ってくれるというサービスがあり、老後はここに入居したいと思う程に印象的でした。
また、スウェーデンには入居者に対して「No」と言えない法律があり、認知症の方が歩き回れば、スタッフが付き添います。そして、話すうちに落ち着くのを待ったり、別のことに興味が移ったりするようにコミュニケーションを取ります。
初期医療センターの視察
高齢者グループホーム訪問の後に、同市の初期医療センターの見学・視察をさせて頂きました。
初期医療センターの視察
高齢者グループホーム訪問の後に、同市の初期医療センターの見学・視察をさせて頂きました。
初期医療センターでは、医師がより高度な医療に集中するために、必要な時に必要な人に必要な医療が提供できるよう、看護師の判断で患者を適切な医療機関に紹介します。また、喘息・肺疾患・糖尿病の治療がここで受けられます。そして、治療だけでなくワクチンのケアや健康管理などの予防にも関わっていることを学びました。
中でも1番印象的だったのは、看護師が診察室を持っていることです。スウェーデンでは、看護師がより医師に近い業務を行うことができる仕組みがあり、日本と大きく違うことに驚きました。
市内観光・自由行動
スウェーデン研修では、スウェーデンの福祉や医療を学ぶだけでなく、市庁舎や旧市街、ノーベル博物館などを訪問し、観光を通じてスウェーデンの文化に触れることができました。
市内観光・自由行動
スウェーデン研修では、スウェーデンの福祉や医療を学ぶだけでなく、市庁舎や旧市街、ノーベル博物館などを訪問し、観光を通じてスウェーデンの文化に触れることができました。
市庁舎では、ノーベル賞受賞者が晩餐会をするという青の間や迫力のある黄金の間がとても印象に残っています。
旧市街ガムラスタンでは、ストックホルム大学の学生と一緒に話したり、カフェに行ってお茶をしたり、写真を沢山撮り、観光を楽しみました。スウェーデンの建物は歴史を残しつつ、カラフルで可愛く素敵な街並みでした。また、スウェーデンは自然が近くにあり、美しく心が落ち着きました。市内観光と自由行動を通して、スウェーデンの美しい街並みや歴史、文化を直接感じ、知ることができました。
研修参加者の声
今回、創価大学看護学部として初めてスウェーデン研修に行かせていただきました。
研修参加者の声
今回、創価大学看護学部として初めてスウェーデン研修に行かせていただきました。
私は、福祉大国といわれるスウェーデンで日本の医療とはどれほど違うのか、これから高齢化が進んでいく日本に必要なことは何なのかを学びたく、スウェーデン研修の参加を決意しました。
現地の方は日本人の私たちを温かく迎えてくれました。そこで私は、子供が療養のため入院した時、24時間一緒に過ごせるような病室や国の制度(親が仕事を休んでも給料の保証がある)や、子供たち自身が病気を理解し乗り越えようとする考えに感銘を受けました。また高齢者施設では、高齢者一人一人のライフスタイルを尊重した生活ができる環境があり、自宅でも安心して過ごせるような国や市町村の連携があることを学びました。
このことから、私はどんな時でも対象者一人一人の個別性を尊重したケアや自身の力で乗り越えようとする力が必要であり、患者と向き合い、どこまでも患者のために生きる力を引き出すことこそが、今の私たち看護師に必要なことであると改めて感じることができました。本当にたくさんの学びがあり、楽しく、感謝の気持ちにあふれる研修になりました。