東京大学経済史研究会において「シンガポール経済史」に関するワークショップをCMSが共催
2026年5月29日、東京大学小島ホール3号館において、創価大学マレーシア研究センター(Center for Malaysian Studies: CMS)が共催するワークショップ「The Economic History of Singapore: Entrepôt and Staple Port」が開催されました。
本ワークショップは、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金(課題番号24K04984)、東京大学CIRJE共同研究プロジェクト、および創価大学マレーシア研究センター(CMS)の共催により実施され、シンガポールおよび東南アジアの経済発展を歴史的視点から再検討することを目的として開催されました。
開会にあたり、東京大学の城山智子教授より開会の挨拶が行われました。その後、東京大学の小林篤史准教授が「Singapore as an Entrepôt and Development of Southeast Asian Trade」と題して報告を行い、19世紀から20世紀にかけての東南アジア域内貿易の発展とシンガポールの中継貿易港(Entrepôt)としての役割について論じました。小林准教授は2026年1月に『History of Regional Trade in Southeast Asia』を刊行されており、本報告では同書で展開された東南アジア域内貿易ネットワークに関する研究成果を踏まえながら、シンガポールが地域経済の結節点として果たした機能について新たな視点を提示しました。
続いて、元シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore)のExecutive Directorであり、創価大学客員教授を務めたChoy Keen Meng博士が、「Singapore: The Staple Port of Southeast Asia」と題して報告を行いました。シンガポールが単なる中継港ではなく、東南アジア全域の生産物や資源を集積・再分配する「Staple Port」として機能してきた歴史的意義について、豊富な実証分析に基づいて論じました。
さらに、CMS代表であり創価大学国際教養学部長の杉本一郎教授は、「The Construction of Historical GDP Estimates and Living Standards in the Colony of Singapore, 1870–1939」と題して報告を行いました。報告では、1870年から1939年にかけての植民地期シンガポールにおける歴史GDP系列の推計方法を紹介するとともに、生活水準や経済成長の長期的推移について最新の研究成果を発表しました。
各報告に対して日本を代表する経済史研究者の一人である杉原薫総合地球環境学研究所名誉フェローからオンラインでコメントが寄せられました。その後の質疑応答では、シンガポールの発展を「Entrepôt Port」と「Staple Port」という二つの視点から捉えることの意義や、近年急速に発展している歴史GDP推計研究の方法論と課題について活発な意見交換が行われました。
本ワークショップは、2026年3月にChoy博士と杉本教授共著で刊行された『The Economic History of Singapore』の研究成果を広く共有する機会となるとともに、東京大学経済史研究会より機会をいただいて実現した重要な学術交流の場となりました。また、創価大学CMSが推進する東南アジア経済史研究や、今後計画されている英国領マラヤ・ボルネオ地域の長期経済統計再構築プロジェクトへとつながる研究ネットワークをさらに強化する機会ともなりました。
創価大学マレーシア研究センター(CMS)は、今後もマレーシア、シンガポールをはじめとする東南アジア地域に関する国際共同研究を推進し、世界的な研究ネットワークの構築と若手研究者の育成に取り組んでまいります。
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