【国際教養学部】FILA/CMS FD Research Seminar 「英領期シンガポールの経済史」を開催
2026年5月27日、創価大学国際教養学部(FILA)およびマレーシア研究拠点(CMS)は、FDリサーチセミナー「英領期シンガポールの経済史(The Economic History of Colonial Singapore)」を開催しました。講師には、本学元客員教授であり、シンガポールを代表する経済学者・経済史研究者の一人であるチョイ・キーン・メン博士をお迎えしました。
本セミナーでは、1819年のシンガポール建設から第二次世界大戦前夜に至るまでの経済変容について包括的な考察が行われました。チョイ博士は、自身と杉本一郎教授による近著『The Economic History of Colonial Singapore』(NUS Press、2026年)をもとに、シンガポールが小規模な中継貿易拠点から東南アジアを代表する商業・金融センターへと発展した過程を解説しました。
セミナー前半では、英国統治下における自由港としてのシンガポールの成立が取り上げられました。チョイ博士は、マラッカ海峡の入口という戦略的立地が、中国、インド、ヨーロッパ、そして東南アジア各地を結ぶ中継貿易港としての発展を可能にしたことを説明しました。また、自由貿易政策、移民の流入、そして商業ネットワークの形成が、19世紀における植民地経済の急速な成長を支えたことを強調しました。
続いて、1874年以降の英国によるマラヤ内陸部への進出を背景に、シンガポールが「ステープル・ポート(Staple Port)」へと発展していく過程が論じられました。特に、マラヤ経済の基盤となった錫鉱業とゴム産業の発展に焦点が当てられ、シンガポールがこれら一次産品の金融、加工、輸送、輸出を担う中心拠点として機能したことが示されました。その結果、シンガポールは東南アジア経済の玄関口としての地位を一層強化していったことが明らかにされました。
また、移民、労働市場、教育、医療、銀行業、インフラ整備といった幅広い社会経済的発展についても議論が行われました。参加者は、植民地経済の発展がさまざまな要素によって相互に結びついていたこと、さらに世界的な需要の変化や技術革新、地域的な生産ネットワークがシンガポールの成長軌道に大きな影響を与えたことについて理解を深めました。
本セミナーには、経済史、東南アジア研究、開発研究に関心を持つ教員・学生が参加しました。講演後には活発な質疑応答と討論が行われ、グローバル化、貿易、移民、経済発展といった現代的課題を理解するうえで、歴史的視点が持つ重要性が改めて確認されました。
FILAおよびCMSは、貴重な研究成果と知見をご共有くださったチョイ・キーン・メン博士に心より感謝申し上げます。本セミナーは、参加者にシンガポール経済発展の歴史的基盤に対する理解を深める機会を提供するとともに、東南アジア研究における学際的かつ実証的アプローチの重要性を示す貴重な学びの場となりました。
創価大学国際教養学部 SNS【Instagram・X】
国際教養学部に関する留学やオープンキャンパス、学生紹介など、もりだくさんの内容をInstagram・Xで情報発信しております!