健康生活看護学

健康生活看護学概論Ⅰ(基本的概念)

2年次
生物医学モデルによるアプローチではなく、健康と生活を一体のものとして捉え、その人の望む生活を目指し、より豊かに生きることを支援する看護のあり方を教授する。授業内容は、健康な生活を送る個人について、心や身体の反応の在り方を概観し、成長や発達段階に伴う生活および心身の特徴について教授する。また、個人が家族や集団、地域、社会などの環境から受ける影響について考察し、健康生活を継続するために必要な個人への働きかけの方法について理論をもとに探究する。さらに、個人への働きかけの際に留意すべき権利擁護の考え方について取り上げる。

健康生活看護学概論Ⅱ(集団・予防)

2年次
健康・疾病と社会の関連について、物理的環境・人的資源・地域保健医療福祉、社会制度など多角的視点で理解できるよう学修する。公衆衛生の対象が個人および集団、地域であることや、疾病の予防(一次予防・二次予防・三次予防)と健康増進(ヘルスプロモーション)の意義や方法について、さらに、保健・福祉・医療の各制度を整備充実させていくための健康政策の意義と戦略についても学ぶ。概念を理解するために、高齢者・メンタルヘルス等の事例を用いながら教授する。
  演習では、社会的要援護者となりやすい人々(高齢者・母子・障害者等)について、グループごとに特定集団を決定し、コミュニティ・アズ・パートナーモデルを用いて、地域アセスメントを実施する。

健康生活看護学概論Ⅲ(地域社会における多様な看護の場)

2年次
〈健康生活看護学概論Ⅰ・Ⅱ〉で教授した基本的な理念を踏まえた上で、多様な場、発達段階、健康問題と、各レベルに合わせた看護のあり方について教授する。
具体的な内容としては、まず公衆衛生看護活動として健康増進や仕組みづくりを行う保健サービスを取り上げる。学校保健や産業保健においては、メンタルヘルスの問題に対する看護支援についても取り上げる。在宅ケアについては、看護者の基本姿勢や役割、法的根拠、訪問看護ステーションを始めとする在宅ケアにかかわる機関やケアチーム、移行期支援について教授する。さらに、高齢者を支える地域包括ケアシステム、療養場所の違いにおける老年看護の特徴や高齢者における継続看護についても教授する。

健康生活看護論Ⅰ(高齢者援助) 

2年次
〈健康生活看護学概論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ〉で教授した基本的な理念を踏まえた上で、老年看護学に関わる理論や社会的背景を基盤とし、高齢期特有の身体・心理・社会的特徴とそれに応じた老年看護の理念やアセスメントの視点を教授する。その上で、高齢者の加齢変化や機能障害を踏まえた生活機能を整えるための看護援助(主に日常生活援助)に必要な具体的な知識・技術の習得を目指す。

健康生活看護論Ⅱ(高齢者看護過程・技術)

3年次
高齢者の健康逸脱からの回復と終末期を支える看護の展開において、必要な知識・技術を教授する。具体的な内容としては、心不全、脳卒中、認知症、パーキンソン病、終末期ケア、褥瘡、感染症などを取り上げる。
授業の後半では、〈健康生活看護学実習Ⅰ〉につながるよう、paper patientを事例に、ゴードンの看護理論を用いて、看護計画の立案までを事例展開する。

健康生活看護論Ⅲ(精神看護展開の基礎)

2年次
〈健康生活看護学概論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ〉で教授した既習の知識を踏まえ、精神の健康維持および精神障害からの回復に必要な基礎的な援助の視点および援助の方法・技術・態度について理解する。授業は講義と演習をもって展開する。講義では、精神看護の対象とその家族、精神科治療に伴う患者の疾病管理と看護、治療的な関わり、セルフケアを基本にした看護について学修する。さらに地域での生活支援、社会復帰支援に必要な資源等について理解する。演習では、精神障害をもつ事例を提示し、その援助の必要性や援助上の留意点等を体験的に理解し、援助を実践する能力や態度を養うことを目的とする。

健康生活看護論Ⅳ(精神看護の支援技術)

3年次
〈健康生活看護論Ⅲ〉に引き続き、精神の健康維持および健康障害からの回復を促進するための具体的な方法について学修する。精神障害をもつ事例を提示し、オレム・アンダーウッドのセルフケア理論に基づいた看護過程を展開する中で、精神障害をもつ人のストレングスに着目した援助方法について学び、その人へのリカバリー支援について考える。また、退院支援にむけた多職種連携、地域での生活支援、社会復帰支援に必要な資源等の活用について学ぶ。

健康生活看護論Ⅴ(地域保健活動)

3年次
予防活動を考える上で必須となる保健行動理論を紹介し、援助への活用を概説する。さらに、看護職が支援するグループの種類や支援方法など、集団に対する支援・健康教育のあり方と地域アセスメントについて教授する。
講義では、保健行動理論と実践への活用、集団に対する健康教育の理論、グループダイナミクスと看護職の支援する集団の特徴、地域をアセスメントする理論について教授する。
演習では、集団に対する健康教育ならびに地域におけるアセスメントについて取り上げ習得する。

健康生活看護論Ⅵ(在宅療養支援)

3年次
在宅療養者・家族を健康問題別に取り上げ、在宅ケアにおける課題や訪問看護の援助について教授する。
具体的には、脳血管疾患後遺症、認知症、脊髄損傷、がん、神経難病をもつ療養者、小児の在宅ケア、在宅ケアにおける緊急時・災害時の看護について、家族支援も含めて取り上げる。さらに、経管栄養や在宅人工呼吸療法など、在宅で訪問看護師が行う医療支援について教授する。

健康生活看護論Ⅶ(訪問看護過程・地域看護技術)

3年次
〈健康生活看護学概論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ〉、〈健康生活看護論Ⅴ・Ⅵ〉および既習知識を基盤とし、在宅ケアの看護援助に関する態度・知識・技術・看護の応用について習得する。
paper patientを用いて、在宅における社会資源の活用、ケアマネジメント、倫理的課題の検討も含めて学修する。加えて、訪問時のマナー、家にある物品でケアを行う工夫、医療的ケアなど、訪問時に求められる技術を習得する。

健康生活看護学実習Ⅰ(高齢者の健康)

3年次
高齢者の生活援助を通し、加齢変化や病状に伴う身体的・心理的・社会的変化が日常生活にどのように影響しているかを学ぶ。加えて多様な価値観や生活様式に応じた包括的なアセスメントを行い、家族をふまえた生活の再構築やストレングスの視点に基づく生活機能の維持・改善にむけた創造的な援助を指導の下で実施する。また、療養の場の特性をふまえ、ケア継続をするための多職種連携や連携における看護の役割、高齢者の療養生活環境の移行に伴う支援、老衰に伴うエンドオブライフにある高齢者と家族の支援について学ぶ。

健康生活看護学実習Ⅱ(心の健康)

3年次
こころの健康問題や精神障害を抱える人々の理解を深め、その人らしい生き生きと自立した生活が送れるように看護師として必要な援助ができる基礎的な能力を養う。

健康生活看護学実習Ⅲ(地域在宅生活の健康) 

4年次
訪問看護ステーションと地域包括支援センターでの実習を通し、地域で暮らす人々の様々な健康問題解決のために、生活や地域及び生涯を通じた視点をもった看護活動の展開について学修する。また、保健医療福祉チームとして多機関・多職種との連携及び協働について学ぶ。
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