学長ヴィジョン

1998年4月に第1回目が発表されて以来、学長が毎年度のはじめに教育ヴィジョンを発表しています。
このヴィジョンは、達成・実現度を年度末に総括し、その過程で、次年度ヴィジョンの策定に入るというサイクルができあがっており、大学運営の骨格をなしています。また、自己点検・評価の一環としての役割も担っています。

これまで「教育ヴィジョン」という名称で、その年度の取り組みを学長名で発表してきました。近年は、グランドデザインにおける「教育」「研究」「学生支援」「国際」「生涯教育」等に関する取り組みをまとめたものとなっており、教育に限らず、その内容は多岐にわたっているため、2018年度より「教育ヴィジョン」から「学長ヴィジョン」に改称しました。

2019年度 創価大学学長ヴィジョン

前文
昨年度の理事会で学長に再任され、この4月より3年間、その重責を担うことになった。本学に関係するすべての皆様の協力を得て、創価大学の発展のために新たな決意で全力を尽くしてまいりたい。
本学は、文部科学省「スーパーグローバル大学創成支援事業」に取り組み、学部や部署等を越えて教職員および学生が目的を共有し、連携・協力して事業を進めてきた結果、掲げた目標を着実に達成し改革を実行しつつある。本事業に携わっていただいているすべての皆様に心から御礼を申し上げたい。この取り組みについては、最終年度の2023年度を目指し、今後も多様性あふれるキャンパスづくりを推進し、地域・世界で活躍できる創造的世界市民の育成に尽力してまいりたい。また、昨年度の学長ヴィジョンで掲げた諸計画も、皆様のご協力と献身的な努力によって、ほとんどの事項を実施・完遂することができた。この点についても、心から感謝申し上げたい。
昨年度も学生の活躍には目を見張るものがあった。「Girls20サミット2018 国際女性会議」に日本代表として4年連続で本学の女子学生が参加したことをはじめ、理工学部の崔研究室のチーム「SOBITS」が「World Robot Summit 2018」の「パートナーロボットチャレンジ(バーチャルスペース)」部門で世界第2位に、「第58回日本学生経済ゼミナール関東部会(インナー大会)」で経営学部の安田ゼミが最優秀賞を受賞した。経済学理論同好会は、「経済学検定試験第30回大学対抗戦」において2連覇を達成した。また、ポーランドで開催された「FISU(国際大学スポーツ連盟)第1回世界大学チアリーディング選手権大会」の「チームチア・ヒップホップダブルス」に「創価大学チーム」が出場し金メダルを獲得した。「第66回全日本吹奏楽コンクール(大学の部)」にパイオニア吹奏楽団が出場し、11年ぶり4度目となる金賞を受賞した。他にも数多くの国際会議やコンテスト、資格試験や進路、地域貢献等々、学生たちは日頃の活動成果を、多くの分野で発揮することができた。これらの努力に対し、心からの敬意を表したい。
研究分野では全学を挙げての文理融合型の研究事業である「途上国における持続可能な循環型社会の構築に向けた適正技術の研究開発と新たな地域産業基盤の形成」のキックオフシンポジウムが昨年度開催され、本格的に事業が開始された。また、工学研究科の古谷研教授が、「海洋立国日本の推進に関する特別な功績」分野の科学技術部門において、「第11回海洋立国推進功労者表彰(内閣総理大臣賞)」を受ける等、各研究分野においても業績を残すことができた。
本年度は4月に創立50周年記念事業計画の概要を発表し、いよいよ本格的な準備を開始する。また、この記念事業と並行して、2040年頃の社会環境および高等教育の状況を描きつつ、次の節目である創価教育100周年(2030年11月18日)を見据えた「創価大学グランドデザイン2021-2030」(以下、「新グランドデザイン」という)の案を策定していく。その目的は少子高齢化やグローバル化が進展する社会にあって、本学がそのミッションを果たし、発展し続けるために、計画的に戦略を立て実行することである。新グランドデザインの草案をまとめ、教職員・学生・卒業生に対して意見募集を実施したい。この意見募集で寄せられた提案をできる限り反映させ、新グランドデザインを明年度に学内外へ発表する予定である。
創造的世界市民を育成する大学を目指して、果敢に改革を推進し、創立50周年へのスタートとなる本年度を希望あふれる充実した一年にしていきたい。教職員・学生の皆様のこれまで以上のご協力とご理解を念願したい。
1.教育戦略
(1) 新GPA制度のスタート
本年度入学生より新たなGPA制度の運用を開始する。新制度では国際通用性を高め、評価の厳格性を保ちながら、従来の制度に比べて評価レンジを細分化する。これにより、学修成果の到達度をより一層成績評価に反映できるようにする。
(2) 世界市民教育の充実
昨年度の共通科目と6学部専門科目のカリキュラム改正に続き、本年度より理工学部(共通科目・専門科目)、看護学部(共通科目)のカリキュラムが改正された。これによって、「平和」「人権」「環境」「開発」等の分野からなる世界市民教育科目を全学部で履修できるようになる。本年度より世界市民教育演習が開講するなど、世界市民教育科目のさらなる充実をはかっていく。
(3) 大学教育再生加速プログラム(AP)事業の総仕上げ
本年度はAP事業の最終年度となる。その成果を持続するために、学部単位のFD(ファカルティ・ディベロップメント)の充実が必須となる。具体的には、ディプロマ・ポリシーに掲げたアウトカムが、学部単位の教育プログラムを通じて、どの程度達成されているのかをチェックし、それを次の改善サイクルに結び付けるという、アセスメントから各学部の改革の動きを活発にしていく。その際に、AP事業で推進してきたAL(アクティブ・ラーニング)マスターや同僚会議を有効に活用していく。
(4) 入試制度改革
大学入学共通テストが実施される2021年度入試(明年度実施)に向けて、本年度は現行制度による入試の最終年度であり、新制度の助走期間にも当たっている。本学としても全ての入試において新時代にふさわしい多面的総合的評価を行い、本学のアドミッション・ポリシーに合致した学生の入学を目指し、新制度の検討を行ってきた。その対象者となる現高校2年生に向けて、昨年12月に公表した概要に続き、その詳細を発表する。
(5) 高大接続と初年次教育
今次の学習指導要領改訂において「主体的・対話的で深い学び」が強調されている。中でも、自らの学修を振り返って次の学修につなげる主体的な学びの拡充は、高大接続を確かなものにする上で、初年次教育の重要な課題である。AP事業のアセスメント科目では、すでに学期を通じた学修の振り返りを行っている。今後はアセスメント科目に留まらず、様々な科目で学生自らが学修成果を点検・評価する機会を増やしたい。そうした取り組みの先に「学びの集大成」を位置づけ、振り返り活動の充実をはかっていく。
(6) 学生参加型の点検・評価体制の強化
昨年度より全学と各学部・研究科レベルで実施しているアセスメント・ポリシーに基づく学修成果のアセスメントの試みを推進していく。さらに、ディプロマ・ポリシー等の3つのポリシーの点検・評価サイクルに学生代表の参加を促進する。また、教育の質保証のPDCAサイクルを推進する組織として、内部質保証推進委員会を開設する。同委員会は、IR室と協力して、全学と各学部・研究科における年間計画を共有することで本学の内部質保証を推進していく。
2.研究活動
(1) 研究基盤の強化
昨年度は研究推進センターの専門部会において、学内研究推進制度の検証を行ってきた。本年度は、「学術図書出版助成制度」の新設や、これまで実施してきた「研究開発推進助成金」の制度変更を行い、研究基盤の強化をはかる。また、研究環境の充実に向けて、研究支援ロードマップの作成や、大学院生を含む若手研究者および女性研究者へのサポート体制の充実に取り組んでいく。そして、本学の特色ある研究として推進している研究プロジェクトについても、研究および広報活動をさらに加速させ、研究成果の幅広い普及に繋げていく。
(2) 競争的資金獲得強化のための支援制度の拡充
科学研究費助成事業(科研費)をはじめとする競争的資金の採択件数および金額の増加を目指し、計画調書の書き方セミナーの開催や、コンサルティング制度の強化、科研費セミナーや外国人研究者へのサポート体制等を充実していく。また、これまでの採択実績の分析を行い、今後のアクションプランを検討する。なお、本年度より、研究活動の活性化を目的として、科研費応募資格の見直しをはかる。
(3) 国際学術論文の増加
グローバル大学として、研究成果の国際的な発信を促進し、国際学術論文の増加を目的として、英語論文書き方講座の開催や、英語論文の校閲料・翻訳料・掲載料補助制度を新設する。また、データベース等の整理により、正確な研究力の把握・分析を行い、今後の研究戦略の策定に必要なデータ等を可視化する。
(4) 適正な研究活動の推進と研究時間確保に向けた取り組み
研究費の不正使用および研究活動の不正行為を防止できる環境の構築に向けて、関連規程や研究倫理教育等を定期的に点検し、さらに実効性のある取り組みを行う。また、研究者の研究時間の確保に向けて、昨年度、全研究者を対象に実施した実態調査のデータを基に、具体的な施策等を検討する。
(5) 教員の業績評価制度の運用
本年度は、全教員に対して前年度の教育、研究、学内業務および社会貢献の4分野の業績について評価を行う。特に業績を高く評価された教員に対して表彰する。教員の多様な業務に対して適切に評価を行うことにより、大学全体の教育研究活動の活発化を目指したい。
3.学生支援の充実
(1) 奨学金制度の新展開に向けて
本学では、これまで独自の給付型奨学金制度を拡充し、学生の経済支援を行ってきた。昨年度には当初の計画の完成年度を迎え、給付額と採用数は過去最多となり、多くの学生の学修を支えることができた。一方で国が進める高等教育無償化については、明年度運用開始に向けて準備が始められている。本学として同制度をふまえ、より幅広く学生を支援できるような奨学金制度への新たな展開を目指したい。
(2) 学生寮のさらなる充実
2017年度にオープンした「滝山国際寮」と「万葉国際寮」では、留学生と日本人が共同生活をする中で異文化交流を体験し、充実した寮生活を送っている。本年度から「創春寮」にRA(レジデント・アシスタント)制度を導入した。今後は、女子学生(留学生含む)の増加に伴う寮の再配置を検討し準備していく。他の各寮では、教職員による寮アドバイザー制度を活用し、学修・生活両面のさらなるサポートの充実をはかる。
(3) キャリアサポートの強化
昨年10月、日本経済団体連合会より「採用選考に関する指針」について、2021年3月卒業の学生から廃止するとの意向の表明があり、企業の採用活動の早期化が懸念されている。どのような状況になろうとも学生が対応できるようにキャリア教育の充実をはかる。インターンシップを実施する企業も拡大しており、企業の採用動向を注視しながら、正課内外のキャリアサポートを充実させて、学生のキャリアに対する意識を高めていく。
(4) 留学生へのキャリアサポートのさらなる充実
留学生の増加に伴い、これまで留学生向けキャリア科目(日本語版4科目、英語版1科目)を開設し、日本語、英語によるインターンシップも整備してきた。本年度は授業内で民間企業とタイアップした学内インターンシップを実施し、日本で就職を目指す留学生の就業力の向上をはかる。
4.国際戦略
(1) スーパーグローバル大学創成支援事業次期中間評価へ向けて
2014年度に採択された「スーパーグローバル大学創成支援」は、本年度の成果をもとに明年度に2回目の中間評価を受ける。「グローバル・モビリティ:学生の海外派遣・受け入れの拡大を通じたキャンパスのグローバル化」「グローバル・ラーニング:『創造的世界市民』を育成する教育プログラムのグローバル化」「グローバル・アドミニストレーション:大学の運営体制・決定手続のグローバル化」「グローバル・コア:人間教育の世界的拠点の形成」、それぞれの数値目標の達成を通じて、高等教育のグローバル化をけん引する役割を果たしていけるように取り組んでいきたい。
さらに次期の中間評価においては、それぞれの大学がこの事業を通して、あるべき姿にどう近づいているかをアウトカム中心に確認されるべきとしている。「留学・学修成果の分析」などグローバル化がどのような成果をもたらしているのかを可視化する取り組みなどを一層充実していく。
(2) 世界市民教育の拠点化への取り組み
本学においては「人間教育の世界的拠点の構築‐平和と持続可能な繁栄を先導する『世界市民』教育プログラム」をこの事業のテーマと定めており、新グランドデザインあるいは創立50周年記念
事業においても「世界市民教育の拠点化」がキーワードとなろう。本年度はこの一環として「SDGs×価値創造」という視点で、様々な事業を展開し、これに多くの教職員・学生が関与することで新たな学びも提供できると考える。
スーパーグローバル大学創成支援事業の中で本学独自の目標としている「海外大学院進学」「グローバル企業への就職」「海外ボランティア・インターンシップ」「アフリカを含む非英語圏への留学・語学習得」などについても注力していく。また「平和問題研究所」「創価教育研究所」を中心に国内外の各機関とのネットワークを拡大し、本学の平和創造の価値観を発信する。
なお、この事業は、2023年度まで補助金が交付されるが、その後各大学で自走化するよう事業継続が要請されている。本学では、昨年度から「スーパーグローバル大学創成支援」推進寄付事業を実施しているが、多くの関係者のご協力をいただき、寄付募集が順調に進んでいる。心から感謝申し上げたい。
5.通信教育部の取り組み
(1) メディア授業の拡充
WEB上で受講できる「メディア授業(オンデマンド)科目」を、経済・法・教育学部の専門科目を中心に増設する。昨年度の12科目から本年度には8科目を新たに開講し、20科目とする(明年度にはさらに10科目程度を増設する予定である)。また、新規開講科目はコンテンツを約15分に分割し、最終試験を除く授業の視聴はスマートフォンやタブレットで受講が可能とする等、学習しやすくする。
(2) 科目等履修の増設
昨年度に開設し、2年目を迎える文学部(通信教育課程)の科目を科目等履修でも開講する。これにより学びたい科目を自由に選択する「科目等履修(自由選択コース)」では、230科目を超える開講科目数となる。また、テーマごとに3科目をパックにした「SOKAセレクトパック」でも、歴史や文学、哲学を学ぶことができるパックを新たに提供する。
(3) 学習利便性の向上
履修登録がスマートフォンからでも可能となり、これまでのスクーリングや科目試験の申し込み等とあわせて、各種手続きの利便性が大きく向上する。また、これまでのスマートフォンを含むWEB上での各種ガイダンス映像の配信に加え、本年度にはレポート作成をサポートする「レポート作成講義(入門編)」についてもWEB上での映像配信を開始し、学習サポートを充実させる。
(4) ICTサポートの強化
ICTを取り巻く急激な変化に対応し、より多くの方が安心して学習する環境を提供するために、実績のあるコールセンターと連携し、ICTヘルプデスクを拡充する。ヘルプデスクでは、パソコンに不慣れな方や休日や夜間に学習する方をサポートし、幅広い学習分野において、質の高い高等教育を多くの方に受講してもらえるようにしていく。

2018年度以前の創価大学教育ヴィジョン

2018年度 創価大学学長ヴィジョン
2017年度 創価大学教育ヴィジョン
2016年度 創価大学教育ヴィジョン
2015年度 創価大学教育ヴィジョン
2014年度 創価大学教育ヴィジョン
2013年度 創価大学教育ヴィジョン
2012年度 創価大学教育ヴィジョン
2011年度 創価大学教育ヴィジョン
2010年度 創価大学教育ヴィジョン